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鍛冶屋の息子、MMORPGにはまる  作者: リーフランス
サードシークレット、夏のイベントは不思議だらけ?
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鍛冶屋の居ない一時、ユリとフェル

錬那が父親の手伝いをしている時間、妹の友奈は、ファンタジーフリーダムの世界に降り立つ、友奈からユリになり、自分のマイホームに入ると本を読んでたフェルが出迎えた。


「やっほーフェルちゃん、二人っきりの会話は船以来だね」

「あ、ユリさん、レンナさんは来ないんですか?」

「今日の午後はお父さんの手伝いで来れないと思うよ、私がここにくる前に呼ばれたし…というかまたユリさんて呼んでる、もう呼び捨てでいいて船の上で言ったでしょ?」

「そうですか…あとユリの呼び捨てはなかなか慣れません…」


少し落胆するフェル、しかしすぐに真剣な表情をしてユリに質問を投げかける。


「あの、レンナさんが火光を作った時に厳しい表情をしてたんですが…なにか聞いてませんか?」

「聞いているよ、だけど私が勝手にあれこれ教えたら、たくさん考えてるお兄ちゃんの努力が駄目になっちゃうから、言えないよ」

「そうですか…」


再び少し落胆するフェル…。

ユリは少し考えてから口を開いた。


「少なくとも、私が分かるのはフェルが故郷に行く為には、鍵が3つ必要と言ったのが嘘だというくらいだよ」

「わ、わかるんですか!?」

「まあ、お兄ちゃんと違って、私とリーダーは色んな所を冒険してるからね、フェルの故郷には行ったことないけど、転送の魔法陣に関してはそれなりに知ってるよ…」


ユリはそう言うとフェルは慌てるように言った。


「も、もしかしてレンナさんにも嘘がバレたからあんな表情を…?でも怒ってるようには見えなかった…」

「……嘘には気付いてたけど、お兄ちゃんは怒ってなかったよ、色々とびっくりはしてたけど」


そう聞いて安堵するフェル。

それはみたユリは、フェルに問いかけた。


「嘘をついた理由を教えてくれない?」

「時間を稼ぐ為です、レンナさんは凄い勢いで強くなってますけど、今の状態で化け物に勝てるとは思いません…時間を稼がないと、レンナさんは真っ直ぐ私の故郷を目指して、そして故郷を襲った化け物と戦って…殺されてしまう気がして…そうなってしまっては、全部が終わってしまう気がして…」


俯くフェル、ユリは考える…きっとフェルの故郷を襲った化け物と戦い、倒す事がお兄ちゃんのナンバークエストの最終目的地と…。


勿論その化け物に負けたらフェルも殺されGAMEOVER…ユリ的にお兄ちゃんとフェルがそんな事にはなってほしくはない…。


ファンタジーフリーダムは死んでリスタートは出来ても、やり直す為に時間を巻き戻す事は出来ない。


ナンバークエストの最後の戦いに負けてやり直しが出来ず、復活リスタートした後ログアウトしてそのまま引退したプレイヤーも居るとユリは聞いたことがある…故に準備は万全にした方がいい…。


因みに味方NPCがプレイヤーの強さを考えて、嘘をついて目的地にたどり着くのを伸ばすのはユリにとっては聞いた事はない…。


「でも嘘は駄目だよ、後でお兄ちゃんに謝っておきなさいよ、嘘つかれて、結構傷ついてたよ」

「そうでしたか…嫌な事してしまいました、後で必ず謝ります…あ、あのお願いがあるんですけどいいですか?」

「お願い?」

「はい、もしも私の故郷に行く時に一緒に来てほしいと、お願いしたくて…」


フェルにそう言われて、ユリは口を閉ざす。

そこに協力したら、レンナのナンバークエストの失敗率をあげてしまう、それを嫌がってるレンナを見ている以上、ユリは安易にハイと言えなかった。


「ユリ?」

「難しいね、私達プレイヤーは状況によってこの世界に居られる時間は限られる、確かに私とお兄ちゃんは血の繋がった兄妹だから時間は合わせやすいけど…必ず助けに行けるわけじゃないからね…確約は出来ないよ、勿論助けに行ける時は行くからね」

「そうですか…そうですねよ、特にユリは忙しそうですし…いえ、来れるなら来てくれるで十分嬉しいです」


「まあ、うちのお兄ちゃんはやる時はやる人だからきっとなんとかなるよ!お兄ちゃんの力を信じてあげて!」

「は、はい!所であれこれ言えないと言っておきながら結構喋ってくれるんですね?」


「まあ、お兄ちゃんをこの世界に招いたのは私だし、お兄ちゃんにはこの世界を楽しんで欲しいからね、そのためなら色々と動くよ、勿論フェルちゃんにも、この世界を楽しんでほしいかな?フェルからしたらここは異世界なんでしょ?というわけでこれをプレゼント!」


そう言ってユリはフェルに一冊の本を渡した。


「これは?」

「相手の行動を阻害する魔法が書かれた魔法の本だよ、これを読めばバインドという魔法を覚えるようになるよ、イベントポイントで買ったの!」

「覚えられるかな?私は攻撃魔法とか妨害魔法の才能が無くて、向いてないんだけど…」


「どうせ今日はもうお兄ちゃん来れないだろうし、練習して試してみてよ、強くなってお兄ちゃん驚かせよう!」

「ユリはお兄ちゃんを驚かせる事に力を入れ過ぎだと思うのです…」


「そうかな?どうせ驚かすなら貯めに溜め込んで驚かせたくない?それじゃあ私は出掛けてくるね!」

「は、はい、行ってらっしゃいです!」


フェルに本を渡して一人でマイルームから出るユリ。


「とりあえずこれでお兄ちゃんとフェルの仲が拗れる事はないよね…ナンバークエストの事は伝えて無いし、フェルが嘘をついた事を謝るだろうし…夜の予定の準備をしないとなー」


ユリはそんな事を呟きながら、イベントポイントを稼ぐ為に、夏のイベントフィールドに飛び込むのだった。


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― 新着の感想 ―
[一言] 互いに思い合うからゆえにユリはいい緩衝材ですね。
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