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【第52話:愛するということと影獣】

セリシアとレヴァントゥスの話しは、ホテルの前室として借りたユアとアミュアの部屋で一旦聞くこととした。

アミュアはエリセラ達に、エイルマルク家での話も含め、事情を先に説明に行った。

「それで?まずいこととは?」

カーニャが問いかけて会話が始まる。

ユアとセリシア・レヴァントゥスと4人で応接セットを埋める。

レヴァントゥスは真剣になり顔を引きしめた。

「実はセリシアを匿って、ルメリナで防衛を手伝ってからね、影獣達からは敵認定されてるんだよね僕」

レヴァントゥスは自嘲気味にかたる。

「まぁもとからユアに接近した時点で、半ば敵扱いだったけどね」

レヴァントゥスの話が核心に続く。

「影獣達の動きがおかしい‥‥敵に回ってからは、ちょっとあちこちアンテナ貼ってたんだけど、ミルディス公国が特におかしいね。ヴァルデンもおかしかったけど、それはユア達が動いたからだね」

ちらとユアとカーニャを見るレヴァントゥス。

前回の事件を指しているのだろう。

「簡単に言うとね‥‥集められているんだよ‥‥影獣が」

ぞくっとユアもカーニャも悪寒を覚える。

「シルヴァリアが去ってからその傾向は強かったけど。今回のは異常だよ‥‥世界中から集めているね」

レヴァントゥスのほほを冷や汗が落ちる。

「逆に言うと集められるだけの力がそこにある。僕ら影獣は力だけが従う指標だ」

ユアもカーニャも意味に気付く。

「力持つもの‥‥少なくとも王を超える‥魔王に準拠する何かがいるんだ‥‥ミルディス公国に」

魔王と言う単語にカーニャがピクと反応し、ユアはそっと手を握る。

カーニャは大丈夫と言うように頷いて、レヴァントゥスに向き直る。

カーニャがこちらの事情も説明していく。

ユアは顔色が悪いカーニャが心配で寄り添う。

セリシアもハンカチでそっとレヴァントゥスの頬を拭い、女の子らしい所を見せた。

一通り話して、近日その西部辺境の調査に行く話になった。

「よかったら‥‥僕らも同行しよう。戦力になるよ」

「私もユアを手伝いたい‥‥恩をかえしたいわ」

セリシアの手を取るユア。

「ありがとう‥‥恩なんてないとあたしは思ってるよ。手伝ってくれたら嬉しい」

にっこりのユアにセリシアも透明な笑みを向けた。

カーニャは終始顔色が悪いが、しっかり微笑み、承認と歓迎を示した。

「でも‥‥なんか二人とも影獣の気配がすごく薄い‥‥抑える技術があるの?」

ユアが気になって尋ねる。

「そうだね技術はあるけど、なにかそれと違う意味もあるかもしれない‥‥セリシアのお世話をしていたらね、だんだんこうなったんだ‥‥逆に影獣の技術が使いづらくなった」

お世話の話しでセリシアはぽっと真っ赤になり俯く。

非常にわかりやすいなとカーニャはにこにこする。

「なんか前にカルヴィリスも同じ事いっていたな‥‥」

ユアはポルト・フィラントで話した夜を思い出していた。

それはアミュアとの温かな想い出もセットで微笑みを生む。

コンコンとノックがなり、カーニャが対応する。

3人の見つめる中で、カーニャはカルヴィリスとアイギスを伴いもどる。

「ええ?!義兄さん、カルヴィリス?!」

ユアはぴょんと飛んでいってアイギスに抱きつく。

「急ですまぬ。そこでノアとラウマと会ってな」

アイギスは微笑んでユアの頭を撫でる。

カーニャは二人を応接に案内する。

「おどろいた‥‥カルヴィリスほんものか?!」

「なによ、変なききかたね?」

「いや‥‥自分でわかるだろ?異常だ‥‥」

レヴァントゥスは立ち上がっていて、驚きの表情でカルヴィリスを指差す。

すっとアイギスが鋭い目で割って入る。

「あ!いえすみませんレヴァントゥスと言います。カルヴィリスさんにはお世話になっていまして」

「影獣だな?かすかに気配がある」

ちらとセリシアにも目線を流すアイギス。

不穏に思いユアがとりなす。

「にいさんちがうのよ!レヴァントゥスはいい影獣になったの‥‥セリシアもいい子よ」

言い方に語弊はあるが、ある意味正しい評価であった。

互いに初対面の部分をユアが紹介して、一旦4人でかけてもらう。

ユアがベッドにすわり、カーニャはお茶を淹れに行く。

「‥‥カルヴィリス。君には影獣の気配がない‥‥全く無い」

カルヴィリスもアイギスも視線を合せ頷く。

「まぁ、この際隠しても仕方ないから言うけどね。私アイギスの子を身籠ったの」

『ええええ?!!』

驚いたのはレヴァントゥスとセリシアだけ。

「あれ?ユアしってたの?」

「‥‥ごめんノアから聞いた‥‥お祝いしたいから内緒で教えるといってた。ゆるしてあげて‥‥」

ユアはノアをかばい告げる。

「いいのよ‥‥むしろごめんね報告遅くて。これからは本当に姉妹になるわねユア」

「うん!」

にっこりと嬉しそうなユアと、照れて頬が染まるアイギス。

レヴァントゥスは思案顔で続ける。

「実は僕も同じような変化があってね‥‥影獣の力がとても使いづらくなった‥‥弱くなったわけではないけど‥‥抵抗があるというか」

戸惑いながらレヴァントゥスが説明する。

「あ~それわかるわ。私も最初そうだった。アイギスと暮らすようになってからだったな」

顔を見合わせた二人に理解の兆し。

レヴァントゥスはセリシアを、カルヴィリスはアイギスを見る。

『そうか‥‥』

二人の意見は一致をみて、声がそろった。

レヴァントゥスはカルヴィリスに向き直り告げる。

「僕らが相手や心を大事に思うと‥‥そうなる?」

「なによ、照れる歳じゃないでしょ?愛し合ったらそうなったと言えばいい」

カルヴィリスがせっかく遠回しに言ったレヴァントゥスをいじめる。

「くぅ‥‥」

真っ赤になり顔を隠すレヴァントゥスとセリシア。

セリシアは首や腕まで真っ赤になる。

「え?なになに」

ユアが解らずに問い返そうとすると、カーニャにひっぱって連れて行かれる。

ごにょごにょと耳打ちしてユアが叫ぼうとすると、すばやく口を塞ぐカーニャ。

(流石だな、みごとな制御だな‥‥)

ユアをあつかうカーニャに感心する。

そこには長年妹に苦労をかけられた兄の表情があった。

こうして影獣の謎も一つ抱えながら、話しは実務に移っていった。









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