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【閑話:アミュアの変化】

最近はユアの妻が増えたので、基本的に曜日順で相手がきまる仕組み。

週の最初はアミュアの日なので、今夜はふたりっきりで甘えられる。

アミュアは頬をそめながらユアの部屋にはいるのだった。

このひまわりハウスではノックはしないのが流儀になった。

入ってほしくない時はドアを閉めておくのだ。

開いていれば遠慮なく入ってねという意味。

お風呂なんかは、そうしないとなかなか入り終わらないのだ。

「ユア‥‥」

ドアの外で声をかけるのはアミュアの癖だ。

「アミュアいいよ?おいで」

中に入るとそっとドアを閉める。

ここからは二人きりの時間なのだと頬があつくなるアミュア。

かつてルメリナの平原で唇を合わせてから、なんども二人の夜を越したが、今夜は特別な夜なのだ。

アミュアにとって。

もう二人共お風呂をすませていたので、ユアはベッドに横になっていた。

ちょっと抑えた照明が円形のベッドと無垢材の壁を照らす。

とてもあたたかな印象の部屋だ。

そっとアミュアも大きなベッドに上がる。

「おまたせです‥‥ユア」

「ううん‥‥どうしたの?なんか今日はいつもと違う気がする」

えへへ、といってそっといつものように寄り添うアミュアは腕をユアの首に回す。

ぴたっと身体が合わさり温かいのだ。

ユアのほほに頬をあて、暖かさを堪能するアミュア。

「アミュアあったかい」

「ユアもあたたかいです‥‥」

そうして温度をゆっくり味わって、そっと離れたアミュアは女の子座りでユアを引き起こす。

「??どしたの」

「聞いてほしいことが‥‥あ、あるのです」

真っ赤になるアミュアを優しく見つめるユア。

「もちろん‥‥大事なおはなしかな?」

「‥‥とても大事です」

アミュアはそっと自分のおなかに両手を置く。

こうゆうときにはユアは決してふざけたりしない。

からかったり、ふざけるのは相手に必要だとユアが思ったときだけなのだ。

長い旅と幸せな生活の中でアミュアはそれを知っている。

「むかし‥‥シルフェリアでユアを抱きしめて泣いた時に強く思ったのです」

「‥‥うん」

その時の幸せをユアも思い出す。

自然とアミュアの肩に手を添え抱きしめる。

いつものぎゅっとする抱き方ではなくふわっと抱くあたたかな抱擁。

「そして‥‥おかあさまのお墓に誓ったのです。決してユアの手を離しませんと」

「アミュア‥‥」

「わたしはユアの家族になりました。とても幸せです‥‥ユアはどうですか?」

ちゅっとアミュアのほほにキスを落とすユア。

「もちろん幸せだよ‥‥あたしは世界一幸せだよ今」

「‥‥うれしいです」

じっとユアの目をみるアミュアが大切な秘密を打ち明ける。

「ユアにあたらしい家族を贈りたいと、ずっと思っていました」

「え‥‥?」

「ここに‥‥ユアの家族がやどりました」

真っ赤になりながらも目は逸らさないユア。

「アミュア‥‥」

そっと先程よりもやさしく抱きしめるユア。

「うれしい‥‥」

クスンとユアは鼻をすすった。

涙は流れ落ちアミュアを濡らす。

「二人で育てましょう‥‥健やかに‥‥二人の夢を乗せて」

「うん‥‥うん‥‥」

そうして秘密を伝えられたアミュアはとても満足して強くユアを抱き返すのだった。

「こうしておかあさまにおかえしするのです‥‥」

そうそっと囁くアミュア。

「わたしにユアを与えてくれたご恩を‥‥」

ユアとアミュアの幸せには終わりはないのだと。

そう誇らしげに告げたのだった。





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