表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
隣の鈴木くんと鈴木さん  作者: 双鶴


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/16

14話

「進路希望調査、まだ出してないんだ」

佳奈子が、昼休みに言った。

「え、珍しいね。いつも早めに出すのに」

和也は、パンをかじりながら答えた。


「なんか、迷ってて。理系に進むか、文系にするか」

「理系じゃないの?」

「うん。でも、最近ちょっと……“言葉”の力も面白いなって思って」

「それ、俺の影響?」

「かもね。“銀河を見つめる午後”とか、あれ、詩みたいだった」


和也は、少しだけ照れた。

自分の妄想が、誰かの進路に影響を与えるなんて。

それは、ちょっとだけ誇らしかった。


放課後。

進路希望調査の紙を前に、和也は悩んでいた。

「艦長、進路選択です」

副官が言う。

「うるさい。これは、宇宙航路より難しい」

「目的地は?」

「……“隣にいられる場所”」


その夜。

佳奈子は、進路調査の紙を前に、ペンを止めていた。

“理系”と書こうとして、“文系”に傾きかけている。

“鈴木くんと、同じ方向に進みたい”

その気持ちが、少しだけ迷いを生んでいた。


翌朝。

和也は、佳奈子に声をかけた。

「ねえ、進路、決まった?」

「うん。理系にした」

「そっか。俺も、理系にした」

「え、ほんと?」

「うん。“妄想を現実にする技術”って、理系っぽいでしょ」

「それ、ちょっとかっこいいかも」


二人は、進路調査を提出した。

同じ方向に進む。

それだけで、少しだけ安心できた。


昼休み。

佐伯美羽が言った。

「鈴木くんと佳奈子ちゃんって、進路も一緒なんだね」

「うん。偶然だけど、嬉しい」

「偶然じゃないでしょ。お互い、影響し合ってるんだよ」

佳奈子は、少しだけ黙った。

“影響し合う”

それは、隣人以上の関係かもしれない。


放課後。

和也は、佳奈子に言った。

「ねえ、卒業しても、隣にいられるかな」

「うん。進路が同じなら、きっと」

「じゃあ、条約追加。“未来も隣であること”」

「発効!」


マンションの前。

「じゃあね、和也」

「うん、また明日、佳奈子」


名前で呼び合う声は、今日も変わらず響いた。

でも、その響きは、未来に向かっていた。

それは、“選んだ道”と、

“選ばれた隣”が重なった音だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ