冒険者斡旋所
初めての冒険者斡旋所。
カミサマ探しの旅が、始まる。
気が付けば…少し不思議なお店の前にいた。
占いの館のような雰囲気だ。
でも、そこには、確かに、こう書いてあった。
【冒険者斡旋所】
「こんなの、私の国で見たことないなー…」
樹里は、きょろきょろっと辺りを見渡す。
そして、今度は、目の前の建物を、しっかりと見つめた。
でも、まずは、中に入ってみないと、始まらないか。
よし…行こう!
樹里は、思い切って、ドアをノックした。
「はーい、どうぞー」
恐る恐るドアを開けてみると…そこには、
まるで、占い師のような綺麗なお姉さんがいた。
「こんにちは!今日は、どんな御用?」
「あの…冒険者の方を探してるんですけど…」
「ああ、パーティを組みたいのね?OK」
お姉さんは、手元にあったノートをパラパラとめくり始めた。
「冒険は初めて?」
「はい、初めてです」
「そうねぇ…」
お姉さんは、少し考えるような顔をした。
「初めての方でもOKって冒険者、最近は、少ないのよね」
「そうなんですか」
「ええ、ちょっと待ってね…ちなみに、どんな目的?」
「ダンジョンに行きたいんです」
「ダンジョン!それは、難易度が高いわね…。
どんなダンジョン?」
樹里は、少し考えて、少し困った顔をしながら、
「それが、私にも、よく分からないんです。
人探しで…」
「うーん、困ったわね…初心者でもOKっていうパーティは幾つかあるんだけど」
お姉さんは、少し困った顔をしながら、言った。
「全部、ダンジョンのせいぜい地下5階くらいまでで、軽くお宝探しっていうか…。
そんなに強いパーティはいないわね…」
「そうなんですか…困ったなぁ…」
「まぁ…試しに、一度、どこかのパーティに入ってみるのも、いいかもしれないわね。
まずは、パーティそのものを体験してみれば、どうかしら?」
「…うーん…」
「気乗りしない?」
「…いえ、一度、そのパーティを体験してみたいです」
「OK、何か条件はある?」
「パーティに入れてくれる冒険者さんなら、誰でも大丈夫です」
「OK、ちょっと待ってね。
そうそう、お名前は?」
「樹里です」
「樹里さんね、了解」
お姉さんは、手元の通信装置で、何やらカタカタし始めた。
「こんな条件の募集があるわ。初心者歓迎。荷物持ち係。料理係。ダンジョンで鉱物採集。
3人パーティだそうよ。内女性が1人。どうかしら?」
「はい、じゃあ、そのパーティでお願いします」
「決まりね、連絡を取ってみるわ」
お姉さんは、またカタカタし始めた。
「返事が来たわね。一度、会ってみたいそうよ」
「はい、お願いします」
「了解、返事するわね」
お姉さんは、少し画面を確認した後、言う。
「今日のお昼の3時に、カフェ・にゃんこで」
「分かりました」
「くれぐれも時間厳守で!よろしくね」
そう言うと、お姉さんは、にっこりと微笑んだ。
「上手くいくといいわね」
「はい、頑張ってみます」
「それでは、また困った時は、いつでも来てね。じゃあ、次の方、どうぞー!」
いつの間にか、後ろに人が並んでいたらしい。
斡旋所内に、フリーで使える通信装置があった為、
早速、そこで【カフェ・にゃんこ】を検索する。
ここから近かった。地図からすると、歩いて5分ほどだ。
時間を確認すると、丁度12時だった為、お昼ご飯を食べることにする。
樹里は、斡旋所から出て、ついでに街を少し散策してみることにした。
気が向いたら、順次、更新していきます。