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第三十八話:可愛いカッパ(♂)は好きですか?

一度厄介なハンサムの来襲などもあったが、それからは特に大きな事件もなく、私はつかの間の平和を満喫していた。特に、舞さんが一緒に働いてくれるようになったのは大きい!これまでは妖怪やら変態やらの中で暮らしてきた私にとって、普通の人間の女の子である舞の存在は、常識を見失わないためにも大変ありがたい存在だった。それに、年もそこそこ近いので話が合うのも嬉しい。時々ぬいや“ご隠居”、時には花も混じって女子会らしきものをすることができるようになったのも非常に楽しかった。

しかし、そんな平和な日々の中でも、一度だけある事件が起こった。それは、新しいロリショタ・・つまり座敷童たちの存在を嗅ぎつけたアリスの来襲であった。

「ちょっと店に入れさせて!新しいロリショタの匂いがプンプンするのよ!ペロペロさせてぇぇぇ!!!!」

そう言って無理やり店の中に入ってこようとしてきたアリスを、舞が入り口で必死に食い止めていた。どうやら、本能的にアリスを要注意人物だと判断したようである。そしてその判断は間違っていなかった。

「キャー!これが噂のザ・シ・キ・ワ・ラ・シ!なんて素朴で可愛いのぉぉぉん?ペロペロペロペロ・・。」

「ぎゃー!この女の人おらの尻を舐めてくるべ!超気持ち悪いべ!!?」

「ちょ、ちょっとアンタ!匂い嗅ぐの止めなさいよ!止めないとありとあらゆる手段を用いて非道徳的に絞殺するわよ!?」

新鮮なロリショタを前にしたアリスを止めることができるはずもなく、座敷童二人はアリスに捕まってしまった。

「うう・・うちは無力や・・。何も守れんかった!!」

悔しそうに目に涙を浮かべる舞を、私と晴明の二人で肩を叩き慰める。

「大丈夫だ、舞・・。無力なのは俺も同じだ。」

既にアリスによりさんざん堪能され、乱れた着物を握りしめ震えながら涙目になっている“ご隠居”を見て遠い目になっている晴明。この域に達するにはどれぐらいの経験を積めばよいのだろうか。出来れば舞にはこんな顔をしてほしくないものだ。

まあ、そのようにハンサムとド変態の来襲はあったが、依頼自体は大したものもなく、時間は過ぎていき・・

気が付くと、紅葉が綺麗な季節になっていた。秋の到来である。

そして、そんな秋の訪れと共に、私達の元に再び大きな依頼が舞い込んで来たのであった。


▼▼▼▼▼


「晴明せんぱーい!久しぶりっスー!」

そんな元気な声と共に、BARの入り口から見慣れぬ女性が姿を現した。ちなみに、私と舞の二人は厨房の裏でいつものように待機していた。今は“ご隠居”の力でこの厨房は全く見えない状態なので、客からは私たちの様子は全く見えない。それをいいことに、私達二人は現れたその客をまじまじと眺めていた。

「なあ、あの姉ちゃん、よく見たら警官の制服着てへん!?」

最初にそのことに気付き大きな声を出したのは舞だった。舞の指摘により、私もようやくその事実に気付いた。確かに、その女性は警官の制服を身に纏っていた。・・ただし、スカートはやけに短い。あれが所謂ミニスカポリスというものなのだろうか。その恰好からは、彼女が本物の警官かコスプレイヤーなのかは判断できなかった。私はコスプレイヤーの方に一ペリカ賭けるが。

と、その時、その客の姿を目にしたマスター姿の“ご隠居”が、驚くべき言葉を口にした。

「おお!お主は童児(どうじ)ではないか!久しいのう。何年ぶりじゃ?」

なんと、“ご隠居”と警官姿の女性は知り合いだったらしい。そのことを裏付けるように、その女性も親し気に“ご隠居”にこう答えた。

「久しぶりっス!“ご隠居”先輩!確か会うのは卒業式以来っスかね?いや~、先輩は相変わらず美しいっスね。憧れちゃうっス!」

「ハハハ!お主は相変わらず口が上手いのう!少し待っておれ。今晴明を呼んでくる。」

そう言って“ご隠居”は晴明を呼びに地下に降りていってしまう。そしてしばらくして、“ご隠居”が晴明を連れて上がって来た。

「おう童児!久しぶりだな!元気にしてたか・・」

「晴明せんぱーーーい!!!!!」

晴明が最後まで言い終わる前に、その女性は晴明に飛びついてその胸に頬ずりをし始める。そして、うっとりとした声でこう言った。

「ああ・・久しぶりの晴明先輩っス!ずっと会いたかったっスよ~!」

しかしながら、ここでとんでもないことが起きた。私なんか、思わず自分の目を疑って三回ほど目をこすったくらいだ。なんと、あの大の女好きの晴明が、自分にべったりと貼りつくその女性をうっとうしそうにぺりっと剥がしたのだ。

「嘘やろ・・!?あの晴明が女を拒否するなんて!?」

どうやら舞も相当驚いたらしく、私の横でそんなことを言っていた。しかし、そんな私たちの疑問の答えは、その晴明の口から明かされることとなった。晴明は、剥がされてもなお上目遣いで自分を見つめてくる女性を指さして、真剣な顔でこう言い放ったのだ。

「おい童児!俺に抱き着いていいのは女だけだ!男のお前が俺に抱きつこうなんて気持ち悪いことをするんじゃねえ!!」

そして晴明は「ついでにミニスカポリスも女子の特権だ!」と付け加える。

「「ええええええええ!!!??」」

厨房に私と舞の驚きの叫びが響き渡る。そして、晴明に男だと言われた彼女?は、てへっと小さく舌を出してこう言った。

「いいじゃないっスか!オイラ、先輩のこと好きなんスから!それに~、可愛いオイラが可愛い格好をして何が悪いんスか!・・あっ、そういえば言い忘れてたっス。先輩、百鬼夜行をくださいっス!あとついでに先輩も!」

お、お前、依頼者だったんかーい!!

またしてもとんでもない変態がやってきてしまったらしい。・・というか、この店にマトモな奴は来ないのか!?

次回、ミニスカポリスの恰好をした期待の新キャラが、自己紹介と共に依頼の内容を語ります。まあ、正体は今回のタイトルでばらしちゃってるんですけどねw

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