表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/134

38話「復活の四神殿」

 箒を使って伸びた円柱から地面に下り、姿を現した火の神殿を見上げる。

 大きさは家一軒という程度で、外観は装飾も何も施されていないプレハブのような建物だ。


<ほな、火の巫女ちゃん頼むで。>

「任せな! さっさと入るぜ、ルエン!」


「え、えぇ~・・・・・・。」


 面倒くさがるルエンを引きずり、ファイナが神殿の中へ入っていった。

 それからしばらくすると、神殿を中心に結界が広がり始めた。

 光の剣で展開している結界と同質のもののようだ。


<お、上手いこと作動したみたいやな。火の民はここに残って神殿と巫女ちゃんたちの護衛や。>

「はっ、承知しました!」


 火の民たちが隊列から離れ、火の神殿を囲うように配置についていく。


<よっしゃ、ほんならウチらはちゃっちゃと次の場所行こか! こっから近いんは土の神殿やな!>

「へいへい・・・・・・それじゃあ案内よろしく。」


 休む間もなく出発の準備を整えていると、神殿の中からルエンが顔を出し、こちらへ駆け寄ってきた。


「あ、あ、あの・・・・・・。」

「どうしたの、ルエン?」


「い、今まで、あ、ありがと・・・・・・そ、その・・・・・・色々と。」

「そんなに改まって、何かあった?」


「わ、私たちは、さ、最後まで付いて行けない、から・・・・・・。」


 光の剣の力を最大限に発揮するには、巫女が神殿で祈る必要があるんだったか。

 つまり、邪竜とやらを何とかするまではルエンとはここでお別れになるわけだ。それは他の皆も同じである。

 ルエンはクアナたちとも抱擁し、別れの挨拶を済ませている。


「安心してよ、邪竜はちゃんと倒してくるからさ。そしたらまた本も書けるよ。」

「も、もう満足した、から・・・・・・だ、大丈夫。」


「そうなの?」

「う、うん・・・・・・それじゃあ、ファイナさまが、ま、待ってるから。が、頑張って・・・・・・御使い様。」


 ふわりと癖のある赤毛を翻らせ、ルエンは神殿へと戻って行った。


<準備も出来たみたいやし、そろそろ出発しよか。>

「・・・・・・そうだね。さっさと終わらせちゃおう。」


 火の民が離脱し、少し縮小した部隊で再び樹海の中を掻き分け、賢者の石に導かれるまま進んで行く。

 襲い来る魔物を倒しながら数日かけて辿り着いた場所で、火の神殿と同じように埋まってしまった魔法陣を発見した。


<ここも埋まってしもうてたか。せやけど今度は楽に見つけられたな。>

「まぁ、一回やったことだしね。」


 言いながら魔法陣の中心にある穴に光の剣を挿し、土の神殿に掛けられた封印を解除する。

 現れた土の神殿は、火の神殿と同じく飾りっ気のないのっぺりした建物から円柱が伸びただけのものだった。


<ここは土の巫女ちゃんやな。>

「ん。御使い様、行ってくる。」


「うん、お願いねドーチェ。」

「もっと御使い様と気持ちいいことしたかった、残念。」


「そ、それはー・・・・・・あはは。」


 ドーチェも他の巫女たちとの挨拶を済ませ、離れていく。


「じゃ、行こうデラ様。」

「ウフフ、これまでドーチェ共々お世話になりましたわ、御使い様。」


 お世話されたのはこっちの方な気がしないでもないけど。

 二人が神殿の中へ入っていくと、しばらくして結界が展開された。

 そして土の民たちを神殿とドーチェたちの護衛として残し、半分になった部隊で再び次の目的地へと出発した。


<次に近いのは風の神殿やな。>


 賢者の石の言葉が示す方角へ、獣道すらない場所を切り拓いて進んで行く。

 そしてまた数日掛けて風の神殿が封印された場所に辿り着き、封印を解除した。


「ここまでおともさせていただき、ありがとうございました。」

「たのしかったぜ、ミツカイサマ!」


「私も楽しかったよ。」


 二人はクアナとも言葉を交わした後、セルウィの元へ駆け寄っていく。


「セルウィさん、二人をよろしくね。」

「はい。御使い様のことはここから三人で支援させて頂きます。」


 三人が風の神殿の奥に消え、結界が展開された。

 そして風の民たちも部隊から離れて神殿の警護に付き、残るは水の民だけとなってしまった。


<ここまで来たらもう言う事もあらへんやろ?>

「水の神殿へ、だね。」


 部隊を整えた後、樹海の中を再び彷徨い歩く。

 人数が減ったせいか、魔物の攻勢をいなすのにも時間が掛かるようになってしまった。

 それでも歩みを止めることなく、賢者の石が示す方角へと進んで行く。


「よし、見つけたよ。」

<ほんなら封印解除や!>


 水の神殿の封印を解くと、他の神殿と同じような建物が地中から姿を現した。

 最後の一つくらいはもっと神秘的なのを期待していたのだが・・・・・・。


<何や、何か言いたそうやな?>

「いや、神殿って言うからにはもうちょっと装飾とかどうにかならなかったのかなーって思って。」


<しゃあないやろ、時間無かったんやから!>


 そんな会話をしていると、準備を終えたクアナとスイコさんが近づいてきた。


「御使い様、ここまで連れて来てくださり、ありがとうございました!」

「こちらこそ、クアナには随分助けられたよ。」


 彼女の元気さが無ければ、この旅はもっと苛酷なものに感じられていただろう。


「私もここで最後のお勤めを果たすと致します。御使い様は存分に力を振るって下さいませ。」

「え、でも、スイコ様はお休みになられた方が・・・・・・。」


「これでもまだまだ現役ですよ。 クアナにはきちんと理解してもらう必要がありそうですね?」

「ひえぇ! ご、ごめんなさい~!」


 二人が神殿の奥へ入っていくと、しばらくして他と同様に結界が展開された。

 この神殿も機能はしっかり生きていたようだ。


<よっしゃ、これで準備は整ったな! こっからはウチと御使い様だけやで、覚悟はええか?>

「よろしくはないけど、やるしかないんでしょ?」


<よう分かっとるやん!>


 ため息を吐き、近くに迫った霊峰オストーラを見上げる。

 魔力が濃すぎる故か、漂う魔力がまるで立ち込める霧のように見えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
第一章
DTガール! ~DT in ガール!?~

第二章
DTガール! ~がっこうにいこう!~

第三章
DTガール! ~BACK TO THE ・・・・・・~

削除された話については下記のリンクよりご覧ください。
20話「おなじおおきさ」
21話「慰めはいらない。・・・・・・いる?」

その他
「DTガール!」についての備忘録
外法士



― 新着の感想 ―
[一言] 狩って即売却じゃぁぁぁぁぁぁ!(狩りゲーのノリ)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ