イベントクエスト:大海賊の財宝の完了
「つ、疲れた…」
HPは満タンだが、精神的に疲れた。
「お疲れ様レンナさん…中級生産クラスとは思えない位に強かったよ」
「そうなのか?まあ、今回は老化の状態異常がプラスの方向に働いてよかったよ」
「多分いい感じに抵抗して、大人になるだけで済んだんだな、重ねがけされたら、レンナさんも年寄りにされて危なかったかもな…。
こっちは油断した、普段着の力で大抵の状態異常を無効化してたから、状態異常を防ぐ魔法を使い忘れた…まあ、強力な魔法ほど再使用出来る時間が長かったり、制限があったりするからな、何度も使われなくてよかった」
リーダーさんと戦いを振り返る。
「おーい、宝箱のトラップと鍵を解除したよー」
「はや!?というかトラップあったの!?」
リーダーさんと戦いを振り返ってる間に針金を持ったユリが、ボスを守っていた宝箱の鍵とトラップを解除していた。
「ほらほらお兄ちゃん、宝箱開けてよ、今回は先行して進んでたし、ボスも頑張ってたから、ボス宝箱を開ける権利はお兄ちゃんにあるよ、いいよねリーダー」
「いいよー」
リーダーの軽い返事を聞いたユリは自分を宝箱の前まで移動させる。
「えーと、それじゃあ開けるぞ」
トラップは解除されているので、安心して宝箱を開けると、3つの金塊と3つのコインが入っていた。
鑑定眼で見たら金塊は換金アイテム、コインは一人一つしか持てないように制限かけられたキーアイテムだ…少なくともコインに金銭価値は感じない。
「これはコインをNPCにあげて金塊はそれぞれ一つ懐に入れればいいんだな」
一つを自分の所持品に追加して、残りの2つは二人に渡す。
「ありがとう、これでクエスト完遂だね」
「このコインは…特に金銭的価値も歴史的価値はないか…それじゃあ帰ろうか」
トラップにかからないように気を付けながら、来た道を戻り、船長NPCにコインを渡してクエストクリアした。
船長NPCがこれは太古の金か!高く売れるぞ!と言っていたが…無知は罪なんだな…最初は価値が無いことを伝えようとしたら、リーダーさんに止められた、夢は見るものだと…まあ、価値観は人それぞれかと納得して伝えるのはやめた。
帰りはワープで戻るか船で戻るかシステム画面で聞かれたが、満場一致でワープだったので、ワープで戻った。
ワープ先はイベントフィールドで最初に降り立った、モンスターが出てこないセーフエリアだった。
薄暗く、狭いトラップ洞窟から開放されてリゾートみたいな砂浜に戻ってくると、開放感が凄い…このまま海を泳ぎたい気分になったが、ひとまずクエストクリアで得たイベントポイントを確認する。
「…溜まったなイベントポイント」
リオアとのクエスト、アッシュルさんのレイドバトル、そしてリーダーさんとユリとのクエストで、やっと溜まったのだ。
破損した妖精門の鍵(火)を直す為の材料と交換する分のイベントポイントが…。
「リーダーさん、また工房お借りしていいか?」
「鍵を貸してる以上、拒否する気はないが…なに作るつもりだ?」
「作るというか直すんです、ナンバークエストで手に入れた鍵を…」
そう言うとユリが食いついてきた。
「ナンバークエストの鍵、もしかしてサブクラスで書いてあった妖精門の鍵!?みたい!」
「妖精門の鍵…?ぜひ見学させて貰おうか」
リーダーさんも興味を持った…情報を求めているリーダーさんにとっては未知の情報なのだろうか?
「フェルが構わないならいいよ…」
「別に鍵は秘術じゃないので大丈夫です」
こうして、自分はイベントポイントのほぼ全てを使って、直す為の材料を買って、リーダーさんとユリと一緒に、ゼロオーダーの工房に向かった。
果たして、壊れた妖精門の鍵を直したら、何が起こるのか…内心ドキドキしてしまう。
どんな鍵が出来るのだろうか…?妖精門の見習い技師の説明では、大技が放てる様になると書いてあったが、どんな大技を使えるようになるのだろうか…?