【第10話:きっと大丈夫よ】
アミュアはこころの居場所を考えてみた。
(こころ‥‥わたしの心はいつもユアと共に有ります‥‥)
アミュアがそう思った瞬間にユアが目を覚ます。
「アミュア?!あれ?」
(ユア‥‥起きましたか?エイリスが能力を見せてくれています。何か感じないですか?)
ユアは不思議そうな顔でアミュアを見つめた。
「ここは‥‥アミュアがすごく近くに感じられる」
アミュアが得意げに指を立て説明する。
(ユア、ここでは口を開く必要はないのです、心に会話を強く思うと伝わるのです‥‥私達がラウマ様とお話する時はこうして話すのです)
(こころこころ‥‥こうかな?これで聞こえるの?)
エイリスがにっこり笑い答える。
(すごいよユアもアミュアも‥‥理解がはやいよぉ)
ユアはあれ?と思いじっとエイリスを見つめる。
エイリスはちょっと頬を赤くして照れる。
(なんだか‥‥エイリスちっちゃい‥‥かわいい!)
エイリスに近寄るユアのすそを掴もうとしてスカっとなるアミュア。
淋しそうな顔になる。
(この姿は‥‥たぶん初めて投射した時の姿なの。その時に心に自分の姿を定義する‥‥それを変えなければそのままなのよ‥‥わたしは時々この姿を懐かしむために変えていないだけ)
アミュアは段々と理解してくる。
(伝えようとした事以上が伝わってくる?‥‥エイリスの悲しさや寂しが‥‥懐かしさと供に伝わってくる)
エイリスはにっこり答える。
(そうなの‥ここではウソは付けないのよ?思っている事を言葉とともに伝えてしまうの‥‥強い想いはそれだけ伝わりやすいわ‥‥)
そういうエイリスの言葉から、凍えるような淋しさと悲しさの気配が伝わる。
アミュアもユアも痛ましい気持ちになり、エイリスを見つめた。
ユアは心を引き締め感情を抑え込む。
聞かなくてはと、カーニャのためにと。
(エイリスどうしたら出来るの?この投射という力は)
エイリスはもう淋しさを伴わない笑みで答える。
(瞑想という状態になり、求める相手に、心の手を伸ばします。その相手の心を捉えられれば、自分の心に呼び寄せられます)
ユアはよく解らないのでアミュアを見る。
アミュアは意味がわかったのでうなずく。
ユアはそれで良しとする。
自分が理解出来なくてもバディたるアミュアが解れば良いのだユアは。
後で必要なだけアミュアが教えてくれると信頼しているユア。
こうして直感と理性が2人にバランスされているのだ。
2人が頷いたので、続きの説明をするエイリス。
投射中は身体は動かず寝ているか失神したようになる事。
可能な限り側に居て、出来るなら沢山触れ合った状態が移行しやすい事。
ホストたる呼び寄せた者が最後まで残らないと、強制終了し呼ばれていた者はかなり辛い事等を教わった。
(後は練習するしか無いよ。)
そっと2人の手に、それぞれ自分の手を重ね合わせるエイリス。
にこっとはにかむ笑みになる。
(どお?感じないあたたかさを‥)
アミュアもユアも驚いた顔。
(すごい‥体が触れ合う以上に近くに感じる)
ユアはひまわりの笑み。
(なんて優しいあたたかさ‥抱きしめてもらっているみたい)
アミュアは目を閉じあたたかさを堪能する。
(ここでは触ることは出来ないけど、心を触れ合わす事が出来るの‥‥出来るように成ったら2人で抱き合うように重なってみて‥‥きっと2人なら幸せを感じるよ)
そう言った言葉が、最後に慈しみの心を添え届けられた。
2人の意識はあの世界に戻される。
ユアは割と平気だったが、アミュアが立ち上がれないほど消耗していた。
魔力も体力も減った感覚が無いが、心が消耗した疲労を覚える。
それはラウマの力を消費した時にとても似ていた。
「それも慣れるよ」
投射を終えると、そう言ってエイリスはメアリーと指を絡めて手を繋いだ。
アミュアを少し休ませたいのと、出来れば歓迎会をしたいとエイリスに言われ、ノアが率先して賛成。
4人とも笑顔で好意に甘えることとした。
この世界にもちゃんと1日があり、美しい夕焼けを見てから、建物がある場所に案内された。
その夜に4人は、美味しいご飯を食べさせられ、経験したことのない刺激と喜びに包まれるお風呂を体験した。
そうして翌朝、沢山の桃色貫頭衣の少女達に笑顔で送り出される。
『また来てねー!』
100人以上居るだろう黄色い合唱が4人を送り出し、最後まで付き添ってくれたエイリスとメアリーに礼を言う。
『お世話になりました』
4人で声を揃えお礼を述べた。
エイリスはにこっと笑うと、優しく告げる。
「もしも‥いつの日か全てを成し遂げたなら、またここにおいでよ」
メアリーもにこっと笑い続ける。
「その時はまた全力で歓迎するね」
そうして自然な微笑みのメアリーは驚くほど美人でユアは真っ赤になる。
(カーニャみたいに綺麗だなメアリー)
手を振る4人を見送る2人は、本当に自然に、それが正しい姿と思えるよう寄り添い合い立っていた。
アミュアは一抹の淋しさと、真っ赤になるほどの恥ずかしさと憧れを抱いた。
(いつか‥わたしもユアとああいう風になりたいな‥エイリスもメアリーもとても幸せそう‥‥素敵‥‥)
そうしてユアの指に、指を絡める手繋ぎを覚え、微笑み合いながら世界を渡った。
黄金の柱が収まる頃、すっと心配そうに沈むエイリス。
「大丈夫かなぁユア、あんなに思い詰めて‥‥とても心配だよ」
メアリーはぎゅっと励ますようにエイリスを抱きしめる。
「きっと大丈夫よ。あの娘達は愛をちゃんと持っているよ‥‥あの日のわたし達のように‥‥」
そうして2人はしばらく抱きしめ合うのだった。
今までずっとそうして来たように。




