2話、1歳
俺は1歳になった。と言ってもこの世界では5歳、10歳、15歳でしか誕生日を祝う風習は無いらしい。
そして……
「ぱぱ?まま?」
喋れるようになっていた。この世界の言語は日本語と変わらない様で簡単に喋ることが出来た。家族の前ではあまり喋れる所は見せていないが流暢に喋る事が出来る様になっていた。
そして家族の事も大分分かってきた。
父親のクレイは茶髪で爽やか系のイケメンで、西洋人のような見た目をしている。因みに俺も茶髪だ。そしてクレイは騎士をしている様だ。偶に鎧を着て出かけて2、3日帰って来ない日もあった。そして、家に部下や同僚を連れてくることもあった。クレイが同僚の騎士と模擬戦をしている所を見たが、到底目で追えない速さで剣を合わせていた。クレイはとても強い騎士らしい。
母親のミラルは白髪で可愛い系の人だ。いつもは家に居て家事などをメイドのキャリルと分担してやっている。そしてこの前とても驚く事が起こった。俺が歩き回っている時に転んで膝を擦りむいてしまった時にミラルが慌てて走ってきた。と、思ったら……
「いま彼の者に豊穣の癒しを与えん。治癒」
何を言っているのかわからないと思うがいま起こったありのままの事を話そう。母親が急に呪文の様な物を唱え出したと思ったら傷が消えていた。これには本当に驚いた。
「あまり家の中で走り回っちゃ駄目よ。」
と、言われたがあまり耳に入っていなかった。
「まま、さっきの何?」
と子供の好奇心の様な感じで聞いてみると……
「魔法よ。」
あっさりすぎるーーー!!?
そう。この世界では魔法はありふれた物だったのだ。それから注意して見ていると、料理の為に水を出したり、薪に火が付けたりするのに使っていた。