【第8話:ラウマの白い巫女】
山岳の高地にぽつんと白い祠。
それは女神ラウマを祀る祠で、内部に白い立像を収める。
微笑み両手を差し出す姿は、泉のラウマ像と同じ姿。
今天空から太い黄金の柱が降り落ち、祠の屋根に落ちる。
それは屋根には遮られず、女神像の前に収束していく。
そこには二重の円環に金色に染められたユアの姿。
装備はしておらず、白地のシャツとミニスカートも白でそれぞれオレンジ色のラインが縁に入る。
内側の円がほどけ三人の姿を取る。
アミュアとノアとラウマが手をつなぎ円を成す。
両手の光も収まっていき外側の金色に照らされる4人が降り立つ。
アミュアたちはおそろいの膝丈ワンピースを着て、今日は三人とも髪は結んでいない。
それぞれカラーになった首からスカートの裾まで、心臓の上を通り細いラインが入る。
アミュアは水色、ノアは紫、ラウマはレモンイエローだ。
このラインは背中側にも入る。
ふわりとスカートの裾が収まり、外円も光を失っていく。
僅かな時間だが、祠の内部は黄金で満たされ、4人の娘を降り立たせた。
泉の祠と全く同じ作りだが、若干くたびれている。
真っ白のラウマ像は同じ物で、綺麗に磨かれ清められている。
祠自体が整えられ、像の足元には供物まで供えられている。
綺麗な茶色の小さなパンが供えられていた。
まだ新しいもので、誰かがこの場所を整えている事が伺い知れた。
「ついたのかな?」
ユアはきょろきょろして祠を見渡している。
景色を見ればはるか外界が望む雲より高い土地だが、緑色の草原が広がっている。
雲一つない清冽な空気と白い祠がコントラストをなす。
三人は手繋ぎをほどいて、アミュアはユアのそばに寄り添い、ラウマのそばにはノアが寄り手を取った。
「お待ちしておりました勇者様、眷属様方」
澄んだ高い声に目を向けると、数段の階段の下まで祠から赤い絨毯が伸び真っ白な服を着た少女がひざまずき頭を垂れている。
「女神ラウマ様よりご意思をいただいておりました」
すっと顔をあげる少女。
着ているものは白地の巫女服で、黄金の飾り紐と刺繍がなされた神々しい姿だった。
耳の上にも黄金の髪飾りが付いている。
4人はとても見覚えのあるその顔に驚く。
鳶色の大きな瞳が整った小顔にのり、明るい茶髪が背に流れ落ちている。
16才くらいのそのかんばせは、エイシスのもの。
それはイーリス達姉妹のものでも有る。
「わたしはエイリス。ラウマ様の巫女でございます勇者様、眷属様方」
そこにはマルタスが失ったと告げたエイシス達の母の姿があった。
若々しい姿のままで。
話してみるととても明るく人懐っこい少女だった。
「そうなんですね!あの泉の祠‥‥まだちゃんとあるんだ嬉しいな!」
「うん、わたしはあそこで生まれユアに名付けられたので、あそこが故郷です」
エイリスにアミュアが答えた。
巫女エイリスはあの祠の側にある集落で生まれ育ったと話した。
ユアもアミュアの隣に腰掛け、お茶をもらっている。
(すごい美味しいお茶だ‥‥おかあさんのお茶ににているな‥‥)
いただいたお茶が母の時々淹れてくれたものににていて驚くユア。
高原の涼やかな風がお茶の香気を運んでくる。
三人は同じ白いテーブルセットに腰掛けている。
折り畳める簡易なものだ。
「今日のこのくらいにきますよと、ラウマ様から夢でお告げが有ったのです」
エイリスはそう話した。
直ぐ側にもう一つ同じテーブルセットが置かれ、そちらにはラウマとノアが座り、巫女の付き添いなのかとても綺麗な金髪の少女が白い服で接待している。
ユアの視線をみてエイリスが説明する。
「あの子はメアリーって言うの。‥‥ええと‥‥わたしの妻です‥‥」
ぽっと真っ赤になるエイリス。
わぁっとアミュアも頬を染めエイリスの手をとる。
「わ‥‥わたしもユアのつつ、妻です‥‥」
てれてれになりながらエイリスに話すアミュア。
左手のリングも見せて、これが証なのですと説明している。
「すてきだなあ‥‥ラウマ様にお祝いしてもらうなんて‥‥」
アミュアに女神ラウマと女神ノアが祝福してくれたリングなのですと説明を受けたのだ。
そっとエイリスは左胸に触れる。
「わたしとメアリーのリングはここにあるの‥‥生涯なくさないように」
そういって目を閉じ幸せそうに左胸を両手で抑えた。
「素敵だとおもう‥‥そうゆうのもいいな‥‥」
アミュアはこころにリングがあると思い、素敵な考えだと羨んだ。
エイリスはにこりとして、話を戻した。
「それでユアさんのお聞きになりたいこととはなんですか?」
ユアはエイリスを見つめながらまっすぐに核心から話す。
「今あたしが知りたいのは巫女の能力で、アストラル・プロジェクションの能力。カーニャと言う巫女の血を引いた子を救いたいの」
話しながらユアは涙を落とす。
それを痛ましそうに見ながら、エイリスは問い返す。
「巫女がわたし以外にも居るんですか?」
アミュアがユアの手を取り、引き継いで答える。
「いえ職業は巫女ではなくてハンターです。巫女の血を引く女の子の話です。今カーニャはとても辛い事があり、心を失っているのです。ラウマ様がそうおっしゃいました‥‥」
ユアも頑張って涙をこらえ続ける。
「カーニャもあたしと結婚したの‥‥もうずっと一緒だよって約束してあげたかったの‥‥その後からおかしくなってしまって‥‥クスン」
「ユアさん‥‥」
ユアの悲しみを見て、エイリスもまた目を赤くする。
そっと手を取り言葉を次ぐ。
「お力になれたら嬉しいです。なんでも聞いて下さい」
「ありがとうエイリス‥‥よかったらユアと呼んでね」
にっこりひまわりスマイルが花開き、涙を止めることができたユア。
ぽっとエイリスは真っ赤になり、慌てて手を放した。
エイリスの手のひらにはオレンジ色の模様があり、ちょっと気になるアミュアだが、今はカーニャの話と、たずねることはしなかった。
「とても幼い感じになって、えと19才?だっけユア」
「ううん20才になったよカーニャ」
「なんだけど‥‥小さい子どもみたいに話して行動するの‥‥」
エイリスは思案顔で考え込んだ。




