カブの塩漬け
2013年03月29日(金)曇り
ボク、五条ダンは再び目覚める。
やはり女の子になりすまして文章を書くのは難しいものだと、つくづく実感させられる。
異性一人称は不可能ではない。SF作家である筒井康隆さんは、小説「家族八景」「七瀬ふたたび」「エディプスの恋人」で、見事に主人公の少女『七瀬』を描ききっている。
技量の問題なのだ。ボクもいつか、少女ではないかと錯覚させるような文体の作家になりたい。
ところで、この5日間は就職活動をしていなかった。本は毎日50万文字くらい読んでいたし、書くのも5000文字くらいはこなしていたから、その意味では充実していた。
今日は、『就活地獄の真相』恩田 敏夫(著)という新書を読んだ。
話によると、就職活動は現在二極化していて、日々会社説明会に参加し疲弊する学生がいる一方で、なんとエントリーシートもあまり書かない就職意欲のない学生も多いのだという。
びっくりした。
そのほかは、『自滅する選択』池田 新介(著)や、『行動経済学入門』真壁 昭夫(著)を読んだりした。
午後は、女子高生に成りすまして恋愛小説を書くバイトをしていた。
ちなみに、恋愛経験のない者が恋愛を描くための秘訣は、恋愛に『非日常』もしくは『縛り』を入れることだ。
『非日常』とは、例えば宇宙人との恋愛であったり、ガラパゴスゾウガメとの恋愛であったりだ。恋愛を日常とかけ離すことで、リアリティは問題とならなくなる。
『縛り』とは、例えばケータイ電話を使えなくする、彼氏と三日に一回しか会えなくする、など恋愛に制限を加えることだ。特殊な恋愛にしてしまえば、具体的な描写を入れてボロを出す危険性が減る。
もっとも理想的なのは、『片思いのままの恋愛』(悲恋)の物語を描くことだ。彼氏が宇宙に行ってしまったり、幽霊だったりしてもよい。とにかく、いかにして現実性を排除するかがポイントとなる。
株式投資の方だが、今まで100万円儲けたとか損したとか書いたのは、さすがに話を盛りすぎていた。実際のところ、元手100万円以下の投資であれば、普通に取引していれば一ヶ月に±5万円以上の収支になることはあまりない。
もっとも、リスクとリターンは相関関係にあるので、一攫千金を狙うのであれば、100万円すべてを失う覚悟は必要である。よく、株やFXで資産ぜんぶを溶かして1,000万円の借金……みたいな話があるが、逆説的に言えば、彼らは1,000万円超のハイリターンを狙ったハイリスクなトレードをしていたのだ。
ボクはこういったリスクは嫌いなので、割安配当銘柄の企業の株をいくつか買っていた。
※割安配当銘柄 PER 20以下 PBR 1以下 配当利回 2~4%
※PER、PBR
たとえば、1株あたりの企業の資産がどのくらいなのか、1株あたりの企業の利益はいくらなのか、などそういった具体的な数値が分かればなんだか納得して株を買える。
『納得』という部分が重要であってPER PBR ROE などの数値がいくらであろうと、株価が上がるかどうかは誰にも分からない。
ところが、これらの割安株が見事にぜんぶ含み損になってしまったので、ボクは長期投資家の仲間入りになった。カブの塩漬けをおかずにご飯を食べるのは美味しかった。
※含み損
株価の評価額が購入時よりも下がっている状態。例えば、100円で買った株が、現在80円のときを指す。損失を確定していないので、そのうち株価が120円に上がれば含み損は含み益に変わる。
※長期投資家
A.含み損の株を眺めることに心を痛め、トレードを引退してしまった人たち。
B.将来の会社の成長を確信し、株価が10倍になるときをじっくりと待つ人たち。
C.インカムゲイン(配当や株主優待)が目的で、株を持ち続けることに意味がある人たち。
なお、長期投資は短期投資に比べてリスクが低い(ローリスク)というのは嘘である。統計学上の根拠がない。リーマンショックや、企業の倒産、震災リスク、金融危機などがあるので、長期投資の方がむしろリスクは高い。
ただし、売買手数料が必要最小限で済むため、長期投資はローコストであるといったメリットがある。2014年からはISA口座制度により、年間100万円×5年間の投資における課税額(20%)が免除されるので、個人の長期投資家はかなり優遇される。しかしながら、ややこしすぎる制度。
※カブの塩漬け 主に観賞用。
空売り(株価が下がれば利益を得る方法)は、この相場でも意外とうまくいっていたのだが、先日空売りを検討していた銘柄が連続ストップ高になったのを目撃して、しばらくはやめておこうと思った。
※連続ストップ高 その企業の株を買いたい人が多すぎて、株価がその日の上限値まで上がりきってしまうこと。――が何日か連続で起こる。株価はホップステップジャンプといった具合に急上昇する。
もっとも、株式投資は余裕資産が1,000万円を超えてから考えれば良いことで、若いうちは教養やスキルを身につけ、自分自身に投資をするのが一番なんだよな、と思う。
資格の勉強も良いだろうが、これも弁護士(ロースクール組)の現状を見れば分かるように、決してローリスクな投資ではない。資格勉強にあてた時間は、機会費用の損失でもある。
現状、企業が採用過程で重視するのはコミュニケーション能力などであり、経団連の調査によれば、資格・学業を重視すると答えた企業は3%以下だったかと思う。就職活動におけるシグナリングとしては資格はあまり役立ちそうにない。
独立開業して食っていくぐらいのハングリー精神は必要だろう。
起業か――、と考えたときにボクにもひとつ大きな構想があった。
《ナメクジ・プロジェクト》というものであるが、また別の機会に書けたらと思う。
M化研からの選考結果メールは4月1日に届くらしい。奇しくもその日はエイプリルフールだった。
(続く)




