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【第37話:たのしいたのしい汽車の旅】

翌日の早朝にラウマは外テラスから飛び立った。

「いってらっしゃー!!」

「気をつけてね!」

詠唱を終えたラウマが答える。

「うん!じゃあまた明後日に!!」

シュゥゥゥと加速しながら上空に上がっていくラウマ。

上空で多重発動に入りものすごい速度で上昇していく。

昨日試したように、高度をとって風魔法で滑空したほうが燃費がいいと解ったので、まず上空まで上がるのだろう。

「ふぅ、いっちゃったね」

「‥‥二人っきりよユア」

肩を抱いたカーニャがユアを室内に連れ戻す。

昨夜はラウマが居たのでユアに渡せなかった気持ちが、カーニャにはまだ沢山あるのだった。

「うん‥‥」

頬を染めながらユアもカーニャに寄り添い温度を受け取った。

それはユアの抱えた不安を、払拭して余りあるカーニャの想いだった。

そうしてカーニャとユアが活動開始するのは午後になってからとなるのだった。




カタンカタン

定期的な振動が身体を揺らす。

昨夜は汽車の中で寝たのだとエイシスは思い出した。

エリセラは特等の前室付き寝台を取り、移動に当てた。

寝室と前室にツインのベッドがあり、アミュアとエイシスは前室に泊まった。

ノアとエリセラが奥の寝室だ。

昨夜からエリセラの指導は始まり、エイシスは礼儀作法と一般常識をエリセラに教わっていた。

アミュアは礼儀作法だけ一緒に習うこととなった。

ノアはわたしはいいと言って逃げ出した。

三人のくすくす笑いに見送られて。

二人ともヴァルディア家支給のメイド服を着て、浅い紺色に白いエプロン姿だ。

シンプルなベルラインの制服に白いフリル付きの可愛いエプロンが揺れる。

アミュアは三つ編みで背に垂らし、エイシスはアミュアに編んでもらい左右にお下げにした。

ヘッドドレスで前髪を上げているので、おでこちゃんだ。

これは表情を学ぶためでもあった。

礼節や作法には表情も含まれるのである。

体幹が鍛えられていて、二人とも姿勢に関しては及第点をもらった。

作法などを主に学び、礼節は後回しでいいとなった。

一通り授業が終わり、お茶となる。

お茶の入れ方もエリセラに指導を受けて、作法として色々習う。

「なるほど勉強になりますわ奥様。意味があるのですね‥‥こういった作法にも」

話し方も練習ですよと言われアミュアは素直に従う。

「そうなのよアミュアさん‥‥美味しいお茶を淹れることがそもそもの原点にあるのよ」

「ふむふむ」

「はいエイシスさん、ふむふむはだめよぉ」

「あぁ‥‥申し訳ございません奥様」

「うふふ素直で良い子ねエイシスさんは。さぁお茶にいたしましょう」

「はい奥様」

にっこりとなるエイシスは指導されるのがとても嬉しい。

なにしろ知らないことばかりなので、全てに興味があるのだ。

「エイシスよかったね」

「はいアミュア姉さま」


「そう‥‥じゃあエイシスさんもご両親はいらっしゃらないのね‥‥今日から私を母と思って甘えていいのですよ」

にっこり笑うエリセラに、頬をそめ目が潤むエイシス。

「奥様‥‥」

よしよしとアミュアにも撫でられてエイシスはとても幸せを感じた。

「アミュアさんも前にも言ったけど、遠慮はいらないのよ?ユアさんと同じと思っていますからね」

ユアはカーニャと結婚したのでエリセラが本当の義母(はは)にもなったのだった。

「エリセラさん‥‥ありがとうです」

アミュアも頬を染めてちょっとうれしそうにした。

「そう言えば‥‥エリセラさんとレオニスさんはどうやってお知り合いになったのですか?」

アミュアは最近こういった事に興味を多く持つ。

自分も結婚式を既にしたのに、人の結婚式や馴れ初めがとても気になる。

「そうねえ‥‥カーニャさんからお聞きになったかもしれませんが、私も夫もとある研究所で働いていたのよ。そこで知り合ったということですね」

くすっと笑うエリセラ。

「あの人ったら‥‥とても不器用でね‥‥でも、そこがとても誠実に見えて私も惹かれたのですね」

エイシスもアミュアも頬を染めて興奮し、聞き入る。

「あの人には内緒ですよ」

そういうと三人でクスクスと笑い合うのだった。

「映画に誘ってくれるのに3日もかかったんですよ。私は最初の日から意味が解っていたのですが、どうなるのか気になってはぐらかしたの」

「わぁぁあ」

「わくわく」

そんなエリセラの恋バナにも花が咲き、退屈しない3日間を過ごすのだった。




一方でノアは、列車の中をあちこち探検し、やはり3日間楽しんだのだった。

何しろノアが本気で走れば、汽車よりもだいぶ速いので、何か窓から面白そうだと見つける度に飛び出していって、追いかけて戻るのだった。

今も窓にへばりついて外を見ていると、走り抜けていく野生馬の群れを見つけ、列車の連結部より大ジャンプで襲いかかった。

「ひゃあほおおおぉ!!」

空中で若干の軌道修正までしてのけて、ストンと裸馬にまたがる。

びっくりして暴れまわる馬を太ももだけで押さえて乗り回すノア。

「わぁい!メリーゴーランドだあ!!」

メリーゴーラウンドされる馬にとってはたまったものではなかった。

「あーたのしかった!!あれ?」

さんざん群れのあちこちで遊んでもらい、ふと汽車はどこだ?となり、全力疾走で線路を進む。

紫色に身体の輪郭を覆う身体強化は、ノアを超人にする。

ひと蹴りで線路まで跳ねたら、とんでもない速度で追いかけ始める。

そうして汽車に追いつくと、今度は汽車を追い抜こうと更に速度をあげ並走する。

「は?!」

「どうしたんですか?アミュアねえさま」

「目が疲れたのかしら‥‥窓の外をノアが追い抜いていったような‥‥」

「ええと‥汽車は走り続けていますよ?」

「そ‥そうね‥‥きのせいですね‥‥」

普通に気のせいではなかった。

「ふぃ‥‥まんぞくした!」

列車にもどったノアはかるく汗まみれになっていた。

夏服をあちこちこわして、後日アミュアとラウマに怒られるのであった。





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