メッセージフロム、此花サクヤ
猿)「じゃあ次のメッセージをお願いします」
ズ)「はいっ、えーRN此花サクヤ15才の中3女子ー。私には、とっても大好きな人がいます」
猿)「はいはい」
ズ)「その人はイッコ上のお兄さんなんですが、いつも一緒にいたので初めはなんとも思っていませんでした」
猿)「ふんふん」
ズ)「ところが、私が中学生になった時の事です。一足先に中学に上がった彼は、私の知らないところで、同級生の女子と仲良くなっていたのです。それを見て私は、正直嫉妬してしまいました。その時に初めて、私はこの人が好きなんだと気付いたのです」
猿)「あー、なるほどー。小学生から中学生に上がる時が、ある意味人生で一番劇的な変化のある時期かもしれないね」
ズ)「環境だけじゃなく、心身ともに変化のある年頃ですからね」
猿)「そうだね。また中学の1年差ってものすごくデカいから、ライバルがみんな大人に見えたりして焦るんだろうな」
ズ)「中1はほぼ小学生ですからね」
猿)「そうだよなー」
ズ)「今年は彼と離れてしまって辛かったですが、4月からまた同じ高校になります!」
猿)「おー! この時期ってことは推薦で受かったのかな? おめでとう!」
ズ)「この1年で募った想いを、チョコに込めて渡したいと思います」
猿)「がんばれよ此花サクヤ、その先輩も慕われて嬉しくないはずがないからな。良い結果を期待しているよ!」
ズ)「がんばってください」
猿)「さあ、ではここでまた一曲お送りしましょう。曲はperfumeの——」
花梨はふう、と長く息を吐いて、ファッション誌の上に突っ伏した。静かに口角を上げ、充足感に満ちた表情を浮かべる。
此花サクヤ=出海花梨は、誰にも言えない恋をしている。親にも、友達にも、先生にも。誰にも言えない恋をしている。
だから、募る想いをラジオに投稿した。誰かの応援が欲しくて。だって、花梨の愛する男は——。
この世には、色んな恋のカタチがある。
日々の暮らしの中で、隣人とのより良い未来に想いを馳せる者。
はたまた、異世界人に想いをよせる者。
あるいは、翼を持った人型に想いをよせる者。
あるいは、正義の味方の宇宙人に想いをよせる者。
あるいは、ネットの英雄に想いをよせる者。
あるいは、幼なじみに想いをよせる者。
そして花梨は、夢に彼への想いを託す。明晰夢という名の、リアルな夢に。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございます。
このお話を書くことが出来たのは、突然の僕の思い付きを快諾してくださった5人の作者さまのお陰です。
大塩杭夢さん
小波奈子さん
東雲飛鶴さん
石田昌行さん
寝る犬さん
本当にありがとうございます!
そしてこれを読んでくださった方が、どれか1作品でもお気に召していただければ、ヒロインたち共々感無量であります。
話がバラバラにならないようにする為に、花梨をまとめ役として出しましたが、如何だったでしょうか?
終わり方がちょっと意味深で、拙作のプロモートみたくなってしまいましたがどうかご容赦くださいませ。
では最後に。
この作品にかかわってくださったみなさん、読んでくださった読者さま、本当にありがとうございました!