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39歳の平凡な中小企業(さつまいも製造販売)の社長!農業スキルで異世界無双!(1000PV越えありがとうございます)  作者: 一年目の平凡な中小企業の社長


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第10話:ドワーフとイモジョウチュウ

「そうか。ならば技師長、取引トレードといこうか。君たちが僕の望む貯蔵庫を作ってくれるなら、僕は君たちに『王族が飲むビールより強い酒』を、この芋から作って提供することを約束しよう」


「……あぁ!? 芋から酒だぁ? そんな話、聞いたこともねえぞ!」


「『蒸留』という技術を知っているか? 加熱して、冷やして、抽出する。君たちの熱管理技術があれば、ベニ・ハルーカを原料にした最強の酒――『イモ・ジョウチュウ』が作れるはずだ」


 ドワーフたちの顔つきが変わった。 「ビールより強い」という言葉と、未知の製法。職人の探究心と酒乗りの本能が、彼らの心を捉えたのがわかった。


「……面白い。もしその『ジョウチュウ』とやらが本当に飲める代物なら、貯蔵庫どころか、あんたの農場に最新鋭の設備をタダで備え付けてやってもいいぜ!」


(よし、エンジニアの確保完了だ。キュアリング施設の建設と同時に、アルコール産業への参入……。事業ポートフォリオがまた一つ、厚みを増したな)


 僕はルカとアイリスを連れ、ドワーフたちと設計図の作成に取り掛かった。

 ドワーフの工房の一角に、奇妙な装置が組み上がった。 僕の引いた図面を元に、ドワーフたちが心血を注いで鍛え上げた銅製の蒸留器だ。


「よし、材料は揃ったな。……ルカ、例のブツを頼む」


「はいはーい! 任せて社長! エイッ!」


 ルカがポンポンと、本来この世界には存在しないはずの「米麹」や「発酵用の樽」を取り出していく。やけにテキパキと動くし、いつになく目がキラキラしている。

(……やたら張り切っているな。福利厚生(芋)のために頑張ってくれているのかと思ったら、さては自分が一番飲みたいだけだな?)


 そんな確信を抱きつつ、仕込みから数日。 ついに、蒸留器の細い管の先から、透き通った一滴が滴り落ちた。


「……技師長、これが『初垂れ(ハナダレ)』だ。最もアルコール純度が高く、香りが凝縮された最初の一滴だぞ」


 僕はその貴重な液体を小さな杯に受け、ドワーフの技師長に差し出した。

 アイリスが「そんな水のようなものが本当に酒なのか?」と不審げに見守る中、技師長はそれを一気に煽った。


「…………ッッッ!!!???」


 技師長の顔が、一瞬で茹で上がったタコのように真っ赤に染まる。 そのまま、ガクガクと膝を震わせ、巨体がドスンと床に崩れ落ちた。

「ぎ、技師長!?」 アイリスが慌てて駆け寄るが、技師長は焦点の定まらない目で、しかし満面の笑みを浮かべて叫んだ。


「……ん、んめぇぇぇぇ! なんだこりゃあ! 喉が焼けるような熱さの後に、あのベニ・ハルーカの甘い香りが鼻を突き抜けていきやがった! 王族が飲んでる薄っぺらいビールなんざ、これに比べりゃただの泥水だ!」


 その咆哮に、他のドワーフたちも色めき立った。 「俺にも飲ませろ!」「技師長だけずるいぞ!」


「ちょ、ちょっと! 私の分は!? 社長、私のもあるわよね!?」

  ルカがよだれを垂らさんばかりの勢いで詰め寄ってくる。


「……ルカ、お前は後だ。まずはこのドワーフたちのやる気を最大まで引き出すのが先決だ。――さて、技師長。この酒の価値が分かったなら、例のキュアリング施設の建設、最高速度フルスピードで進めてもらえるな?」


「当たり前だ! こんな酒を飲ませてもらって、手を抜ける職人はドワーフにゃあいねえ! 野郎ども、今夜は徹夜だ! 勇者様のために最高の貯蔵庫を造り上げるぞ!」

(交渉成立。……さて、この『イモ・ジョウチュウ』。単なる報酬だけでなく、この国の経済を牛耳る強力な「外貨獲得手段」になりそうだぞ)


 熱狂する工房の中で、僕は次なる経営戦略――「酒類販売免許の独占」と「流通網の構築」を冷徹に描き始めた。


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