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【エンディングとは】

ミルディス公国の事件からそろそろ二年が経つ。

新婚生活も終わり、少し落ち着いた一年ほど前に家を建て替えることとした。

もともと4人くらいを想定していた家なので、今後手狭になるだろうと予想された。

ミルディス公国のエイルマルク家から、今回のお礼として大量の金貨が送られてきたのだ。

個人への金額ではないそれをどうするか考えたのも有る。

お金を積んでおいても仕方がないので、スリックデンのヴァルディア家に貸し付けている。

まあカーニャの実家なので、使ってもらっているとも言えた。

ヴァルディア家ではあの後も何度も北回りルート開拓のためにもと、北部ミルディス公国の復興に力をそそいでいたので、そこにお金を使ってほしいと頼んだのだ。

形としては貸し付けたようになっているが、ユアとしては差し上げたいと思っている。

ミルディス公国のエイルマルク辺境伯家とヴァルデン王国のヴァルディア家はかなり親密な関係を続けており、これも復興を助けた。

ヴァルディア家本体はミーナが家督を次ぐ準備を続けていて、特に問題もないようだ。

レティシアもしっかりとサポートをして、家を支えている。

学友達も侍女達も元気で、いまだに秘密の宴が開かれているようだ。

カーニャにもよく招待状が来るのだが、毎回言い訳をしているようだ。

近い内に行かないとおさまらない様子。

大きな被害も有り、世界に影響のでた事件だったが2年もするとだいぶ話しは穏やかなものになっていた。

ユアが心配していたよりもずっと世界はしたたかで強かったのだ。




「アミュア!いってみよう!」

「はい!」

大きな庭を横切り走り抜ける二人。

少しだけアミュアが遅れるのはお腹をかばうから。

そこにはユアとの宝物が宿されていると確信しているアミュア。

まだユアにも伝えていなかったが、今夜伝えると決めている。

改築を終えたルメリナのひまわりハウスがお披露目となった。

ながらくスリックデンのヴァルディア家に、住んでいた皆でルメリナに戻っできたのだ。

スリックデンの工房とカルドラスのドワーフ達やルメリナの人々、みなが力を尽くしてくれた家が完成したのだ。

そっと東側をみてさみしそうにするユア。

そこには去年亡くなってしまったお隣のおじいさんの家がまだ残されている。

壊すのに忍びないと、残せないか検討中だ。

「ユア‥‥」

「うん‥」

しょんぼりしたユアの手をぎゅっとアミュアがにぎりしめる。

追いついてきたユアの妻たちが続く。

カーニャがそっと二人を抱く。

「ユア‥‥アミュア‥‥今日は楽しい日にしましょう‥‥きっとそれが一番故人に喜ばれるのよ」

カーニャのやさしい微笑みには深い意味が込められている。

ユアもアミュアも今なら解るのだ。

どんとノアとラウマが抱きつく。

ひとかたまりになる妻たち。

「あとでバーベキューしようよ!おじいさんもいつも楽しんでくれた!」

「そうですね。わたしがんばって準備します!」

ノアもラウマも隣人に励まされたことすら有ったのだ。

そっと遠慮がちにエイシスがユアに手を伸ばす。

皆が気づいて輪を開き通してくれたので、ユアに抱きしめられる。

「ユア‥‥あなたの淋しさも悲しみもわたしにもわけてください‥‥」

「もちろんだよエイシス‥‥わたし達は家族なんだもん」

周辺の土地も少し買い上げ、8倍くらいの面積になったそこにキレイな円形の建物がある。

基本平屋作りだが、中央に大きな円筒の二階相当の吹き抜けで居間がある。

「ふふ‥‥やっとわたしのお城にもどりました。今夜は奮発しますよアミュア?」

「もちろん!わたしも手伝うよラウマ」

居間は以前のひまわりハウスと似た作りで、オープンキッチンとダイニングを兼ねて広く取ってあった。

ダイニングには家族全員が座れる椅子が用意されている。

中央には吊り下げ式の大きな暖炉があり、半円のソファが2つ置かれる。

違いは大きさだけで二倍ほどの面積が、上がり段の上に設置されている。

「ふふ‥‥この裸足でいられるスペースひさしぶり!」

にこにこして足の指をぴこぴこするノア。

となりにエイシスを手をつないで連れてきている。

「皆んなの‥‥わたし達の家なのですね‥‥とても幸せです‥‥」

ニコっと自然にエイシスが笑い、ノアは嬉しくて抱きしめてしまう。

「エイシスかわいい!」

「‥‥はずかしいです」

「ノア達全員の妹でもあるんだからね!遠慮したらだめ!」

頬をそめるエイシスもそっとノアを抱き返した。

居間からは4枚の大きなガラスのドアがある。

4方向に伸びる廊下が覗いた。

この真ん中の家族の部屋に視線も導線も遮るものはいらないのだ。

廊下の先にはいくつも部屋があり、家族全員に個室が準備され、お客さんも泊められる。

正面の奥がお風呂やユアの部屋だ。

ユアの部屋は大きなベッドがあり、妻たち全員でも寝られるよう考えてあった。

となりがすぐお風呂という配置にも配慮が感じられた。

「こんにちわあ!!」

大きな声がかかり、玄関に来客を告げるベルがなった。

小さい女の子の笑い声が流れてくる。

きっとエルナが来ているのだと、皆が笑顔になる。

カルヴィリスとアイギスの娘、エルナは家族みなの希望でもある。

『はぁい!!』

声を揃えて玄関で出迎える家族の中心には、ユアのひまわりスマイル。

そうここはひまわりの家なのだから。


ーー皆の笑い声がひろがるあたたかな、幼い頃からユアの夢見た家族の家。

  ユアと家族の幸せは途切れること無く、いつまでも続いていくのだった。


ここに幸せの円環が閉じ物語は一旦終わりを告げる。

沢山の笑顔と笑い声を添えて。




ーーfin.


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