日曜日
沖ななも
「喉仏に陽をあびながら眠るきみ遠くに電話鳴り止まぬまま」
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「日曜日」
目を覚ます。スマホを見る。時間は正午を過ぎた頃。ああ、またやってしまった。今日は部屋を片付けて、買い物に行って、一週間分の作り置きをして、とにかく一日を有効に使うつもりだったのに。亜希の貴重な日曜日は、もう半分くらいただ寝ただけだ。
別に、体の疲れをとったという意味では充実しているのかもしれないが、しかしなぜ、眠っただけだと時間を無駄にした気分になるのだろう。それに、まだ一時くらいなのだから、やろうと思えばまだ亜希の思う有意義な日曜日を過ごせるはずだ。しかし、出鼻を挫かれてしまうと、もう駄目だ。亜希は、まだ少し眠い目を休めて布団にくるまった。
どしん、と何か衝撃を感じる。時間を見ると、十五分くらいしか経ってない。亜希は、胸の上に乗った重りを優しく撫でた。まだ餌をやっていなかったから、抗議しに来たのだ。亜希は大あくびを一つして、おじゃま虫を抱えながら起きた。
部屋の掃除くらいはしようかな。餌を食べる彼を見ながら、亜希はぼーっと考えていた。
それからしばらくグダグダとスマホをいじった亜希だったが、ついに決心して掃除に取り掛かった。と思ったら、猫に呼び止められた。撫でろ、と言うのである。彼は、本当に亜希の邪魔をするのは得意なのだ。撫でてやると、彼は亜希の膝の上で気持ちよさそうに腹を見せて寝た。ちょうどその時、亜希のスマホが鳴り出した。亜希のスマホが鳴るということは、仕事以外はまずないだろう。渋々立ち上がろうとして、無防備な同居人を退かすために彼を見た。
喉仏に、陽をあびながら眠るきみ。
遠くに電話、鳴り止まぬまま。
全く、こんな日があってもいいか。亜希は少しにやけて、小さなため息を一つした。
沖ななもさんの
「喉仏に陽をあびながら眠るきみ遠くに電話鳴り止まぬまま」
からお話作らせてもらいました。
私は亜希みたいなタイプです。