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【第53話:みんなの晩餐会を】

新しく4人加わり、方針も決まった所で、晩御飯をいただきましょうとエリセラの提案。

「せっかく知り合えたのです、ぜひ仲良くしたいと思います」

そうお笑顔で言ってくれたのだった。

カルヴィリスにノアが、アイギスにユアがべったりなのも理由の一つだ。

ホテルの最上階に高層階の乗客向けラウンジがあるが、そこで更に奥にあるスカイラウンジを借り切った。

エリセラとカーニャがいると、金銭感覚がおかしくなるとアミュアは嘆いた。

クラスAのハンターと貴族当主、二人とも資産の桁が1つ2つアミュア達と違うのだった。

せいぜい金貨までの金額で動くアミュア達と白金貨で資産を表す者とのちがいだった。

身内だけとなったので、ドレスコードはいいかとなったが、エリセラがどうせならとホテルの貸衣裳まで駆使して娘たちを飾り立てる。

カーニャは自前でも持ってきていたドレスがあり、アクセサリーまで含めて自分でコーデ。

ユアにはエリセラと意見の合うカルヴィリスが二人で取り組む。

「ユアはやっぱり暖色があうわね」

「そうですわね、アクセサリー類も白金と金にしましょう」

「おなかすいたよ?」

ユアは早くご飯の方が良い様子だった。

そうして鮮やかなオレンジに黄色のグラデーションをいれる、すばらしいお姫様が出来上がった。

「なんか‥‥歩きにくいよぉ」

おなかの辺りを気にするユアに、朱色のナイトドレスでカーニャが腕を組む。

「ふふ、かわいいよユア。お化粧もいいわね」

にっこりとカーニャに笑いかけられ真っ赤になる。

ユアの次はエイシスもエリセラに連れて行かれたので、後で見るのが楽しみとカーニャは笑った。

一階の貸衣裳店舗スタッフが、アミュア達三姉妹を大変気に入り、全力でお仕上げいたしますとエリセラから三人を預けられた。

かなりスタッフ達の鼻息が荒かったので、楽しまれている頃だ。

チーンとなり最上階のラウンジに三姉妹が現れる。

大きなラウンジに何組かいた他の客からもため息が漏れる。

「なんと美しい‥‥女神様のご降臨か?!」

などと声も漏れてきた。

実際に女神ラウマの分霊たちなので、間違いではない。

ホールに進み来る三人はおそろいの色使い。

白を起点に各々の髪色に合せて差し色を入れてあった。

ドレスのカットもデザインも違うが、同じテーマのまるで芸術品のような仕上がり。

豪華な黄金を振りまきラウマが現れる。

「すごい‥‥ラウマが女神さまだよ?」

「うれしいわ‥‥ユア」

次は繊細な銀をまとうアミュア。

「アミュアぁ素敵だよ‥‥」

「えへ‥‥ありがとユア」

三人目の女神はアミュアと同じ銀をまとうが、少し鈍い銀は髪色を意識したコーディネート。

「ノアも綺麗になったね」

「うん!お化粧もしたよぉ」

はにかむといつものノアだった。

各所に水晶と紫水晶がまとわれて、瞳の色とも揃えられる三人。

なさに三女神の姿がそこにあった。

控えめだがエイシスもカルヴィリスもそれなりにおめかし。

エイシスは綺麗な小粒のサファイヤの首飾りで飾られ、緊張した様子。

首飾りだけで金貨が何枚かかかりそうであった。

カルヴィリスはアイギスのイブニングにベタ惚れで、黒いドレスですり寄っていた。

「アイギスかっこいいよ‥‥」

ぺとっと腕を抱くカルヴィリスは頬紅だけではない赤みを見せていた。

レヴァントゥスもアイギスとそろいのイブニングで、セリシアの腕を取る。

笑い合う二人の親密さに周囲も羨むほど。

エリセラも年齢よりずっと若い顔をしているので、娘たちに劣らない美しくシックな仕上がり。

この美女9人をアイギスとレヴァントゥスの美形が連れてラウンジを進む。

「どこの王子様達が引き連れた集団だ?」

などと噂が流れていた。

そのまま奥のエグゼクティブスペースに流れていくのでいよいよ本物かと騒がれた。


食事も素晴らしいものを準備してもらい、各々くつろぎながらいただいた。

奥の貸切スペースは外が贅沢に見えて、公都エルガドールの夜景を楽しめた。

控えめにピアノが演奏されていて、抑えた照明がラウンジ全体をしっとりと照らす。

一箇所に集めるスタイルでは無く、丸テーブルをいくつか準備され、別れて食事をたのしんだ。

視線は全員をとらえられる工夫の配置がレベルの高さを感じさせる。

ここの公都エルガドールで五本の指に入る三つ星ホテルだった。

食後は自由にラウンジ内で親交を深める。

大人組のエリセラとカルヴィリス・アイギスが奥のバーで話をしていた。

「そうですか‥‥おめでとうカルヴィリスさん。落ち着いたらぜひ家にも遊びに来てくださいね」

二人は冬に子供が産まれるのだと、エリセラにも話した。

「ルメリナはいい街でな。とても住みやすいよ」

アイギスもカルヴィリスも見た目上の年が近いので、仲がよくなり遠慮が少なくなる。

こういった空気の作り方もエリセラはとても上手かった。

必要なだけの丁寧さと、親密さを織り交ぜるので、知らぬ間に仲がよくなる。

笑顔の使い方も無意識ながら適切だ。

カルヴィリスは内心舌を巻いていた。

(アイギスがこんなに早く、笑顔をみせるなんて‥‥カーニャの母も只者ではないわね)

そうカルヴィリスがちょっと嫉妬する程度にはアイギスも心を開いた。


お酒を禁止されている不良娘達は、集まってわいわいとセリシアを冷やかして楽しんでいた。

レヴァントゥスとカーニャはこっそり抜け出して、少し内緒話。

「レヴァントゥス‥七星賢者達の事知っているの?」

意外な切り口に目を眇めるレヴァントゥス。

「そうだな‥‥セルミアの部下だった頃にかなりやり取りはあったな」

慎重に言葉を選ぶレヴァントゥス。

カーニャの事情もだいたい理解しているので、気を使うのだった。

ちょっと目を伏せたカーニャは微笑みを添える。

「気遣いは要らないわ‥‥ユアは全て癒やしてくれるの」

ユアの事を話すと、ちょっと誇らしげになるカーニャ。

「そうか、特にエルヴァニスとは付き合いが多かったな‥‥セリシアも僕が引取、セルミアに引き渡した」

レヴァントゥスの瞳に悲しみの色が交じる。

セリシアを愛する今となっては、忌まわしき過去でもあった。

「そう、嫌なら手短でいいのだけれど。知っていれば教えてほしいの。‥‥受精卵を育てるのはどれくらい時間がかかるものなの?私達姉妹はちょっと状況が特殊で3年以上かかったと調べたわ」

なんでもないことのように口にするカーニャは、すでにその出生の重さを受け止め終わっているのだった。

カーニャにとっては過去の話となる。

「そうだな‥‥コピーとレプリカって話しは聞いたかい?」

「ええ‥‥エルヴァニスはおしゃべりだったからね」

クスリと笑うカーニャに、驚きを隠せないレヴァントゥス。

「君は‥‥本当に強いのだな‥びっくりするよ」

レヴァントゥスはほぼカーニャの辿った地獄を理解しているのだ。

「‥‥胚の状態にもよるが、少なくとも成長させる制御に普通は1年以上はかかると思うよ。賢者会では魔法的時間凍結を使っていた‥‥謎の技術だったよ。影獣にとっても過去の超技術だと聞いた」

カーニャは興味を示す。

「半年で生まれるなんてことはないわね?」

「それは普通にただ成長させても無理がある。産まれても長生きできないよそれでは」

レヴァントゥスは痛ましそうにちらりとエイシスを見る。

「あの巫女のレプリカを作ったときは3年以上調整にかけているね」

視線の先を確認したカーニャの眉があがる。

「そんな言い方はやめて‥‥エイシスは本当の妹だと思っているの私」

「すまない‥‥配慮が足らなかったよ」

するりと音もなくユアがレヴァントゥスの死角に立っている。

「ユア‥‥いいの平気よ」

気付いたカーニャがため息。

「うわあぁ?!」

レヴァントゥスもやっと気付く。

「カーニャをいじめたら許さないからね」

じろっとレヴァントゥスを見るユアの目は赤い光をまとい、右手には金色の粒子が少し舞っていた。

「大丈夫よユア‥喧嘩してないからね。もう少し話しをさせて」

「うん‥‥わかったよぉカーニャ‥‥」

カーニャの一瞬の怒りを捉えて、ドレスを壊さないぎりぎりの速度で、レヴァントゥスを襲いに来たユアだった。

カーニャに言われてちらちら気にしながらも、アミュア達のところに戻っていった。

「ごめんレヴァントゥス。うちのユアはとてもするどいのよ?私の気持ちに」

にっこりとご機嫌になるカーニャと、冷や汗を流すレヴァントゥスだった。

「なんかいつもユアは僕に厳しいのだが?!」




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