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【閑話:カーニャの成り立ち】

王都は外壁、内壁と二重の防壁を持ち、内壁の最奥に貴族街に囲まれ王城がある。

外壁の外にも街は広がり、ハンターオフィスも外壁の外にある。

先行して王都で情報収集活動するカーニャとユアは外壁近くの市街地を進む。

外壁と内壁の間が本来の王都で、警備もされ治安も保証される地区だ。

「ここよ‥‥少しだけ挨拶してくるから待っててね」

「うん」

にっこり笑顔で送り出すユア。

もう昨日感じた知らないカーニャへの不安は残っていないのだった。

午前中に沢山カーニャの温度を感じたから。

ここは男爵家の敷地で、カーニャが王都時代に世話になった貴族とユアは聞いていた。

この奥にカーニャの用事があるのだ。

門番と親しげに話すカーニャは、本当にここで世話になったのだろう。

ひそかにユアはひやりとしていたのだった。

(ここ‥‥普通の貴族家じゃないね‥‥気配がちがう)

ユアも傭兵団で育てられたので、こういった気配に敏感だった。

門番の練度や視線に込められた意思を受け取ってしまうのだった。

カーニャは中には入らず、出てきた黒服の男とだけ話したようで、すぐに戻ってきた。

「ごめんねユアおまたせ」

「へいきぃ」

すっとカーニャの腕を取りつつ、ちらりと先程の男をみるユア。

視線をカーニャには気づかせない。

ぽっと一瞬ユアの瞳に赤い光りが灯る。

挨拶だけしようと思ったのだった。


「れ‥‥レオン様‥‥あれなんです?」

がたがた震える門番が、横で同じ様に震える黒服に尋ねた。

「‥‥わかるかよ‥‥カーニャ以上の化物だとはわかったがな‥‥」

二人はふるふるしながらカーニャ達を見送るのだった。

ユアの一瞬の殺気に当てられて。


敷地の奥にすすむとユアにもカーニャの用事がわかった。

そもそも花束を買った時点でわかっては居たのだ。

目的地は墓地だったのだ。

カーニャが立ち止まったので、少し遅れて進んでいたユアも、すぐ後ろで立ち止まった。

「とてもお世話になった人なの‥‥私が15才のときに亡くなった‥‥御恩を何も返せなかったの」

そっと白い花束を供え、しゃがんで手を合わせるカーニャ。

ユアも習って立ったままだが手を合せた。

(カーニャがお世話になりました‥‥これからはずっとユアが側で守りますご安心を。どうか安らかに)

名前もどんな者かもカーニャから話はなかったが、この家のものならカタギではないだろうなとユアは思った。

ただ、カーニャの目にある感謝は本物だとわかるので、ちゃんとお祈りしたのだった。

それはどちらかと言うとカーニャのための祈りだった。




次にカーニャが向かったのは郊外にあるまた別の貴族邸。

先程の家が男爵家だとだけカーニャに聞いていたが、こちらはユアを紹介したいと言うのでちゃんと事前に相手を聞いてきた。

ヴァルククレン伯爵という、昔からヴァレンシュタイン伯爵と対立していた貴族と聞いた。

応接に通されて待つと、上品な若い婦人が現れた。

にっこり優しい笑みでカーニャを見てから、興味深そうにユアを見る。

「姉さまご無沙汰してました。こちらはユア。私の‥妻とした者ですわ」

最初に紹介されてドキドキのユア。

「ユアです‥‥カーニャのつ、つまでしゅ‥‥」

きれいに噛んで真っ赤になり下を向くユア。

「うふ、かわいいのねカーニャのお嫁さんね?」

「はい‥‥」

カーニャも真っ赤になってうつむく。

すっと視線をあげて微笑みあうカーニャと婦人。

「ユア、こちらがヴァルククレン伯爵夫人のミーセリ様よ。とてもお世話になったの」

「よろしくねユアさん。仲良くしてね」

意外に気安い言葉に安心して目をあわすユア。

(ふぁ‥‥きれいな人だな‥カーニャより少し年上かな?)

「今日はゆっくりできるのカーニャ?」

「‥‥ごめんなさい姉さま‥‥ご挨拶だけと思い寄らせていただきました」

カーニャの目に隠しきれない淋しさ。

「そう‥‥残念よ」

微笑みのままミーセリは小さく答えた。

そうして直ぐに帰ることとなったが、出口まで戻るとカーニャは唇をかみ、振り向いた。

「ごめん‥‥ちょっとだけ待っててユア」

「うん‥‥ゆっくりでいいよ」

そう言うとユアは門まで一人で進むのだった。

ユアが立ち止まりチラと見れば、カーニャがひしと婦人に抱きつく。

言葉は聞こえなかったが、カーニャの深い感謝の気持ちが漏れてきて、ユアは微笑んだ。

(きっとカーニャの王都でのおかあさまなんだね‥‥)

そのようにユアには感じられた。

カーニャが小走りに戻るのを見ていると、婦人は深々と頭を下げた。

ユアも顔を引き締めしっかりお辞儀を返すのだった。

(カーニャを幸せにしなきゃ、きっと沢山愛情をもらってカーニャにしてくれた)

顔をあげると婦人はにっこり微笑む。

その微笑みはどこかカーニャに似ていた。





最後にカーニャはユアを王都学院の正門前噴水につれてきた。

もともとこのあたりは公園もかねているので散策向きだ。

噴水が見えるベンチに並んで座るカーニャとユア。

もう夕方になり日が大分落ちてきた。

オレンジの光に照らされるカーニャにぽーっと見惚れるユア。

(カーニャは本当に美人だなぁさっきの婦人もきれいだったけど‥‥カーニャの方が美人だな。えへへ)

ユアもオレンジに照らされる以上に赤くなるのだった。

「この噴水で、前にミーナがスカウトされたでしょ?」

以前にカーニャとユア、ミーナとアミュアの四人できたことがあって、その時の話だった。

「うん‥‥ミーナいっぱい吹き上げたよね!」

カーニャの声に元気がないので、ユアは元気に答えた。

ニコっとカーニャも微笑んで続きを話した。

「私も最初にここに来たときに同じことしたのよ‥‥そして同じ様にスカウトされたのだわ」

そっとユアの手を取るカーニャ。

じっとユアを見つめながら続けた。

「ユアのお陰で私は家に帰れたの‥‥ありがとう‥‥」

「カーニャ‥‥」

そっと優しいハグでカーニャは感謝を伝えた。

「いつかここに来たらお礼を言いたいなって思ってたのよ」

「うん‥‥あたしもカーニャが仲直りできて嬉しいよ」

しばらく肩を寄せ合い並んで座っていた二人。

「今日はありがとうユア」

「うん?」

「カーニャはユアに出会えて幸せだよ」

「あたしも‥‥」

カーニャは色々伝えたいことも有るのだが、きっともう必要ないのだなと思った。

ユアはこうしてここに居るのだからと。




ごめんなさいこれはR18向け外伝【カーニャの成り立ち】【カーニャの成り上がり】既読の方向けサービス回となりました。

ストーリーは進みませんので未読で、今後もお読みにならない方は飛ばしてください。

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