表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

夢……そして現実

作者: Peace

 気がつくと、私は『学校』にいた。

 どうやら入学式の直後のようだ。

 大学か、専門学校なのだろう。

 周りにいるのは子供ではなかった。

 どこかで見かけた人、昔の友達、世代もバラバラ。

 何故か分からないが、『看護』の学校のようだ。



 賑わいに溢れる教室では、誰も先生の言うことを聞いていない。

 新生活をどうするのか、サークルはどうするのか。

 それはもう、楽しそうに話している。


 みんなは僕を知っているような、知らないような、そんな雰囲気を醸し出しつつ、会話には参加させてもらえた。

 話しているうちに、吹奏楽部に誘われることになった。

 もう何年も楽器は吹いていない。今の自分にできるだろうか。

 そこで、不意に場面が切り替わる。



 学園祭? ステージが見えた。

 そこでは誰もが知っている、ルパン三世の曲が奏でられていた。

 スカパラも真っ青なくらい、超絶に上手い演奏だった。

 そのステージの真ん中で、バリトンサックスをノリノリで吹いている私がいた。

 おかしい、バリトンサックスなんて吹けるわけがないのに。

 ちょっと憧れはあるけど……。



 また場面は切り替わる。

 今度は授業を受けていた。

 これは……介護の授業?


 とんでもないことに、先生はいかりや長介だ。

 トイレの便座に座り、立ち上がる高齢者を自ら実演していた。

 こういうとき、どのように介助すればいいのかを、生徒を指名して答えさせている。


 トンチンカンな答えをする生徒に対して、だめだこりゃ、と言っていた。

 クラスはどっと沸き、私も思わず笑ってしまったが、こんなのありえない。

 いったい私は何をしているというのか。



 再び場面が切り替わる。

 そこは職員室、目の前にいたのは、昔お世話になった恩師。

 耳は聴こえないけど、こちらの話すことは口を見ることで理解できる。

 その恩師に、自分の置かれた状況を必死に相談した。

 恩師は面食らった顔をしていたが、うんうんと頷き、まずは帰ろうと言ってくれた。



 そしてまた場面は教室へ。

 そこはもうカオス。

 サークル活動が、なぜか教室で行われている。

 吹奏楽部が楽器を吹き鳴らし、ど真ん中ではバレーの試合。

 後ろではキャッチボールをしている人もいれば、隅っこで卓球をしている人もいる。


 でも、なぜかみんな私のことを認識していない。

 誰に話しかけても、そこに私がいると分からないようだ。

 やはり、ここは私がいる世界ではないのでは……。



 ふと時間を見ると、もう間もなく夜中の十二時になるところだった。

 やばい、ここがどこか分からないが、こんな時間じゃ終電もバスも無くなっている。

 なんだか、これではまるでシンデレラだな。

 とにもかくにも、私の席――と思われるところから荷物を抱え、教室を飛び出した。



 おかしい、そんなことあるか。

 コンクリート造りの真新しい教室から出たら、そこは古びた木造の階段だった。

 降りても降りても一階にたどり着かない。

 永遠に続くと思われる階段を降りていたら、途中に薄暗い教室があった。


 夕日を浴びながら、恩師が私に手を振っていた。

 夜中じゃなかったのか……?

 でも、恩師の顔はとても優しく、温かい笑みだった。



 そして、私は現実に戻った。

 やはり、これは夢だったのだ。

 枕元に置いてあるスマホには、午前七時と表示されている。

 ああ、良かった。帰ってこれた。


 ベッドから立ち上がり、あたりを見回す。

 そこで、大変な現実を目の当たりにした。

 掃除されていない、洗濯物が山になっている、食器も洗ってない、ご飯も炊いていない!

 もうすぐ! 彼女が! 帰ってくる時間なのに!




 そして、再び私はベッドで目覚めた。

 ああ、良かった、夢だったか。


 スマホを見れば、午前八時。

 部屋も綺麗だし、洗濯物も干してある。

 流しはとても綺麗だ。良かった、これで一安心だ。

 目覚めのコーヒーを飲みながら、ふぅと一服つける。

 そこで私は、恐ろしい現実に直面した。




『ご飯炊いてない……』


ご飯は慌てて炊きました(●´ω`●)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ