【第25話:ノアのもらした秘密】
「レンタルでいいと思います!」
5人を代表して意見をのべるのはユア。
ちょっと眉がさがりふるふるしているのは、エリセラの言うのも解るからだ。
「でも‥‥一生の想い出になるわ‥‥」
エリセラはちょっと残念そうにしたが、仕舞っておくのも大変だよと、レンタルで済ますこととなった。
その代わりと、交換する指輪を準備させてほしいとエリセラの申し出を受けた。
カーニャとユアのリング。
ミーナとレティシアのリングだ。
カーニャのは白金にオレンジの魔石が小さく埋められ、ユアのは真紅の魔石だ。
ユアの左手がアミュアとおそろいの銀のリングになるので、カーニャのリングはお揃いで右手にすることになった。
カーニャの右手と、アミュアの左手にオレンジの石が有り、ユアの右手は赤の、左手にはすみれ色が光る事となったのだ。
ミーナとレティシアも互いの瞳の色を交換したシルバーリングを送りあう。
そうしてエリセラは満足げに微笑むのだった。
レオニスが無理をして戻ってくれて、王都の最高級魔石職人に打たせたリングで、魔除けと結界の能力がそれぞれに込められた。
式が終わるとまた忙しくレオニスは、翌日には出かけてしまう。
今度はミルディス公国の公都エルガドールで、一月はかかる予定だ。
エリセラは心配するが、冬になる前になんとか運べるだけ買い付けたいとレオニスは強行した。
最近出張ばかりで淋しいエリセラだが、元を正せば自分の主張ではじまった事なので、文句は言わなかった。
「お体は大丈夫ですか?あなた‥‥お疲れではないですか?」
そう言って腕をとるエリセラは心配そうに見上げる。
二人の寝室で今日の式の感想を述べ合っていたのだ。
優しい視線を下ろすレオニスはいつものように言葉少なかった。
「大丈夫だよ、さみしい思いをさせて済まないね」
ふるふると首をふるエリセラが頬もそえ寄り添った。
そもそも式をしたいと言い出したのもエリセラで、レオニスを忙しくしているのは全部自分だと自覚があった。
「平気です‥お帰りを心からお待ちいたしますわ‥‥」
そういって少しでもレオニスの側に行こうとするのだった。
カーニャがアウシェラ湖から戻り足で、ミーナとレティシアの手紙を持ち実家に寄った。
手紙とともにカーニャも説明し、二人の結婚を許して欲しいとエリセラに頼んだのだ。
「お母様‥‥ミーナはすっかり大人の目をして言いました。お認めになってあげてください」
にこりと笑むエリセラ。
「もちろん賛成です。私はあなた達二人に、自分の人生を歩んで欲しいと思っていますよ。家のことなど気にしなくていいのよ。カーニャも‥‥」
カーニャはぽっと頬を染め、はにかむような笑み。
「おかあさま‥‥ありがとう。ミーナ達はあと一週間くらい色々あってこれないのです。お待ち下さい」
ミーナとレティに指導した制御は3~4日鍛錬が必要だった。
他にもカーニャから色々アドバイスが有ったので、来週には人前に出られるようになる予定なのだ。
そこからはむしろ2週間は短いくらいだと、ぎりぎりに式の予定を立てた。
ミーナ達に合せて、ルメリナ組もヴァルディア家に来る予定となった。
レオニスが王都に行っているので、事情をしたため速達を出すエリセラ。
指輪を間に合うようにと願ったのだ。
魔石のついたマジックリングならサイズは自動調整なので、値ははるが測らなくても済むのだった。
そういった流れの中で指輪とドレス式場が整えられ、3日前にやっと全員がそろい、そのままリハーサルといった弾丸スケジュールだった。
ミーナとレティシアはしばらくヴァルディア家に泊まり、色々今後の相談をとなった。
問題がなければ、ミーナは実家に戻り、レティシアは嫁としてミーナと住む。
二人の侍女もまた以前のようにヴァルディア家で働くこととなるだろう。
ルメリナに戻る馬車の中で、皆で話していた。
「ミーナ達の荷物を持ってくればよかったですね」
とはエイシスの意見。
今日はラウマ、ノアとエイシス、アミュアが客室内にいた。
カーニャとユアが運転している。
前窓は暑くなってきたので開けっ放しで、家族皆で話しながら、ゆっくり戻り旅だ。
エイシスは三人姉妹の美しさに見惚れる。
アミュアのウエディング姿が焼き付いていて、補正アップされてみえるのだ。
「アミュアさん‥‥本当に素敵でした‥いつもお化粧してもいいんじゃないですか?」
ぽっと赤くなり微笑むアミュア。
「いつも少しだけしているのです」
「そうよね、アミュアが一番そうゆうの気にしてるよね」
ラウマはこのメンバーだと気安い。
「わたしもお化粧してるよ」
ノアもわりと一通り化粧を覚えていた。
カルヴィリスの指導があるからだ。
今はカルヴィリスとアイギスは新婚旅行で、ミルディス公国に行っていて、最近会っていないノア。
「そういえば‥‥まだ内緒なんだけどね‥‥カルヴィリス達が急いで結婚したのは理由があるんだって」
「え?!なになに聞いていないですよそれ?」
ラウマが食いつく。
「他の人にはまだ言わないでね、戻ったら発表と言っていた」
「ふむふむ」
アミュアもエイシスも気になるもよう。
「‥‥カルヴィリスがね‥‥あかちゃん産むんだって!」
『ええええ?!』
5人の声がそろう。
ユアとカーニャまで振り向いて会話に入る。
「それ‥‥本当に言っちゃダメなやつだよ!ノア!!」
カーニャは心配する。
「まあ身内みたいなものだし良いんじゃない?」
と、ユアがノアをかばう。
「ふみゅ‥‥だって‥‥皆んなの結婚式みたいのもしてあげてないし‥‥戻ったら皆でお祝いしてあげたいんだもん‥‥」
怒られて涙目になるノアにもちゃんと理由があったのだ。
よしよしとラウマがノアを抱く。
「そうなんだ‥‥ごめんねノア。カーニャもお祝いしてあげたいよ」
「うん、ありがとう」
やっと笑顔になったノア。
そこでカーニャは、ん?と思い至る。
そおっとユアに耳打ち。
「ねえねえ‥‥カルヴィリスって‥‥影獣なんだよね?」
ユアも思い至り、あ!と言った表情。
こそこそカーニャの耳に返す。
「うん‥‥そう言ってた‥‥不思議だね?」
前に二人は影獣の繁殖について話し合った事があったのだ。
「戻ったらカルヴィリスを問い詰めよう‥‥」
「ふふっ、カーニャこわいよぉ」
「だって‥‥気になるんだもの」
最後は二人ともクスクス笑いになっていた。
初めての家族旅行もまもなく無事に終わりそうだった。




