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39歳の平凡な中小企業(さつまいも製造販売)の社長!農業スキルで異世界無双!(1000PV越えありがとうございます)  作者: 一年目の平凡な中小企業の社長


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第29話:ドワーフ村と魔道農機具

 翌朝、村長への挨拶を済ませた一行は、村の広場に集まった。


  「さあ、私の華麗な魔法でひとっ飛びよ。『トランス』!」


 ルカが杖を振るうと、次の瞬間には、金属を叩く心地よい音が響くドワーフの街の門前に立っていた。

 街の中は、ジミーナ村以上に活気と熱気に溢れていた。


  「おーい、オヤジ! 忙しそうだな」


 グライザが声をかけると、汗を拭いながら巨大な書類を捌いていた技師長が顔を上げた。


「おぉ、戻ったか! 見ての通りだ、王都から『イモジョウチュウ』の買付人が殺到していてな、生産ラインの拡張でてんてこ舞いよ!」


 そんな忙しなさの中、一人のドワーフ技術者が興奮した様子でツトムに駆け寄ってきた。


「ツトム殿、お待ちしておりました! 実は、以前伺ったあのお話を形にしてみたのです。……これをご覧くだされ!」


 彼が披露したのは、無骨ながらも精緻に組まれた金属製の機械だった。


「ジミーナ村では今も人力でクワを振るっていると聞き、ツトム殿がおっしゃっていた『トラクター』に近いものを試作したのです。魔石を動力にして刃を回転させ、人が押して進むだけで大地を切り拓く……」


「おぉぉ……! これはすごい。自動で畑を耕せるのか。人は乗れなくても、これなら歩くだけでいい。まるで、**『オートカルチ(歩行型耕運機)』**じゃないか!」


「オートカルチィ?」


 首を傾げるルカに、ツトムは目を輝かせながら説明した。


「僕は魔法で一瞬だけど、村の人たちは魔法が使えないから、一本ずつクワで耕しているんだ。でも、これを使えば疲れ方は数分の一になるし、効率は何倍にも跳ね上がる。……農業の歴史が変わるぞ!」


「どうでしょう、ツトム殿。使い物になりますかな?」


  「素晴らしい発明だ! ジミーナ村も今や取引資金は十分にある。村の未来のために、ぜひ導入を提案させてくれ」


 ツトムの太鼓判に、ドワーフの技術者たちは「よっしゃぁ!」と拳を突き上げた。


「よし、交渉の続きは明日だ。今日はこの街に泊まろう!」


   ツトムの提案に、ルカ、アイリス、グライザの3人も、この街の美味しい酒と料理を思い浮かべて声を揃えた。


「「「泊まろう!!」」」


 今夜は、グライザの自宅を兼ねた工房での宴会だ。 酒が入り上機嫌になった技師長が、グライザの幼い頃の話を持ち出した。


「グライザは昔から、俺の後ろをちょこまかとついて歩いては、俺の技術を盗んで変なものばかり作ってたんだ。それが今、勇者殿の役に立っているなんて……俺ぁ鼻が高いぜ!」


「オヤジ、もういいだろ。その話はやめてくれ……」


   グライザは珍しく顔を赤らめ、視線を逸らして照れていた。そんな親子を見つめ、ツトムが心からの言葉を口にする。


「いや、技師長。グライザさんは本当に凄いですよ。僕の拙い知識から、すぐに形にしてくれる。彼女の機転には何度も助けられました」


  「ほう! なら勇者殿……いっそ、こいつを嫁に貰ってくれねえか?」


「なっ、オヤジ! 酔いすぎだろ! 私はツトムから知識を聞いて、それを形にするのが楽しいだけだ。ただ……ただ、一緒にいるだけでいいんだ」


 必死に否定するグライザだったが、技師長はニヤリと笑って追い打ちをかける。


「嫁になれば、もっと近くで、朝から晩まで話が聞けるんじゃねえのか?」


「…………」


 グライザは呆れたように首を振ったが、その直後、伏せた瞳を揺らしながらボソリと呟いた。


「……ツトムの嫁になったら、もっと近くで……現代の技術の話が、聞けるのかな」


   いつもはクールな彼女が見せた、あまりに純粋で不器用な反応。

 しかし、それを聞き逃す二人ではなかった。


  「技師長ぉ! ツトムにはこの愛人のルカがいるんですからねぇぇぇ!」


  「何を言う! 『愛するアイリス』と言われた私こそが、ここに控えているのだぞ!」


 ルカとアイリスが乱入し、技師長にグイグイとにじり寄る。


  「おいおい二人とも、落ち着けって! 技師長も本気で言ってるわけじゃないさ。グライザのような素敵な女性に、僕じゃ釣り合わないよ」


 ツトムが苦笑いしながら放ったその一言が、さらに火をつけた。


  「『グライザ、素敵』!? ツトォムォォォ! 私の方が素敵でしょ? ねえ、そうでしょ!」


 ルカが怒り半分、嫉妬半分でツトムの袖を引く。


  「ツトム殿! 『愛するアイリス』が一番素敵だろう? なあ、そうだろ!?」


「二人とも近いって! 飲み過ぎだぞ! ……うむ、分かった、分かったから。みんな素敵だ。僕には勿体ないくらい、みんな本当に素敵だよ」


 ツトムは苦笑いをしながら言った。 その降参宣言に、三人の美女たちは不満げながらも、どこか嬉しそうに頬を染めるのだった。


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