第五話 地獄のトレーニング その1 (前編)
-8月1日-
8月に入り、夏休みを迎えた。
俺は成績や模試の結果も良かったので、補習に参加することもなく夏休みを迎えたのだ。
残念なことに、今年も誰一人とも遊ぶこともなく夏休みを終わってしまいそうである…
夏休みが始まり、自室で早々に携帯を弄り出し、ソシャゲに手を出したところ、星川から着信が来ていたのだ。
なるべく、着信が来ても出たくなかったのだが
放置していたところ暫く鳴り止まないので、仕方なく出てみることにした。
どうやら、急ぎの用件らしい。
「もしもし、星川か?こんな時間にどうした?」
「どうした?じゃないよ…陰キャオタク君! 遅いよ!遥だよ!!君に話があって連絡したんだ…」
「あ、わりぃわりぃ……ゲームしようとしてたからさ。直ぐに出れなかった……ごめんな」
「僕が出るときは直ぐに出てね! 次は許さないんだからっ!僕はボスだから!わかった?」
「へぇーい、へぇーい。」
「もうっ!陰キャオタク君の分からずや!ケチ!ド変態」
「ド変態じゃねーよ、星川っっっ!!!」
小一時間、星川から毎度の如く暴言を吐かれ、不毛なやりとりが続いた。
いつも通り、一方的に用件を告げられ、結局電話が切れてしまったのだ。
全く、星川という奴はそういう奴である。
(あとで星川から怒られそうだな……)
星川からの電話からは以下の内容が告げられた。
一人の男子生徒から俺宛に連絡があり、参加してほしいとのことだ。
その男子生徒の名は《しみずみなと》清水湊という。
情報によると、クラス内では生徒からも人気もあり、外見も良く、周りからも信頼され、俺とは正反対の立ち位置である。
要するに、女子にはウケが良いという話だろう。
現実世界では、十分すぎる要素だが彼は別次元の人間であり俺とは無縁の存在だった。
しかし、1年経過しているというのに人の顔を全く覚えられない俺にも問題があるんだろうな……
誘われた内容としては、
「商店街の近くで花火大会が開催するのでクラス内での親睦を深める為に参加してほしい」だそうだ。
俺としては、人付き合いが苦手なためなるべく参加はしたくないのが答えだ。
面倒臭いことに発展しかねないので、今の今までクラスの行事やイベント関連は全て拒否していたことに全てツケが回ってきたのだろう。
ただ、星川は違った。
何か企んでいるような顔つきで電話越しに訴えかけているようだった。
既に、花火大会の日程は決まっており、8月15日(土)の20時に開催とのこと。
星川は星川なりの考えがあるらしく、クラス内でのコミュニケーションが取れるように絶対に参加して欲しいと告げられたまでである。
星川の言うことは絶対なので従うしかない。
つまりは、郷には郷に従えとはまさにこのことだ。
流石に一人では心細いため、明里にも助け舟を出すつもりだ。
あれこれ、色々と考えを巡らせていたら、突然見たことのないメールアドレスからメールが来ていたのだ。
早速、携帯を見て確認すると星川からだった。
今日は8月1日なので15日までの間に下記に記載したゲームを全てクリアすること。
全てクリアしなかったからそれなりのお仕置きがあるとのこと。
因みに、お仕置きの協力者として、明里もいるそうだ。
星川の言うことは、―絶対―なので取り組むざるを得ない……
「神様、、、俺を助けてくれ。今にも俺は泣きそうだ……」
現実とは無情である。
誰にも助けられないまま、波乱の人生が始まるのだ。
流石に酷な状況なので、枕に顔を突っ伏しながら弱音を吐いてしまった。
ゲームに関しては、翌日配達員より全てのゲームが星川より自宅に届くそうだ……
内容を見るに、それもかなりの数である。
これぞ、ブラックな労働、鬼監督である!!
ゲームをクリアして特に解決の糸口は見えないが
星川なりの策略や考えがあるのだろう。
翌日、メールの通り早朝に配達員が自宅に着て俺は自宅でも星川にしごかれるのだった……
-第6話に続く-
-第6話へとつづく-
こげたまと申します!
最後まで、読んで頂きありがとうございます!!
こちらの作品は初めての処女作になります。
僕はキャラクターが生き生きとした姿や情景描写を書き進めることが好きです。
書いていてとても楽しいので最後まで突っ走ろうと思います。
次の話が面白いと思って頂けましたら、評価や感想、ブックマーク登録をして頂けると幸いです( *´艸`)