【第91話:ユアの変化】
ひまわりハウスは来客も多い。
今日は3人のゲストが来ている。
「あの‥‥粗茶ですが‥‥」
エイシスは緊張全開でお茶出しにいった。
この家には応接室がないので、お客さんに合せて、居間のソファだったりダイニングだったりにお通しする。
今日はダイニングにおかけになられている。
エイシスは紅茶とクッキーをおだしする。
「あらエイシスありがとう気を使わないでくださいね」
輝く銀髪が背に流れる。
「うんうん身内みたいなものなんだし」
なみうつ黄金も同じく流れた。
「いや私は身内ではないが?」
そして全身鎧の黄金が輝きを放った。
女神ラウマと女神ノア。そして雷神ペルクールの3柱の女神がご降臨されていた。
「すごいね?ラウマさまもノアさまも、あとついでにペルちゃんも身体を作ったの?」
ぷうとペルクールがふくれる。
「ユアひどいぞ!もっと敬意をはらうがよいぞ!」
女神ラウマがユアの真似をする。
「うふふ、ペルちゃん!」
女神ノアは非難したが目は笑っている。
「ラウマひどいですよさすがに。これはアミュア達と同じ分体を一時的に作りました。帰るときに戻すので、外出着みたいなものですね?」
女神ノアは説明もくれる。
女神ラウマも女神ノアも吸われた力は僅からしく、ほとんどを事前にアミュアとノアとラウマに渡してしまっていたらしい。
最後の包容の時に力を避難させたのだ。
「どおりであの時、やたら魔力が多いと思いました」
とはアミュアの意見だ。
あの最後の円環でユアを作り直したときに、力は元に戻したらしい。
「そういえば‥‥ユアその後身体は大丈夫ですか?」
女神ラウマの質問にユアは気軽に答える。
「全然平気です!絶好調ですよ?‥‥あ‥‥でも‥‥」
「どうしました?ユア問題があるのですか?」
心配そうにする女神ラウマ。
もじもじして赤くなるユアが女神ラウマにだけ耳打ち。
(えと‥とっても夜に元気になります‥‥キャ‥‥)
じとーっと見る女神ラウマ。
「大丈夫そうですねえユア‥‥早く孫の顔がみたいものですわ」
『ええ?!!』
ユアの妻達が動揺を隠せない。
そうなの?本当かな?私は巫女だから、いや相手は魔王よ、などとこそこそ妻達の内緒話。
ラウマはユアのとなりで一緒にもじもじ赤くなる。
実は女神達も知っているのだが、ユアの下半身には、女神達でも拭いきれない魔王の気配が一部ぶらんぶらんとしているのだ。
ユアの肌が真っ白なので白黒のコントラストがとても目立つ状態。
妻たちは一通り使用されたことがあるので知っている。
その魔王部分は大丈夫かと女神ラウマは心配するのだった。
なんか今度は奥にラウマを連れて行った女神ラウマが詳細な報告を求めている。
ひぃとかいえないですぅとか声がもれてくる。
女神に肩をがしっとされて内緒話をされる経験もなかなか無いだろう。
すっかりくつろいでランチも召し上がった。
女神様達のお帰りは光の柱で帰っていく。
「みんな元気に‥‥時々会いに来ますね!」
女神ラウマ様がだんだん気さくになっている気がする一同だった。
『おかあさま‥‥』
ラウマとアミュアが女神ラウマに、女神ノアにはノアが甘える。
「ノアも元気にしていてくださいね」
「はいおかあさま」
ぎゅっと抱きつくノア。
女神ノアもまんざらではない様子。
「ユアはしないのか?私があいているぞ?」
ペルクールはちょっと期待してユアを見る。
「あ、あたしはそうゆうの間に合ってるよ!エリセラお義母さんもいるしね」
ちょっとしょんぼりのペルクールだった。
最近のユアはいろいろと自分でも持て余す感情と衝動がある。
アミュアを始めすべての妻達にとても強い愛情を感じるのだ。
いままでの姉妹や友人としての愛情ではなく、異性にもとめる愛情だ。
強い独占欲や、与えたい欲が体中にあふれる。
いつもは優しい夜を二人ですごすユアとアミュア。
それはもう何年も前から続けてきた、互いを確かめる儀式だ。
そっと手を繋ぐことを覚え。
手のひらから気持ちを伝える事を覚え。
静かに寄り添うことを知った。
暖炉や焚き火は、すべてその思い出となっている。
相手の熱が自分を癒やし。
自分の熱で癒やしたいと願う。
そうやって寄り添って乗り越えてきたのだ。
そしてあの冬の草原で、ユアは初めてアミュアの恋心に触れた。
ユアもずっと隠していたあふれる想いをアミュアに届けた。
愛しているよと言葉ではなく、そっと触れる唇で。
アミュアも同じ様に言葉ではなく想いを唇の熱で返してくれた。
きっと一生わすれないと心に誓ったユア。
それからも少しづつ想いを伝え合って言葉にも乗せた。
今夜はアミュアの日なので、ユアは二人っきりで地下で寝る。
もちろん寝る前には沢山愛を伝える。
最近になってユアはとても強くアミュアを抱きしめてしまう。
体中からアミュアへの気持ちがあつまり熱くなるから。
アミュアもとても熱い温度で応えてくれる。
そうして初めて手を繋いだ日の延長線上に二人はいるのだ。
熱く熱く温度を伝え合って。
お互いが温度を上げあって波のようにすごす。
それはとても自然なことで、なんの疑問も持たなかった。
ユアの身体は魔王を封じられ、とても高い次元の力を宿した。
それは一部で封印とした女神ラウマや雷神ペルクールの力とも共鳴し奇跡を起こす。
幸せなキスと温度の確認の後にアミュアが囁く。
「ユア‥‥もっとそばに来て」
アミュアは真っ赤になり目が潤んでいるが、力強くユアを抱き寄せる。
「アミュア‥‥とても熱いの」
ユアも真っ赤になりながら必死にアミュアにしがみつく。
そうして長い夜の果てにふたりは抱き合ったまま眠りにつくのだった。
互いの想いをすべて温度で伝えあって。
「あぁ‥‥あみゅあぁ!すきぃ」
「ゆあぁ‥‥あぁ」
そうしてアミュアはその瞬間を感じ取った。
(あ‥‥‥‥これって‥‥もしかして‥‥)
お腹に手をあてるアミュアはたしかなぬくもりをそこに感じ取った。
それはきっと新しい幸せの形なのだった。




