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39歳の平凡な中小企業(さつまいも製造販売)の社長!農業スキルで異世界無双!(1000PV越えありがとうございます)  作者: 一年目の平凡な中小企業の社長


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第28話:ジミーナ村の成功とルカの胸のざわめき

 その夜を前に、4人は視察を兼ねて村を歩いて回ることにした。 黄金色に輝く広大な畑。立派に改修された家々。そして何より、将来への不安が消え、希望に満ちた顔で働く村人たちの姿。


「……僕たちのやってきたことは、間違いじゃなかったんだな」


   活気づく村の様子を眺めながら、ツトムがポツリと漏らした。その言葉に、ルカが誇らしげに胸を張る。


「ふふん、私の目に狂いはなかったわね。ツトムを異世界に連れてきて、本当に正解だったわ!」


「なんだよ、いきなり……」


 自信満々に言い切ったルカに、ツトムは少し照れたように視線を逸らした。だが、すぐにその表情を引き締める。


「……しかし。これで飢えは凌げたかもしれないが、根本的な問題はまだ解決していないよな」


 ツトムの言葉に、隣で微笑んでいたアイリスとグライザも表情を改めた。 ベニ・ハルーカが王都を救い、村を潤したのは事実だ。だが、この空の下には未だ魔王の呪いが渦巻き、不自然な不作や魔物の脅威が消えたわけではない。


「そうだな。この豊かさを一過性のものにしないためには、やはり呪いの元を断たねばならん」


 アイリスが騎士らしい凛々しさで頷くと、グライザも静かに言葉を添えた。


「流通と生産の基盤は整った。次は……この平和を守るための、より直接的なアプローチが必要になるだろうな」


「ああ。食う心配がなくなった今だからこそ、腰を据えて考えなきゃいけないんだ。この世界の『これから』をさ」


 ツトムの視線の先には、夕日に照らされた広大なサツマイモ畑と、その向こうに広がる未だ闇の深い空があった。 一時の安らぎを噛み締めながらも、4人の心はすでに次なる「開墾」――魔王という名の病根を取り除く戦いへと向かっていた。

 村長が用意した「精一杯のおもてなし」は、ツトムの想像を遥かに超えるものだった。 テーブルを埋め尽くすのは、村自慢の食材と、ふんだんに使われたベニ・ハルーカ料理。蜜が溢れる焼き芋、黄金色の芋きんとん、そしてホクホクの芋を添えた肉料理……。


「村長! 嬉しいけれど、これ、村の備蓄は大丈夫なのか?」


 ツトムは思わず心配になったが、村長は顔を綻ばせて


「皆さんのためなら惜しくはありません!」


 と太鼓判を押した。

 宴が深まるにつれ、案の定ルカの酒が回り始める。


  「いいー? アイリス。私がねぇ……ツトムをねぇ……この世界に連れてこなかったら、今頃たいへーなことになってたんだからぁ! だからツトムは、わぁしが一番、だいしゅきなんだからねー!」


 ルカがアイリスの肩に寄りかかりながら、呂律の回らない口調で絡みつく。


「何を言うか! 『愛するアイリス』と直々に言われた私こそ、ツトム殿にとって最も大事な存在に決まっているではないか!」


 アイリスも負けじと、ルカを挑発するように言い返した。


 二人の「一番」を巡る戦いが勃発する中、グライザが呆れたようにため息をつく。


「やれやれ。また始まったぜ……。ツトム、こいつら当分止まらないぞ」


「ははは……。さて、明日はグライザの故郷、ドワーフの街に行くんだからな。二人とも飲みすぎるなよ!」


 ツトムは苦笑いしながら二人を宥めたが、その喧騒を背に、ふらりと外の風に当たりに出た。

 夜風は心地よく、村の畑から土の香りが漂ってくる。


  (……もし、あのまま生きてたら、今頃何をしてたんだろうな。こんなに成功をおさめることなんて、できてたのかな……)


 ふと考えにふける。異世界で「勇者」として、そして「農家」として成し遂げたことは、かつての自分には想像もつかないことだった。


「ツトム? どうしたの?」


 背後から、少しだけ酔いが醒めたような、あるいは酔ったふりをしたルカが顔を出した。夜風に揺れる彼女の髪が、月光を浴びて淡く輝いている。

 ツトムは夜空を見上げ、小さく首を振って微笑んだ。


「ルカは優しいな。……いや、なんでもない。さぁ、明日も早い。もうひと踏ん張り、頑張るとするか」


 ツトムは努めて明るい声でそう言うと、宴の明かりが漏れる宿の方へと歩き出した。 だが、ルカはその場に立ち止まったまま、夜の闇に消えそうなツトムの背中を、いつになく心配そうに見つめていた。


(……あんなに大成功を収めて、みんなに感謝されて。それなのに、時々あんなに遠くを見つめるのは、どうして……?)


 ルカは胸の奥が少しだけ締め付けられるのを感じた。自分がこの世界に彼を連れてきた。その責任と、それ以上に膨らみ続ける彼への想いが、彼女の瞳を曇らせる。


「……置いていかないでよ、ツトム」


 小さな、誰にも届かない呟き。 そんな感傷を振り払うように、ルカはパタパタとツトムの後を追い、いつものようにその腕に飛びついた。


「ちょっと! 置いてかないでよ! 明日のドワーフの街、私が一番に案内してあげるんだからね!」

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