WEB試験
2013年03月23日(土)曇り
小川洋子さんの『刺繍する少女』を読んでいた。短編集で、幻想的な物語だ。
夢のセカイを散策する気分だった。さりげなく散りばめられた言ノ葉のひとつひとつを陽にかざし、揺らめく木漏れ日のなかで私は心躍らせる。彼女のような文体を手に入れたならどれだけ素敵だろうかと、言ノ葉を小さく分解してゆくと、最後は透明な水となって私の手から零れ落ちてしまった。
地表に触れた水滴は、音もなく心に沁みる。
午後からは、ダンくんがエントリーしたM化研のWEBテストを受けた。試験は、『英語、国語、数学、性格診断』の四つから成る。
英語――、ロングマン現代英英辞典を開けてみたら、何もかも英語で書かれていたので驚いた。時間切れになった。
国語――、一生懸命に広辞苑を引いていたところで時間切れになった。
数学――、小学校で貰ったソロバンを弾いているうちに時間切れになった。
性格診断――、『友だち』『仲間』『チームワーク』『ポジティブ』のキーワードが含まれる設問にはすべて最低評価をつけた。正直に答えましょうとの前置きがあったので、嘘偽りなく答える。
一時間ほどで試験を終え、それなりの充実感を味わえた気がする。
しかし江安は、「どうしてこうなったんだ……」と呻いて、どこかへ消えてしまった。
結果はダメだろうなあ、という脱力感を抱えたまま、私は眠りにつく。不安の何もかもが、漠然としていた。
(続く)




