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第五十五話:答え合わせ

本編とは全く関係ありませんが、私はア〇パンマンのキャラではロールパ〇ナお姉ちゃんが一番好きです。善と悪の心を持つって、何その設定!?絶対幼児向けアニメキャラの持つ設定じゃないよね!?

(嘘だ!嘘だ!嘘だ!)

 私は、突如突きつけられたその真実を必死に否定しようとした。しかし、私の声に反応しない響也と、仏壇に置かれた遺影がその残酷な真実を否応なく私に認めさせる。

(いや、もしかしたらこれは晴明が仕掛けたドッキリで、今も下で私のことをあざ笑っているのかもしれない!)

 一瞬そんな考えが浮かんだものの、すぐに苦笑いと共にそれを否定する。第一、私の知る晴明はそんな悪質な悪戯はしないし、そもそも依頼主たる私にドッキリを仕掛けるようでは仕事人失格だろう。

 もしかしたら自分は既に死んでいるのかもしれない・・そんな信じがたい事実を必死に否定しようとする私だったが、否定しようとすればするほど私が既に死んでいる・・すなわち私が幽霊である可能性が浮かび上がってきた。それは、この一年間で私が時折感じていた違和感。それらの違和感が、私が幽霊であるという事実を肯定していく。

 まず、私が最初に違和感を感じたのは、何を隠そう私の初めての依頼対象者である、女将さんに会った時だ。女将さんは、旅館に来た私たちに、お茶を差し出してくれた。その時は私はさりとて不思議に思わなかったが、今思うと明らかにおかしいことがあった。

 そう、あの時、“ご隠居”は自分の目の前に置かれたお茶を、私の方へと差し出したのだ。つまり、私の前にだけお茶は置かれていなかった。今思えば、女将さんは私に話しかける晴明に不思議そうな顔をしていたし、“ご隠居”が『夢幻郷』を発動させてすみれの姿が見えるようになったとき私の方を見て驚いていた気もする。

 そして・・私が幽霊であると、その事実を受け入れざるを得ない一番大きな理由。それは、私の友人、舞の存在だった。

 舞には霊感がある。しかし、彼女は霊感はあっても幽霊の言葉を理解することができない。それだけならば、舞と何度もおしゃべりしている私は、「やっぱり私が幽霊だなんて何かの勘違いだったんだ!この

早とちりさんめ!」で済ませることができる。だが、彼女は幽霊の言葉が理解できないという状態を、自らの努力で克服していた。そう、彼女は幽霊と話すため、読唇術(・・・)を覚えていた。

 読唇術とは、唇の動きから、相手が何を話しているか読み取るという技術だ。そして、読唇術を使う時には、必ず相手の唇を見る必要がある。そうしなければ、当然だが相手が何を話しているかは理解できない。

 そして、舞は、私の顔を見ていない時、私の()が聞こえていないかのような反応を何度も示していた。それは、夏に老夫婦の館に行った際気絶した舞に何度声をかけても反応しなかったにも関わらず、少し揺すっただけで意識を取り戻したあの時に顕著に表れていた。

 そういえば、大晦日に女将さんが来た時、舞はまるで初めて私の声を聞いたかのような反応をしていた。それも、今まで声を聞いていなかったにも関わらず、あの時“ご隠居”が『夢幻郷』を使っていたため声を聞くことが出来たからなのではないか。あの時も女将さんは私を見て驚いた表情をしていた。

 今思えば、私が幽霊である(・・・・・・・・)という証拠はあちこちに転がっていた。しかし、私はあくまでも自分は生きていると思っていたからそれらの小さな違和感に疑問を抱くことが出来なかったのだ。ここにきてようやく、私は晴明の言葉の真意を悟った。

『鏡夜、お前にしかあの霊は成仏させることはできないんだ。』

―確かに、私にしかできないだろう。だって、この部屋にはそもそも最初から幽霊なんかいなかった。この部屋には、ただ真実だけがあった。その真実に気付き・・私は自分が幽霊であることを認めなければならなかったのだ。確かに、私にしかこれは出来ないことだろう。そしてまた同時に、晴明が私に一年という期間を与えた意味も悟った。晴明は、私に幽霊や妖怪といった人外のものと関わる体験をさせて、私に自分で自らが幽霊であることを気付かせようとしたのではないか。確かに、自分が死んだことを悟った幽霊からなら未練も探りやすいかもしれないが・・。正直、晴明がなぜこんな面倒な手段を選んだのかは分からない。

 それに、私にはまだ自分の未練が思い浮かばない。

 はて、私にはどんな心残りが?と気付けば頭を悩ませていた自分に、私は思わず苦笑してしまう。気付いた直後こそは確かに混乱したし必死に自らが幽霊であるという事実を否定しようとしていたが、今はもうその事実をすっかり受け入れてしまっている。「やっぱり図太くなったな。」という晴明の幻聴が聞こえてきそうだ。

 確かに、自分が既に死んでいたという事実はショックだ。そして、私が依頼に行く前の舞のあの言葉と涙の真意を知り悲痛な思いにもなった。思えば、私は舞になんて残酷な約束をしてしまったんだろうか。私は恐らくというか十中八九、このまま晴明の手で成仏されることになってしまうだろう。その事実を霊感のある舞は知っていたはずなのに、「この依頼が終わってもこの店で働く」などと馬鹿気たことを言った私を最後は笑顔で見送ってくれた。私なんかが友達なんて言うにはおこがましいくらい、彼女は強い女性だ。

 しかし、この一年で多くのことを体験した私は、自分が幽霊であるという事実を・・今、素直に受け止めることが出来た。恐らく、この一年がなかったら、私はこの事実を受け止めきれずに発狂していたに違いない。そうすれば、最悪成仏することも叶わずに消滅させられていたかもしれないのだ。

(『一年』という期間と女将さんや舞との出会いをくれた晴明と“ご隠居”には、感謝しないといけないね。)

 私は、そんなことを思い、下で待っているであろう晴明たちに再び会うため部屋を出ることにした。その途中で、新聞の集金を終えた響也とすれ違う。私は、聞こえないと分かっていながらも、思わず声をかけてしまった。

「・・あんまり気を張り詰めないでね。大丈夫。私はちゃんと成仏するから。」

 もちろん、響也が私の声に反応することはない。だが、それでいいのだ。生きている者が、死人の声に捉われる必要などないのだから。

 こうして、私は静かに部屋を後にした。

 晴明には、私が自分が幽霊だと悟ったことを言わなければならない。それと、まだ自分の未練は思い出せないことも。そうすれば、晴明ならばすぐ私を成仏させてくれるに違いない。そう思っていた。

―だから、下に降りた私がそれらの事実を伝えた時、晴明からまさかあんな言葉が返ってくるとは思わなかったのである。

 私が自ら出した『答え』を伝えた時、晴明は冷たさすら感じる無表情でこう返したのだった。

「・・いや。お前は・・・・」

―“鏡夜叶”の幽霊ではないぞ?―

次回、『ジャ〇おじさん、痛風になる』です。

(嘘ですすいません!本編が最近真面目モードなんでちょっとふざけたくなってしまったんです!アリスをここで本編にぶっこんじゃおっかな~とか一瞬考えて慌ててストップした私は偉い!)

次回のタイトルは・・内緒です。


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