表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
118/135

第118話 大迷宮に向かう前に

 妖精城をでて王都に戻ってきた私達は大迷宮に向かう前に王都の冒険者ギルドに立ち寄ることにした。


 もしかしたらマサキさん達も帰ってきてるかもしれない。そんな淡い期待を胸に抱いて。


「マサキさんと同行したSランクの方々ですか? まだ帰ってきていませんよ?」


 はい。私の期待はあっさり砕かれました。はぁー。やっぱり行かないとダメかあ......。


「そういえばセレスさん達おかえりが遅いですね。80階層を踏破したら戻ってくると聞いていたのですが......」

「ソ、ソウナンダー」


 あまりに気まずくて視線を逸らすと、マロンさんが真っ青な顔をしてアワアワしてることに気がついた。


「マロンさん!?」

「はうっ! ごめんなさいご主人様......。でも勇者様が......。やっぱり天職が違──」

「ちょっ!?」


 私は慌ててマロンさんの口を塞いだ。


「んっー!? んーっ!!」


 ビクッ! と身体を震わせるマロンさん。だけどこっちはそれどころじゃない! 何を言いだすんだこの人はっ!! 今の聞かれてないよね!? 大丈夫だったよね!?


 恐る恐る受付の女性の方を見てみると、不思議そうに首を傾げていた。周囲の人達にも特に変わった様子は見られない。私はホッと胸を撫で下ろした。


「ど、どうかされましたか?」

「ううん! なんでもない!! こっちの話だから気にしないで?」

「はぁ......? 」


 まったく!! マロンさんはなにを考えてるんだ! こんなところでベラベラ話したら誰が聞いてるか分からないじゃないかっ!!


「チカ?」

「ホントだ! チカだニャ!」 


「ひゃっ!?」


 振り返るとメリィちゃんとフィーちゃんを肩に乗せたマリーちゃんがギルドの入り口に立っていた。


「こんなところで何してるのニャ?」

「べ、別に何も──」

「チカ様は勇者様に同行しているS級冒険者のセレンさんとイザベラさんに用事があったようです」

「ちょっと!?」


 受付のお姉さんまで何を言いだすんだ!! そんなことふたりに言ったら.......。


「ニャ? チカがS級冒険者に用事? 何かあったのニャ?」

「チカ。どうしたの?」


 ほらっ!! こうなった!!


「べ、別になんでもないよ!!」

「なんでもないのになんで探してるのニャ?」

「えっ?」

「だからなんでもないのに、なんでS級冒険者なんか探してるのニャ?」


 ──うぐっ。さすがメリィちゃん。鋭い。鋭すぎる! でも少しは追求されるこっちの身にもなってほしい。そうなんだーアハハとか言って適当に流してくれてもいいじゃん! ねえ、それじゃダメなの!?


「いや。えーと......。そうっ!! ちょっとマサキさんに聞きたいことがあってさ!」

「勇者様に? ......じゃあ王城に行ってみた方がいいんじゃないかニャ?」

「た、確かに! それもそうだよね!! 私としたことがうっかりしてたなぁー! あはははは!」


 私が笑って誤魔化していると、フィーちゃんが私の肩に座ってるシィーの隣まで飛んできて腰を下ろした。


「なんだかチィーの様子がおかしい気がするのです。シィルフィリアちゃん? 何か隠してないですかぁー?」

「別に何にも隠してないの!!」

「ふーん。チィーはどうなんです?」

「私も隠し事なんてしてないよ?」


 澄まし顔で私がそう答えると、フィーちゃんが突然目を大きく見開いた。


「えっ......? なんで? そんなはずは...... 」

「え?」


 なんだろう。この反応......? フィーちゃんはなんでこんなに驚いてるんだろう?


 私が首を傾げているとフィーちゃん凄い勢いで振り返り、シィーの両肩をガシッと掴んだ。


「シィルフィリアちゃんっ!!」

「わっ!?」

「今日は何をしてたのです!? 何を隠してるんです!?」

「驚かせるんじゃねえの!! フィルネシアには関係ないから教えてあげないの!!」


 相変わらずフィーちゃんに冷たいなぁシィーは。姉妹なんだから仲良くすればいいのに。......おっと。今はそんなことよりこのチャンスを生かさないと!


「ふたりこそ王都に戻ってきてたんだ。何かギルドに用事?」

「私はニャンコ通信の件で来たのニャ! 王都のギルドでも販売されてるみたいだからニャ!」

「あー、なるほど! メリィちゃん色々ありがとね」

「気にすることないニャ! マリーもギルドに用事があったみたいだし、ちょうどよかったニャ」

「マリーちゃんが?」

「ん。私は依頼を出しに来た」

「依頼?」

「そう。お店の開店準備の人手とニッケルの街から王都への荷馬車護衛の依頼」

「へぇー。本格的に王都で売り出していくんだ。頑張ってね?」

「ん! 頑張る!」


 マリーちゃんはコクリと頷くと両手を軽く上げてギュッと拳を握った。


「......さてと! じゃあ私達は王城に行ってくるからまた後でね!」

「ん。いってらっしゃい」

「ハート様によろしくニャー!」


 ──よし!! 上手く話を逸らせたあああー!! フィーちゃんありがと!!


 内心でガッツポーズをしながら私はギルドを後にした。


 一方、チカの後ろ姿を見送った後。フィルネシアはマリーの耳元にそっと顔を近づけた。


「......マリー。話したいことがあるのです」

「ん? どうしたの?」

「実は──」

お読みいただきありがとうございます!


もし少しでも作品が『面白かった』『続きが気になる』と思われましたら、下の【★★★★★】をタップもしくはクリックして応援頂けると執筆の励みになります。


これからも応援よろしくお願いします(*´︶`*)♡


毎日1話更新予定


(年末年始付近まで多忙で更新頻度が下がっております)


★この作品の第一部の結末は、1話を書いた時点である程度決まっています。どうか考察しながらお楽しみいただけると幸いです★

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ