表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/109

【第24話:みんなのバージンロード】

スリックデンには大きな教会が2つある。

一つはヴァルデン王国に総本山のある新しい宗教団体のもの、もう一つはミルディス公国に本殿のある教会だ。

世界的にも信者数も力関係もミルディス公国側が大きいが、ヴァルデン側の方が国内では優遇され信者も多い。

この2つは全く同じ神を、同じ教義で祀る者たちで、違うのは細かな解釈の差異と教団トップだけだ。

要するに利権がからみ分かたれたという話であった。

ヴァルデン王国側の新しい教会がスリックデンにもあり、街で最大の大きさだ。

今日はそこで貴族家の式が有り、本殿が貸し切られていた。

貸し切っておいて内輪の式となり、客を入れないという。

教会側としても、お布施はいただいており文句は言えないようだ。

最近名前がよくあがる名士ヴァルデン魔導女男爵の声がけとあっては、教会としても断りづらかった。




「カーニャ‥‥すごいきれぇだよぉ」

ユアの目はハートマークになり声には甘えが多量に含まれる。

「ふふ、ユアも可愛いわよ」

二人は真っ白のドレスに身を包んでいる。

カーニャのドレスにはシンプルなカットのAラインなのだが、元のスタイルが抜群なので豪華に見える。

胸元もしっかり隠すカットだが、盛り上がりの大きさを隠すことはない。

長い足だけでヒールのない靴なのに、カーニャの腰はかなり高い位置にあった。

長く裾を引く先にはエイシスが可愛いピンクのドレスで、雪崩落ちる黄金を隠すベールを捧げ持つ予定。

ユアのドレスもAラインの少し大人びたもの。

カーニャのドレスにあこがれて選んでいるのは見え見えなのだが、流石に同じ着こなしとはいかなかった。

少し胸元にトレーブのつく折り返しがある形になる。

ドレスのレースとひだがカーニャに劣る胸のサイズを揃えて二人のバランスは良い。

ふたりとも姿勢が良いので、非常にドレス映えしている。

「ふたりとも素敵です‥‥」

ユアのベールを捧げ持つのはラウマで、マーメイドラインが大人の女性をイメージした生成りのドレス。

今日は髪をアップにしていて、とても大人の雰囲気だ。

「おまたせしました‥‥」

そこに三人目の花嫁が来る。

「アミュア‥‥」

「すごい綺麗だわ‥‥本当に妖精のよう‥‥」

ユアは言葉につまり真っ赤になり、カーニャも息を飲んだ。

アミュアのドレスはベルラインのシンプルな物だが、その透けるような白い肌に、ドレスもレースとトレーブの陰影を添えるだけ。

アミュアそのものの美しさで息を飲むのだ。

流れ落ちる銀髪の美しさが、ドレスに引き立てられる。

すみれ色の神秘的瞳が添えられた完成した芸術品のバランスであった。

「ありがとう‥‥カーニャはやっぱりスタイルいい‥‥とても素敵」

アミュアも頬をそめカーニャのドレスに見惚れた。

ユアは抱っこしたいのだが、できないので泣きそう。

終わるまでがまんよとラウマに言われている。

アミュアのベール係はノアが務める。

今日はラウマとおそろいの生地で同じ形のドレスを纏う。

ちょろちょろと3人を見て歩き、「あんまり動いちゃダメ」とラウマに叱られる。

髪型も同じにしているので、大人しくしていれば、まさにラウマと双子女神に見えるだろう。

本来はアミュアも入れて三つ子なのだが、今日は主役が別格の美しさ。

「アミュア‥‥とてもきれいだよ‥‥」

「うれしい‥‥ユアもかわいいよ」

普段ほとんど化粧をしないアミュアがしっかりメイクしているので、格段に陰影が有り美しかった。

三人であつまりドレスの話題で盛り上がるが、なにぶん裾のながいウエディングドレスなので、自由が効かなかった。

「準備いいですか?あっちはもう待機してますよ!」

エーシスがにこにこで迎えに来た。

今日はあちらの三つ子もドレスを揃えていて、膝丈のプリンセスライン。

水色に青のラインが美しくグラデーションして、可愛らしい小さな顔を引き立てた。

「よぉし!じゃあいこう!」

ユアの声でみなが動き始めた。

今日はヴァアルディア家の要望で、合同結婚式と披露宴を行うのだ。

披露宴は領内の身内とルメリナから名士10数名だけとなるので100名に満たない程度となる。

三人とも神前に誓いを立て終わっているが、皆の前で是非頼むとエリセラに頭を下げられ、ユア達ももちろんと引き受けた。

ユアは予算の半分を出したいと願ったが、これは親のわがままと頼まれ、了承しすべてヴァルディア家の負担と成った。




今回は何しろ異例のこと。

バージンロードを3人が並んで歩くのだ。

通常の会場では実施出来ず、ホール外に屋外形式の会場が準備された。

天気にも恵まれていたので、問題なく屋外にテーブルと椅子、惜しげもなくカーペットが敷き回された。

バージンロードは通常の倍の広さ。

なにしろ花嫁が三人通る幅がいるのだ。

そして会場の招待客たちが息をのむなか、静かな行進曲が流れる。

染み渡る管楽器にはじまりストリングが添えられる。

華やかな中にも厳かなオーケストラが奏でられた。

そうして後ろのアーチも特注で広く開け放たれ、ユアがキリっとした表情で歩いてくる。

これほど堂々とした花嫁もいるまいといった迫力だ。

アーチをくぐると、次は白銀の妖精。

アミュアがしずしずとユアの隣にきてユアの右手を取る。

それですでにざわざわと会場がどよめいているのに、さらに美しいカーニャの登場に会場がわいた。

カーニャもヒールのない靴で身長を揃えてきているので、三人とも同じくらいの身長になっている。

アミュアはアップにした髪型も手伝ってなんとかそろった感じだ。

三人の後ろにはラウマとノアとエイシスがベールガールをして捧げ持つ。

そうして静々と二人の手をとりユアが進む。

ベールがバージンロードに届いた所で後ろの三人が左右にはける。

そこに会場はさらにどよめく。

つぎは二人のプリンセスが腕を組み歩いてきたのだ。

そう今日式を上げる花嫁は5人いるのだった。

おそろいの真っ白なプリンセスラインが新雪の美しさで流れる。

頬を染めた仕舞いのようにミーナとレティシアが手をつなぎ並ぶ。

透かすベールを捧げ持つはイーリスとエーリスの膝丈のプリンセスライン。

そうして5人が3:2の逆台形でバージンロードを進む。

ミーナ達のベールがカーペットにとどいてイーリスとエーリスも左右にわかれて離れた。

オーケストラは最大の音量になり繰り返し一節を流している。

会場の拍手はなかなか収まらなかった。

なにしろ通常の5倍の美しい花嫁を見られたのだから。

真紅の絨毯は通常の2倍。

二本並べて幅を覆っている。

左右の客席の横には白いキャンドルが揺れ、添えられる白い花束がゆらめく。

通路側にサーブされている白い花びらが左右から浴びせられ、5人の花嫁が進む。

正面の宣誓台は三段登るので、ここが花嫁最大の試練となる。

なにしろとても歩きづらく、足元が全く見えないのだ。

リハーサルではミーナとレティシアは転びまくっていた。

年上3人はさすがの体幹と身のこなしで、すっとアミュアとカーニャが左右に離れユアの左右に隙間を作る。

今日の宣誓はミーナとレティシアが主役だ。

ユアの両脇を抜けてから宣誓台の前まで二人が進み、改めて手をつないだ。

アミュアとカーニャも戻り、ユアの手を取る。

こうしてフォーメーションチェンジを入れて台形に配置された豪華な花嫁達。

やっと楽団の音がやみ、会場に静けさが流れた。

こうしてエリセラは二人だけの娘を、二人とも女の子に嫁がせたのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ