[コラム]資産形成と就職活動に関して~就活とは何なのか~
※この回はふとした気の迷いで意識が高くなってしまった学生の戯言なので読み飛ばしても構わない。今までの記事のなかでは一番『就活』っぽい内容かもしれないものの、物語とは一切関係ないので安心してほしい。しかし一体、いつになったら僕たちの就職活動は始まるのだろうか……。
[コラム] 資産形成と就職活動に関して~就職活動とは何なのか~
「継続的に安定して収入を得る手段を確保すること」
これが就職活動を行う主たる目的だ。企業と個人間で締結する労働契約は、定期的な収入を確約してくれる。正規雇用と呼ばれる雇用形態は、最も安定して収入を手に入れる方法であると一般に認識される。それがいわゆる正社員であり、正社員になることこそが就職活動の究極目標だと云える。経済的に合理的な考え方であると私は思う。
ところで、 「収入」とは、資産形成のための一手法である。資産形成は、云ってみればお金を殖やすことだ。
※ 資産形成=(収入-支出)+(資産×運用利回り)
1.収入を増やす
2.支出を減らす
3.運用利回りを上げる
資産形成のためにできることは、上記の3点である。したがって、この3つをいかにして成し遂げるかを思考し、実行することが就職活動の本質ではないかと思う。
1.「収入を得るためには」
収入とは、主に金銭所得のことを指す。金銭所得を得ることには、必ず何かしらの法律行為が伴っている。個人あるいは企業との契約なしに、合法的に稼ぐことはできない。
・契約の種類
(典型契約)
贈与,売買,交換,消費貸借,使用貸借,賃貸借,雇用,請負,委任,寄託,組合,終身定期金,和解
(非典型契約)
出版契約、出演契約、医療契約、リース契約、クレジット契約、フランチャイズ契約、宿泊契約、業務提携契約、情報提供契約、放送広告契約……等
※委任契約など、民法上は無償契約を原則としたものもあるが、実務上はほとんど有償契約となっている。
また、契約のパターンには以下の三種類がある
・自然人× 自然人 C to C(Consumer to Consumer)
・法人 × 自然人 B to C(Business to Consumer)
・法人 × 法人 B to B(Business to Business)
※右のアルファベットの羅列はなんとなくかっこいいから付け加えてみただけで、法律上の契約と経営学でのビジネスモデルは同列に語られるべきではない。
就職活動で勝ち取るべき『内定』は、始期付解約権留保付労働契約であり、自然人×法人の間に結ぶ雇用契約である。
※民法上の雇用契約ではなく、厳密には労働法上の労働契約を指す。
さらに、雇用形態には以下の二種類がある。
・正規雇用
いわゆる正社員。期間の定めのない労働契約である。長期間の継続契約が前提であり、使用者の解雇権が厳しく制限される。(政策的な見直し案あり。解雇しやすく、準正社員を設けよう)
また、ふつうの企業は厚生年金などの福利厚生制度に加入しており、正社員は(給与からの天引きであるものの)この恩恵を受けられる。
・非正規雇用
いわゆる派遣社員など。雇用期間に定めのあることが多い。アルバイト、パートタイマー、契約社員もこれにあたる。長期的に働ける保証がなく、正社員と比べて給与が少なく、待遇が悪いケースが多く、一般に不安定な雇用形態であるとされる。
[まとめ]
継続的収入を得るために一介の大学生が行えるおおよそ現実的な手段
A.正規雇用
・大企業正社員
内定を取るのは難しい。終身雇用、年功序列のシステムはすでに崩壊している。東証一部上場企業であっても、衰退する一方の会社もあり、一概に安定しているとは言い難い。ただし財務諸表が公開されているため、優良企業を見つけるのは容易い。が、優良企業が不良学生を選ぶ道理がない。
・中小企業正社員
外から見て、実体の分からないところが多い。B to C ビジネスモデルを展開するところは、(飛込み営業など)ブラック企業が多い。サービス業は全体として供給過多に陥っている。
・ベンチャー企業正社員 当たれば大きい。
・零細企業正社員 パン屋など、自営業だが法人化しているところで、正規社員として雇用してもらう。株式会社に限らず、有限会社、合同会社なども視野に入れる。
・その他、NPO法人、宗教法人の職員、公務員など。宗教法人は、土地・資産・信者がいなければ設立することができず、お金はたくさん持っていそうなイメージがある。某宗教法人がお布施を資産運用(株式投資)し、大損したニュースも記憶に新しい。
・日本国外へ
B.非正規雇用
・派遣社員、契約社員、バイト、など。
残業手当の出ないブラック企業の正社員よりかは、コンビニバイトの方が時給が良いことも多々ある。
C.委任契約
・資格開業が一般的か。弁護士、司法書士、行政書士など。
・準委任契約(業務委託契約)により企業から継続的に報酬をもらう案もある。企業側のメリットとしては、解雇権が制限されないこと(契約解除が解雇に該当するかどうかは争う余地あり)、福利厚生を保証する必要がないのでその分のコストが浮くことが挙げられる。業務委託契約は、労働契約と比較して、労働者側に不利となるケースも多い。逆に言えば、内定よりかはハードルが下がる。
・個人開業or法人化して開業 いわゆる起業。成功者の裏には数え切れない敗者の屍がある。
D.請負契約
・イラストレーター、小説家、芸能人、プログラマー、カメラマン、フリーライター、などのフリーランス。運と実力の世界。お小遣い程度であればいくらでも案件があるが、生活費を稼ごうとなると相当なレベルが要求される。
・なんでも屋、便利屋など。(委任契約の場合もある)
E.贈与、相続
・親と定期贈与契約を結んでパラサイト
・祖父母からの相続財産に期待
F.金銭消費貸借契約、賃貸借契約
・どちらかと云えば資産運用に属する問題。不労所得で生きてゆくためにはかなりの資産が必要である。法定果実おいしい。
G.売買契約
・ネットを利用したC to C ビジネス。参入障壁が低いため、過剰競争・価格崩壊が起こり、勝ち残るのは難しい。ネットショップ、ドロップシッピング、せどり、オークション、情報商材など。アフィリエイトは広告契約による収入である。
このように、収入を得るためには様々な方法があり、就職活動はAがメインだが、この他の道も視野に、並列的に準備を進めるのが良いかもしれない。
2.「支出を減らすためには」
A.衣食住の費用を抑える
B.娯楽費を抑える
C.節税をする(法人化、確定申告)
本旨ではないので簡略にまとめてみた。
3.「資産を運用するためには」
A.不動産投資
投資用不動産のなかには、何も知らない素人をカモにしようとするものも多く、元本を回収するのは難しい。賃料のインカムゲインが得られるのは魅力である。しかし不動産投資はリスクが高いので《数ヶ月前に》REIT(不動産投資信託)でも買っておくのが堅実。時すでに遅し(?)で後悔している。
B.投資信託
所詮はマネーゲーム。リターン(利益期待値)の分だけリスク(損失可能性)がある。ローリスク・ハイリターンは統計学的に有り得ない。また、ゼロサムゲームの世界に、平均を上回る『プロ』は存在しない。年利10%以上を謳うファンドも多いが、今まで運が良かったという偶然の産物に過ぎない。税や為替リスクを考えると、年利10%での資産運用は困難を伴う。
C.債権
利回りが低い、期間満了前に現金化すると損失が出る場合がある、といったデメリットに加え、カントリーリスク・カンパニーリスクがある。
D.日本株式
株式投資は短期ならゼロサムゲーム(誰かが得をした分、誰かが損をする)、長期ならプラスサムゲーム(みんなが得をする)もしくはマイナスサムゲーム(みんなが損をする)となる。日本経済の発展を信じるならば、インデックス(分散投資)で長期保有していればいいし、日本経済の衰退を信じるなら日経平均暴落に備えて空売りの準備をしておけばよい。
「日本経済は必ず破綻する」と主張する経済学者と「日本は絶対に破綻しない」と断言する経済学者がいて、喧嘩をしている。破綻論者としては、金やオフショア、外国株式、外貨預金などの商品が売れると嬉しい。安全論者としては、日本国債、日本株式、国内投資信託などの商品が売れると嬉しい。と思っている可能性がある。いずれにせよ、経済学者の数だけ主義主張があり、『絶対』『必ず』起きることなんていうのは、絶対に必ずない。
破綻云々はさておき、日本は投資先として、震災リスクが高いことは確かである。
短期の株式売買(デイトレード、スイングトレード)はゼロサムゲームであり、ギャンブルである。テクニカル分析はオカルト(占い)であるし、ファンダメンタル分析は効率的市場仮説によって否定される。勝つ人は勝つし、負ける人は負ける。株式投資に必勝法は存在せず、願わくば勝っているときに身を引きたいものだ。
FXもまさにゼロサムゲームである。
ただし、リーマンショック相場やアベノミクス相場など、誰でも勝てる(負ける)『時期』というのは存在する。そのときをいかにして見極めるかがポイントかもしれない。
E.海外株式
為替リスクがある。世界市場すべてに投資するという概念がある。人類が発展する限りは最良な投資だと思う。詳しくは『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 ― 知的人生設計入門』や『臆病者のための株入門』橘 玲(著)を参考にされたい。こういったタイトルの本はあやしいものも多いが、橘玲さんの著書はとても勉強になった。このコラムを書くにあたって参考にした書籍でもある。
※資産運用だけで生きていこうと思えば、1億円は必要だとされる。1億円あれば、配当利回り3%の株式を運用して、1年間に300万円のインカムゲインを得ることができる。資産が1000万円程度であれば、マネーゲームに勝ってキャピタルゲイン(売買差益)を得なければ、生活するのは難しい。
※他に、『法律学小辞典』(第四版・有斐閣)を参考文献として用いた。
[雑感]
これまで述べたことの半分くらいは間違っている気がするし、机上の空論でもある。何はともあれ実行を伴わないと意味がないなあ、と感じた。
珍しく就活日記っぽいことが書けた気がする。M化研の一次選考の結果発表は四月以降で、それまで特にネタがない。いままで毎日更新していたけれど、これからは進展があるまでしばし更新を休もうかなと考えている。
『ぼっちの就活日記』も展開がすごく迷走してしまったが、おおよそ現在進行形の実話の通りにストーリーを進めているため、致し方ない……いや、まずは現実のほうを充実させなくては……。
明日から頑張る詐欺にならないよう、一日一日を悔いのないように生きたい――。
(了)




