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結婚式

 結婚式の日、街の中心にあるセントメアリー教会で式を挙げる。


 学園の友人達を招待したがミリアも私も二人して実は友が少ないのであった。


 盛大に執り行うつもりも無かった為特に気にはしていない。二人だけで挙げても良いくらいだ。


 ひと足早く私は教会で立ちミリアを待つが、結局教会内にはカイセル王太子とその護衛の多さが目立つばかりである。

 カイセルが、先日のお詫びにと式の後イブニングパーティーを宮殿の大広間で準備したという。ああ、有り難いような迷惑なような話であった。


 あ、オルガンの音が響きミリアの入場である。

 美しい……純白のミリア……長いドレスをしなやかに纏いゆっくりと歩んで来る。


「ルシアン殿、ルシアン殿、こちらを向いてください」

「ああ 失礼っ」

 私はついついミリアの方ばかりを向き神父様を待たせていた。


「健やかなるときも 病めるときも 喜びのときも 悲しみのときも 富めるときも 貧しいときも これを愛し 敬い 慰め遣え 共に助け合い その命ある限り 真心を尽くすことを誓いますか?」

「はい 誓います」

「では誓いのキスを」


 私は待っていましたとばかりにミリアのベールをそっと上げた。


「んーっ」と私の背中をとんとんするミリア。

 誓いのキスが長すぎたのだ。ははは、皆からもクスクスと笑う気配がした。


 ミリアの手を取り退場する。クリスが素敵な笑顔でこちらへウインクした。

 歩いて数歩、ミリアがカクンとする。ん?……微笑むミリア。


 そのまま歩くも、ミリアが小さくカクンカクンする。

 足を止めた私が見つけたのはミリアのドレスの裾に巻き込まれたヒール。真っ白なつるつるしたヒール……。

 どうしようか、私が拾うのもおかしいのだろうか……。

 ミリアは隠し通したいようだが、歩き方が……奇妙である。ヒールがぽつんと残るのもおかしい……。


 私はしゃがみ、ヒールを掴み取り、ミリアの背中と足を抱えてゆっくりと再び歩く。

 何故か皆は拍手で見送ってくれた。

 私の肩に手を回ししがみつくミリアは「私ったら……靴が大きくて」と笑う。

「はははっ私達らしいな。そんな君が可愛いよ」

 そのまま私は教会の入り口を出て口づけをする。



 ◇



 宮殿でのパーティー


「では、二人のファーストダンスを」とカイセルが私達に合図をし、生演奏が始まった。


 私が踊りたかったミリアとのダンス。これから先何度も踊れる幸せを噛みしめながらミリアの背を支える。

 今じゃどれだけくっついても許される。


「ミリア、美しい私の妻よ……」


 ミリアがふと天井を見上げた。宮殿の高い天井にぶら下がる大きなシャンデリア……が大きく揺れている……え?!何故だ。


「ミリア、あちらへ行こう」

 万が一落ちたら危ない。私は宮殿の執事に伝えようとダンスを止めミリアの手を引いた。


 その時、シャンデリアの一部が落下してきたのだ……

「あ゛ーーーっ」

 テーブルの並んだグラスも落ちる「「きゃーーーっ」」


 私はミリアを覆い壁の方まで避難していたがついにシャンデリアの本体が……落ちゆく下にはまだまだ人が……


 すると、シャンデリアが円を描くように浮遊しだした……、ミリアを見ると……じっとシャンデリアを凝視している。

 話しかけると落下するかも知れない。私はただじっと待つ。下までゆっくりと降りたシャンデリアは誰も居なくなった場所でガシャンと落ち、結果ほぼ大破したが……。


「な なんだ?!今のは?!」

「浮いていたぞ」

「魔法か」 

「そもそもなぜ揺れた?!」 

 皆が騒ぎ出す。

「なんだ?!シャンデリアがまるで生きてたみたいに。宮殿のシャンデリアは特殊なのか」

 と私もとりあえずは騒いでいた。

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