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【第42話:公都エルガドールにて】

公都エルガドールに至ったアミュアとユア。

街は聞いていた通り広大な市街地が、正面の巨大な城に向かい伸びる大通りを中心に左右に広がっている。

街の歴史は古く、ヴァルデン王国よりも遥か前から存在するという。

公都には6つの大きな神殿があり、それぞれの前に門前町のようにも市街が広がり、それらがまとまり大きな公都エルガドールとなっているのだ。

ユア達はエルナとラドヴィスの物語を女神ラウマに見せてもらったので、実はユアの出自を詳しく知っていた。

この公都エルガドールにもゆかりのある神殿や貴族が居ることも知ったが、ユアは故郷はシルフェリアだと、それ以外を物語としてしか見ていなかった。

ただしこの街が父母の戦いの始まりの地だとは認識するのだった。

「ここからおとうさまとおかあさまは戦い始めたのですね‥‥」

「うん‥‥」

「あちらの奥にシラドルゥス神殿と教会もあるそうです。行ってみますか?」

ユアは無言で首をふる。

アミュアも頷いて、それ以上は語らない。

そこはラドヴィスとエルナの所属していた神殿なのだった。

ラドヴィスとエルナが追われた神殿でもある。

並んで手をつなぎ歩く二人は、古い町並みを珍しそうに眺め回した。

建物に朱色のレンガが多く使われ、歩道も同じレンガ敷であった。

すり減ったその歩道のうねりが年月の重みを感じさせた。

「ここは中央通り(セントラル)と言うそうですよ」

アミュアが先程買った地図を見ながら、ユアに話しかけた。

「もう少し先に噴水のある公園が見えるはずです」

「ふむふむ」

にっこりとアミュアは話しつづける。

「そこに有名なお茶屋さんがあるそうです。いってみようね」

「うん。たのしみだな」

ミルディス公国にきたら、母に教わった茶葉を買いたいとユアは前から言っていたのだ。

そうして指を絡めて手をつなぎながら二人は歩いていった。




ホテルはエリセラも泊めるので、貴族当主が泊まれるレベルの物を探した。

格式でも公都で5本の指に入る、中央通りの上手にあるホテルだ。

一泊で銀貨が一人あたり10枚以上飛ぶが、ユアとアミュアなら一回の依頼で人数分稼げる額だ。

最上階のスイートを一部屋と前室がツインで準備されているので、3部屋抑える。

廊下を挟んだ向い合せを取り、ユアとアミュアはツインの一室に今日は泊まる。

部屋が押さえられたので、二人は予定通りハンターオフィスを訪れる。

二人はランクBなので、移動滞在の申請が求められる。

ホテルに荷物を下ろし、そのままオフィスを目指した。

公都エルガドールのハンターオフィスは、割と繁華街の真ん中にあり、同じ中央通りに有った。

「ここのオフィスは優遇されてますね?」

「そうだね?王都のは町外れだったよね」

その辺りにもオフィスの支部ごとの力関係が有るのだが、ユア達にはあまり興味がない。

カランとドアベルがなり、これは必須なのかなとアミュアはにこりとなる。

ルメリナを思い出しているのだ。

カウンターに行きアミュアが色々と手続きをする中で、ユアは依頼が張り出されたボードを見に行く。

(大きなオフィスだけど‥‥ルメリナ以上に古臭いな!?)

王都やスリックデンのオフィスは割と新しいので、ルメリナだけ古いなと思っていたユアは、ここでルメリナ以上の古さに驚いたのだ。

街に調和する古いレンガ作りは、歴史をにじませる。

依頼はかなり高ランクまで出されていて、所属ハンターの人数とランクの高さがうかがえた。

依頼にはあまり聞かない魔物の名前も多く、後でしらべなきゃなとユアは思った。

ユアはアミュアの指導と、最近ではエリセラの指導でかなり読み書きができるようになっていた。

ハンターオフィスの資料類は、読み書きが苦手なハンターも多いので簡潔でフリガナまで振られる親切なものだ。

それでも高ランクになると有名な魔物の名前も多く、今はAランクはドラゴンとサンドワームの二種類だった。

(サンドワームも亜種はSまでいるな、たしか‥‥)

サンドワームは土魔法で地中を進み、直下から襲いかかる厄介な魔物で、発見されると討伐依頼が国からもでるレベルの魔物だ。

ユア達は依頼達成率が高いので、一つ上のランクの依頼が受けられる。

今だとAランクまで受けられるので、ボードの依頼はすべて受注可能だ。

(アースドラゴンの討伐出てる!狩りたい!!)

緑色のアースドラゴン系は身体が大きい個体が多く、肉も多量に取れるのだった。

ユアの唇が分泌で湿ってきた。

よだれだ。

すでにユアの中ではステーキになったドラゴンであった。

「おまたせ!ユア‥‥いい依頼ありますか?」

「あるある。ドラゴンの討伐でてるから受けようよ!」

アミュアも依頼票を確認。

全員分の宿代に充当する金額であった。

「いいですね!ぜひ受けましょう」

そうして依頼受付に再度カウンターに行くと、ちょっと偉そうな職員が寄ってきた。

「あんたら今日移動してきたんだろ?緊急依頼も有るんだがうけないか?」

ユアとアミュアは見交わし、頷く。

「聞きましょう」

アミュアは真剣な目で話しを促す。

緊急依頼は一つ上の報酬が乗るので儲かり、大好物なアミュアであった。

アミュアの目は金貨になっていた。




食事も今日は外で済まし、部屋に戻ったユアとアミュア。

「調査依頼は西武辺境ですか‥‥金額はいいのですが‥‥どうしましょう」

先程の緊急依頼は調査依頼であった。

一旦受注してきたが、緊急依頼には失敗の設定が基本的にないので、無視しても収入が減るだけで済む。

実績にはひびかないのだ。

西武辺境区で連絡の来なくなった奥地の村を見てきてほしいとの依頼だ。

「いいんじゃない?アースドラゴンの生息域と重なるし、効率よい」

依頼はBランクの緊急依頼で報酬はAランクに同じとなる。

2つこなせばかなりの稼ぎになるし、情報としても実は美味しい。

どうやらオフィスでは影獣の関連を疑っているようだ。

「夜霧なら半日の距離だし‥‥皆が来る前にいっちょ片付けようか!」

「さんせー!」

万歳するアミュアを素早く抱きしめるユア。

「やん‥‥」

「えへへ‥‥じゃあ決まった所で‥‥ゆっくりしようアミュア」

「うん‥‥」

今夜は二人っきりで、夜はまだ始まったばかりだった。












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