矛盾交わる選択肢
『サードクエスト
嘘と妖精と妖精門の鍵
成功条件
地魂の遺跡にある魔法陣で火光を使いフェルの故郷に行く、もしくは何らかの方法でフェルの故郷にたどり着く
失敗条件
妖精門の鍵を3種類以上作る
他プレイヤーと共に妖精の故郷に行く
フェルにナンバークエストの事を伝える
強制終了条件
フェルの死亡
成功報酬
フェルの知っている一部の妖精の生存保証
失敗ペナルティ
なし
特記事項
地魂の遺跡最奥の壁にある魔法陣に火光を使うことでフェルの故郷に転送出来る。
またフェルの故郷に行き来する為にはフェルの存在が必須であり、特定条件を満たすまでフェルの故郷では死亡時のリスタート先の設定変更はできない』
ナンバークエストを知らせるシステム画面だ、しかもファーストとセカンドと違い拒否する選択肢はなかった。
そして…フェルの言ってる事と矛盾しているのだ…ナンバークエストでは火光だけでもフェルの故郷に行ける風に書かれている…。
フェルが嘘をついているのか、ただ誤った知識を持っていただけなのか…それはわからない。
出来れば後者であって欲しいが…フェルは故郷を襲った化け物を恐れていて、自分と接触して戦闘になることを恐れているから、自分が強くなる為の時間を増やす為に嘘をついた可能性はあり得る…。
そして他のプレイヤーと一緒に行動する事に失敗条件になっている、ユリやリーダーの力はフェルの故郷で借りてはいけないらしい…成功報酬を諦めない限りは…。
そして成功報酬はフェルの知り合いの生存…事が事だけに、諦めるとか安易に選択できない。
何だよこのナンバークエスト!成功報酬が一部の生存の保証のみって…表現が曖昧すぎるしなにより特記事項!
何度読んでも、簡単に言ったら、フェルの故郷で死んだらフェルが故郷に置いてけぼりなって、二度とフェルに会えなくなって、全てが終わるて事だよな!
「おい、レンナさん!フェルが心配しているよ」
リーダーの声ではっと辺りを見渡す、フェルは心配そうな顔で、こちらを見つめていた。
余っ程、自分が酷い顔をしていたのか…?
リーダーさんとリオアは真剣な表情をしている…。
もしかして、歴戦のプレイヤーの経験で自分にナンバークエストが来た事を見抜いたのか…?
「えーとその、お腹空いちゃって…」
「…あー、そうだな、そろそろお昼ご飯食べないとな、それじゃあ俺はログアウトするぜ…………個人的なクエストに協力出来る事があったら、言ってくれ」
自分の空腹発言に同意して、ログアウトするリーダー、最後の一言的に完全にナンバークエストが来た事に、感づかれたみたいだ。
「私もご飯食べないとね…頑張ってね、レンナ」
リオアもログアウトする、自分もユリのマイホームに戻り、ログアウトしようとしたら、フェルに待って!と言われた、ログアウトボタンを押そうとしていた指が止まる。
「どうしたフェル?」
「あの…何があったんですか?空腹だけであんな表情するとは思えないんです…だってレンナさんは、過度の飢えとかするような環境に居ませんよね?」
まあ、現実の自分は、親のお陰で空腹にはなれど、過度な飢えは経験したことがない。
「……そんな酷い顔していたのか自分…?」
「少なくともトラブルが起きないと出来ない顔してました」
…まあ、リーダーさんやリオアに見抜かれてたし、もしかして相当顔に出やすいのか?
だけどナンバークエストの事をフェルに伝えたら失敗条件を満たしてしまう。
今までのナンバークエストは%で評価していた、僅かでも話すと失敗条件の%が増えて、多分だけどフェルの知り合いの生存確率が落ちてしまいそうだ、成功報酬があやふやだから、なんとも言えないが…。
「すまないけど、話したいけど、話せないんだ…不明な点が多すぎて、誤った情報をフェルに言いたくないんだ」
「…わかりました、もしも言える時がきたら教えてください」
信頼の眼差しを向けるフェルに少し後ろめたさを感じる。
「ああ、またな」
そう言って、自分はログアウトした…どうすれば良いんだろう、このナンバークエスト…成功条件を満たすことは簡単なんだが、フェルのだした目標と真逆なことをするのだ…。
フェルとの仲に亀裂が入る可能性もあるかもしれない…ナンバークエストの事を話せれば良いんだけど…それで失敗条件を満たした結果、成功報酬…助かる妖精が減るかもしれない…。
そうなってしまったら、フェルは聞いたことを後悔するよな…?
これは何処まで失敗条件を許容するか、選択しないといけないのかな…?わからない…。
急なナンバークエストにどうするべきか、分からずに自分はご飯を食べに向かった。