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最強ヴァンパイア、人間界でバンドデビューを決意す  作者: Rockston.
バンドバトル 決勝トーナメント編
52/69

第52話「最強ヴァンパイア、決勝戦開始!闇を知るもの、真の闇と相対す!」

「Ladies and Gentlemen――!!」


 司会の絶叫が、Zドーム全体を揺らした。


「ついにこの瞬間がやってまいりましたあああっ!!!」


 巨大スクリーンに無数のライトが走り、観客席が波打つ。

 世界最大級の音楽バトル――《Mega-Z★BandBattle!》

 その最終決戦が、いよいよ幕を開けようとしていた。


 会場には五万人を超える観客。

 外には報道ヘリ、ドローン、ライブ中継用の中継車がひしめき、世界中のメディアが集結している。


 優勝者にはメジャーデビューの切符が約束されている。

 だが、もはやそれは通過点でしかない。


 ――世界が見ている。

 ――音楽が、今日、新たな歴史を刻む。


「さぁあああ! みんな準備はいいかぁ!!!」

 司会が絶叫し、マイクを掲げる。

「決勝ステージに立つのは――この二組だあああ!!!」


 観客が総立ちになり、Zドームを地鳴りのような歓声が包み込んだ。

 ライトが渦を巻き、ステージが震える。


「まずは、今大会最大のダークホース!」


 巨大スクリーンに赤い文字が浮かび上がる。


 《ブラムー》


「誰も決勝まで来るとは予想してなかった! 予選でも、最後の最後に追い上げ9位で決勝ラウンドへ! その後も常にギリギリの戦いに勝利し、何とか勝ち上がってきた奇跡のバンド!」


 客席からどよめきが起きる。

 映像には、これまでの名シーン――リーラの叫ぶような歌声、ユウトの情熱的なクラシックギターソロ、アカネの何でもドラムにしてしまう感性、マナブの華麗なアドリブ――が流れていく。


「誰も予想していなかった! でも――誰もが今、見たいと思っている!」


 司会が高らかに叫ぶ。


「ブラムーの奇跡を!!!」


 ライトが一気に赤く染まる。

 ステージ後方の幕が開き、強烈なスポットライトが照らした。


 ――ブラムー登場。


 リーラが先頭に立ち、マントの裾を翻す。

 その後ろにユウト、アカネ、マナブが続く。


 観客の大歓声が、まるで津波のように押し寄せた。


「うおおおおおお!!!」

「リーラさまぁーーー!!!」

「ユウトぉーーー!!!」

「総長ーーー!!!」

「マナブーーー!!!」

「ブラムー最高!!!」


 まるでこの会場全体が、ブラムーという存在を祝福しているようだった。


 リーラが深く息を吸い、マイクを見つめる。

 その横顔は堂々として、気品に満ちていた。


「行こうぜ、リーラ。」

 ユウトが笑う。

「うむ。我らの音を、世界に刻むぞ。」


「そして!」

 司会が再びマイクを構える。

「このブラムーと対峙するのは――!」


 会場が一瞬で静まり返る。

 空気が張り詰める。


「すべての予選を“最速”で勝ち上がり、決勝ラウンドはただ一戦――ワンコーラスで相手を圧倒して勝利した!」


 観客の視線が一点に集まる。


「その姿を誰も見たことがない……! 声しか知られていない……! まさに“闇を冠する歌姫”!」


 暗転。

 巨大モニターが黒く染まる。

 ゆっくりと、名前が浮かび上がった。


 《ダルク》


「最強の歌姫、ダルク!!!!」


 バァンッ!!!


 光が炸裂。

 ステージの対岸に、闇のようなドレスが浮かび上がる。

 だが、その姿は逆光に包まれ、輪郭しか見えない。


 観客が息を呑む。


「……いた……本当に、いた……!」

「嘘じゃなかったんだ……!」

「これが、ダルク……!」


 闇のベールの中で、ダルクが静かに動いた。

 わずかに顎が上がり――ほんの一瞬、笑ったように見えた。


 リーラが息を飲む。

 その声なき笑みに、なぜか胸がざわめく。


「なんという存在感……」

 マナブが低くつぶやく。

「声も聞こえてないのに、もう“圧”を感じる……」


「まるで闇そのものだな……」

 ユウトがギターを握りしめる。

 アカネは汗を拭いながら、口元を引き締めた。

「最高の相手……これ以上の舞台ないぜ。」


 リーラは瞳を細め、静かに呟く。

「……ようやく、出会えたな。最強の歌姫。」


 司会が中央に立ち、両バンドを見渡す。


「それではここで、審査員の皆さんから“最終審査方法”を発表していただきましょう!」


 ステージ横の審査員席に、音楽業界の重鎮たちが並ぶ。

 カメラが一斉に向けられる。


 最前列の審査委員長がマイクを取った。


「ここまでの戦いは、ステージ、演奏、楽曲――それぞれを評価してきました。」

「ですが、決勝戦に限っては、ただ一つ。」


 静寂が訪れる。

 観客の息が止まる。


「最後は、“音楽”です。」


「音楽……?」

 アカネがつぶやく。


「つまり――ステージも演奏も、表現も感情も、すべて含めた“音楽”で勝負してもらいます。」


 委員長が厳かに言葉を続けた。

「より多くの心を震わせた方が勝ち。ただ、それだけです。」


 観客からどよめきが起きる。


「音楽で勝負、か……」

 ユウトがギターの弦を軽く弾く。

 その音が、わずかに響いた。


 リーラは深く頷く。

「望むところじゃ。」


 彼女の赤い瞳が、まっすぐにダルクの影を見据える。


 ダルクは動かない。

 ただ静かに、そこに“在る”。


「それでは――!!!」

 司会が天にマイクを掲げ、絶叫する。


「音で世界を震わせろ!!!」


「Mega-Z★BandBattle! 決勝戦――」


「――開幕ですッッ!!!」


 バァァァァァン!!!


 火柱が立ち上り、ライトが爆発する。

 ステージが震え、音の波が観客を飲み込む。


「いけぇええ!! ブラムー!!!」

「最強の声を聴かせてくれ!! 歌姫ダルクーーー!!!」

「これが音楽の頂点だあああ!!!」


 二つの影が、中央で向かい合う。

 光を知ったリーラと、ダルクの闇。


 孤独と絆、闘志と祈り。

 そのすべてを懸けた、究極の決戦が――今、始まろうとしていた。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

よろしければ、率直な評価や、感想をいただければ励みになります!より良い作品が創れるよう、頑張ります!

よろしくお願いします。

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