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【第51話:再会がふたつ】

エイルマルク家公館からホテルに戻る道すがら、小綺麗な喫茶店に入る三人。

せっかく綺麗な服を着てきたので、ご飯のまえに少し寄り道をとカーニャが言ったのだ。

雰囲気のよい高級な喫茶店は、貴族家のサロンのような優雅さと、思いがけず豪華なものだった。

「多分公国貴族子女の御用達ね、ここは」

カーニャの説明にちょっと背筋を伸ばすアミュア。

すんっと上品な顔になる。

くすくすとカーニャは笑い、ユアも含めて二人に言う。

「こういった場所では力をぬくものよ。貴族だってずっと気取ってるわけじゃないの。こうして視線がなくなったら『はぁ』ってなるものよぉ」

へえとユアは最初から緊張していないが、アミュアはほっとして、少し力を抜いた。

カーニャはすんと表情を引き締める。

「‥‥ね。アミュアとユアが見た砂嵐‥‥場所からいったら古代帝国のあった場所なのよ」

「うん‥‥わたしもそれ気になった」

カーニャの話にアミュアも反応する。

「あの嵐は‥‥どう考えてもあぶないものだった‥‥影獣の気配は感じなかったけど、関連があるとわたしも感じる」

「色々と繋がるけど‥‥お父様のイメージに当てはまらないのよね‥‥」

カーニャはまだレオニスと影獣をつなげて考えられない。

「なにかお父様達の持つ情報なり技術が必要になった?とか?」

「‥‥アミュアするどいな。私もあるとすればそこと思った。場合によってはお母様を狙っているとも思い、昨日からはホテルに必ずエイシスを付けたの」

カーニャとアミュアは話を詰めていくが、ユアはよくわからないので、アミュアとカーニャのお化粧した顔に見惚れている。

(あぁ‥‥あたしのお嫁さんはどっちもうつくしいわ‥‥)

いつもよりおめかしも効いていて、その高貴な魅力にユアは耳まで赤くなる。

ちらとカーニャもアミュアもユアを見るが、自分に見惚れていると確認して満足そう。

((あぁ‥‥ユアかわいいなぁ))

同じ事を考えていたりもした。

「やっぱり。調べに行こう」

「そうですね‥‥可能な限り準備はしていくべきですが」

「もちろん‥‥最大戦力で行くし、お母様の守りも安心できるようにしていきたい」

「わたしとラウマで結界をはれば、3日は悪意を近づけないものを準備できます。ホテル全体を範囲にしてもね」

「すごいな‥‥やっぱり私もアミュアに色々教わらないとな。飛行魔法も覚えたいし」

「いくらでも教えるよ!カーニャはわたしの妻でもあるんだからね!」

「あはっうれしい‥‥アミュアも私のお嫁さんよ!」

ぎゅっと手を繋ぎあう妻たちを見つめるユア。

(てえてえがすぎるわ‥‥)

と自分を棚に上げるユアであった。




ノアとラウマでお散歩タイムであった。

エリセラの護衛をエイシスにまかせて、交替で少し休もうとなったのだ。

「ノア、お買い物に行きませんか?わたし公都の洋服ちょっと気になります」

「うん!いいねかわいいの多いよねなんか」

道行く少女たちの服は、少しヴァルデン王国のそれよりシンプルで可愛い寄りだった。

ノアはかわいい服が結構好きなのだが、自分ではあまり着ない。

公都の繁華街に向かった二人は、結構な人数とすれ違う。

今日は一般的にも休日にあたる曜日だった。

「え?!ノア?!」

急に声をかけられて立ち止まるノアとラウマ。

ノアは一瞬で自体を把握し、戦士の反応で飛びついた。

「カルヴィリス!!」

ぎゅむっと上半身まで飛んで足が浮いているが、カルヴィリスも戦士の身体なので、揺らがない。

「すごいぐうぜん!まだ公都にいたんだ?」

元々アイギスと新婚旅行でミルディス公国に行くとは聞いていたノア。

「アイギスさんもお久しぶりです。カルヴィリスさんもひさしぶり!」

ラウマもにこにこと挨拶。

「本当に驚いた」

あまり驚いていなそうにアイギスも答える。

カルヴィリスとアイギスはシックなカジュアルで、色系統が似ている。

黒と朱色とオレンジだ。

これは東方異国の民族衣装と同じ配色で、二人のお気に入りだった。

ノアは前抱っこに移行して降りる気配もない。

「ノア‥‥カルヴィリスさんに負担をかけてはいけませんよ」

ラウマに怒られて、カルヴィリスに聞くノア。

「ノアおもたい?おりたほうがいい?」

カルヴィリスはノアにすりすりする。

「平気よ、いい子ねノア。会いたかったわ」

カルヴィリスも笑顔を咲かせた。

歩道の真ん中で繰り広げられる再会劇に、通りすがる人々にも笑顔が伝染していくのだった。




「ユア‥‥探したぞ」

建物の間の暗闇から声が掛かり、一瞬で戦闘態勢のユアが二人の前に出る。

「まてまてぇ!僕だレヴァントゥスだよ」

殺気を向けられて焦ったレヴァントゥスがするりと影から出てくる。

人間の出てこられる隙間ではなかった。

「レヴァントゥス!なんでここに?!」

抜きかけた雷神をまとう短剣をさやにもどし、微笑むユア。

あと1秒で斬り殺すところだったのだ。

レヴァントゥスは薄いながらも影獣の気配を持つのだ。

「あいかわらずおっそろしいなユア‥‥ちょっと色々まずいことになった。相談したい」

するりとレヴァントゥスに続いて影がでてくる。

「ユア‥えと‥ひさしぶりぃ」

ちょっときまり悪そうに出てきたのはセリシアだった。

セルミアコピーのプロトタイプにしてセルミアの妹とされていた少女だ。

ユアと面識がある。

今日はシンプルな黒のゴシックドレスだった。

「セリシア!!もう大丈夫なの?」

ユアはすぐよりそって手を取る。

もじもじとセリシアはするが、ちらっとアミュアとカーニャにも目線で会釈してユアと話す。

「うん‥‥レヴァンに聞いてたわ‥‥心配してくれてありがとう」

セリシアはエルヴァニスの再調整が強力過ぎて、回復に時間がかかったようだ。

「ふぅん‥‥レヴァンね?‥‥へえ?」

カーニャはとてもそこが気になるようで、半目になってセリシアとレヴァントゥスを交互にみた。

アミュアも察して微笑む。

「な‥‥なによぉ‥‥」

ちらちらとレヴァントゥスとカーニャ・アミュアを見る視線には照れが多量に含まれた。

真っ赤になるセシリアはとてもわかり易い、素直な女の子だった。

こうして、公都エルガドールに人が集まり、調査に方向性を見出したのであった。





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