妖精フェル
「貴方は化け物から助けてくれた人!生きていたんですね!本当に良かった…」
「…こっちの事覚えているのか?意識が朦朧としているように見えてたんだが?」
…実際は死んだがそこはゲームだ、スルーして気になった事を聞く、水色の目から涙を零しながらも答えてくれた。
「衰弱していて、体は満足に動けなくて、喋る事もままならなかったけど、意識はしっかりしていたんです…だから死にかけた私の手を握って、必ず助けるからと言ってくれた事も覚えてます…」
青い髪を揺らし、なんか顔を赤くして、着ている植物の服をひらひら揺らして、照れている妖精になんか胸が高鳴ってしまう…なんだこれかわいいぞ……。
「ほうほう、お兄さんがそんなかっこいいセリフいうとはねー…と、そうだ名前聞いていいかな?因みに私はユリで、君を助けたこのお兄ちゃんがレンナだよ」
「私の名前はフェル…助けてくれてありがとうございます、レンナ様」
「ど、どういたしまして…」
純粋な笑顔を向けられて恥ずかしくなっているとユリが余計な事をいいだした。
「ごめんねーフェルちゃん、うちのお兄ちゃんは君に一目惚れしたみたいで照れて、上手く話せないみたいだよ!」
「おいまて!なにいってるの!?そんな事言う性格だったけ!?!?」
本当になに言ってるの!?いや否定は出来ないけど!
「と、ともかく、助けたのは俺だけじゃない、ユリの功績も大きいからな…。
ありがとうなユリ、急に居なくなるわ、合流出来たと思ったらシャベルとフェルを預けて落下するわ、終いにはレベルアップせずに帰ってくるわと足を引っ張りすぎた」
「ユリさんも助けてくれてありがとうございます、衰弱した体の治療や蜘蛛の糸の除去など感謝しかありません」
「気にしないでよ二人とも、私は好き勝手動いただけだよ…色々とレンナには聞きたいことはあるけど、それよりもこの後どうする?フェルちゃん、帰る所あるの?」
ユリがそう聞くと、フェルは悲しげに俯いた、帰る所がないのか…?
「帰る所がないならレンナのそばにいない?」
「え、どういうこと!?俺のそばにいるといってもずっとは無理だよ!?ずっとログイン出来ないし!」
「問題ないわよ、レンナがログアウトしている間はフェルちゃんはここで生活出来るように設定とかするよ」
「ここユリの家なのにいいのか…?ユリに利点なくね?」
かなりこちらに気をかけてくれるが、妹の考えが読めない、だが妹の友奈は少なくともこちらが損する事を考えてないのは確かなはずだ…。
「面白いという利点あるよーそれでどうするフェルちゃん、帰る所無いなら暫くはレンナと一緒に行動してみたら?」
「でもこれ以上、レンナ様に迷惑かけたくありません…」
「あー迷惑なんて思ってないから安心してくれ、後様付けはいらないよ、なんか距離感じるから、さん付けか呼び捨てで頼む…」
そう言うと、フェルは笑顔になった。
「なら、これからよろしくお願いしてます!レンナさん!」
するとシステム画面が出現して、こんなメッセージを表示した。
『妖精フェルとの好感度が一定値を満たし、条件を満たしたので、スキル共鳴を獲得しました』
なんかよくわからないスキルを覚えた…。