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ぼっちの就活日記  作者: 五条ダン
第一章~五条ダン篇~
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何もしない一日……

 2013年03月17日(日)晴れ



 朝からずっと胸騒ぎがしていた。どきどきしていた。頭が熱に浮かされているようで、ぼーっとして難しいことが考えられない。「ヒーロー文庫・ラノベ作家になろう大賞」に向けて小説を書こうとしたけれど、原稿は一文字たりとも進まなかった。


 居ても立っても居られなくなって、回転椅子の上に正座してくるくると回った。しかし心は落ち着きを取り戻さない。ピアノを弾いて冷静になろうと考えた。メリーさんの羊を20ループしたところで母が「もうやめて!」と悲鳴をあげた。それでもボクの気は治まらない。意味が分からない。すごくつらい。突然泣き出してしまいそうだった。


 日本語大シソーラス類語検索大辞典で、ボクの症状を調べてみた。

『錯乱、興奮、心騒ぐ、どきどきする、ときめく、切ない、いとおしい、恋わずらい』

 ――っ! そうか、恋か。これは恋だったんだ!!


 灯台下暗しとはこのことだ。普段から女子中学生に成りすまして恋愛小説を書いておきながらどうして気がつかなかったんだ。ボクの病とは、恋だったのだ。


 恋だと分かってほっとした。あとは恋愛対象を見つければ良いだけだ。

 ボクは窓際に飾ってあったサボテンに向かって「好きだよ」と言った。

 これでボクの恋は終わった。

 明日からはまたいつもどおりの生活に戻るだろう。




 恋は成就すると、恋でなくなってしまうのだ。



 

 (続く)


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