【閑話:レオニスの決意】
レオニスは最近忙しく活動している。
エリセラの提案で、領地経営にテコ入れしているのだ。
いままでも主にレオニスが中心に家臣団を使い、無難な経営をしてきた。
税収はそれなりで、他領とくらべると税率が若干低く設定されていて、領内の人気は高い。
効率よく無駄を減らす方針で運営されてきたのだ。
領内の世帯も増加傾向で、特に努力が必要ではなかった。
領主たるエリセラは今回の事件を通し、領内の治安向上にまず大きく予算を取った。
兼任の兵を減らし、常駐の兵を新たに雇う方針としたのだ。
現状のヴァルデン王国では王都周辺でだけ取り入れている制度だ。
常駐の兵士は普段は訓練と治安維持に働いてもらう。
魔導男爵は兵力としては男爵規模を求められるだけなので、通常は500程度の兵を揃えるが、一般的には農家などと兼任だ。
これを職業軍人だけで揃え俸給をだすので、かなり経営を逼迫する。
そこで、新たな産業の誘致を振興しているのだ。
現在大きく取り組んでいるのは、エーラ博士との提携で魔導バッテリー向けの中間素材を作っている。
もう中間部品と言っていい状態で出荷しているので、ゆくゆくはその設備も導入しさらなる利益を求めていく予定。
「予算を増やせば、領内を豊かにするだけではなく、幸福度を上げることが出来る。私はそこを目指したい」
はっきりと家臣にもエリセラは宣言して方針を固めていた。
レオニスはあまりそういった気持を強く持てないが、エリセラが望む事を成してあげたいという気持ちがある。
レオニスは経営者でも領主でもなく、夫であると自分を定義する。
婿として家にいるのはそうゆうことだと決めているのだ。
愛する妻が領民を案ずるならば、それを支えたいと思い労を惜しまない。
遠方に商談にいくことになる時。
「あなた‥‥お気をつけてどうぞ‥‥お帰りおまちしておりますわ」
そう言ってそっと寄り添うエリセラに、報いたい気持ちがレオニスを動かしているのだった。
自分をそのように定義することで己を保っていた。
レオニスにはその必要があったのだった。
「今度は何日くらいなんですか?あなた」
「そうだな、王都までだから5日でもどるよ」
「じゃあ間に合いますね?」
「もちろん‥‥手配していた物も引き取って間に合うように必ず戻るよ」
「はい‥‥お願いします」
にこりと笑い送り出す妻をレオニスは愛している。
それだけがレオニスをとどめているとも言えるほどに。
その愛さえあれば。




