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最強ヴァンパイア、人間界でバンドデビューを決意す  作者: Rockston.
バンドバトル 決勝トーナメント編
50/69

第50話「最強ヴァンパイア、最強の助っ人を獲得す!」

ついに50話となりました!

いつも読んでいただき、ありがとうございます!

最終話「ラストソング」に向けて頑張りますので、

引き続き、よろしくお願いします!

 ――壮絶な準決勝から、一日が明けた。


 街中では、まだブラムーの逆転勝利が話題に上っていた。

 ニュース番組では「リーラ姫、奇跡の大逆転!」などと報じられ、SNSではファンアートや演奏動画の切り抜きがあふれている。

 リーラ本人が人間ではないことを知る者は――この世界に、わずか二人だけ。

 大臣と、セリウスのみであった。


 そんな騒ぎの中、リーラは静かに一人、思い出の公園にいた。


 木漏れ日の差すベンチ。

 その上で、彼女はお気に入りのチョコバナナクレープを手に、空を見上げていた。

 人間界に来てから、何度も訪れた場所。

 そして、ユウトと初めて出会った場所でもある。


「……ふふ、あの日も、クレープを食べておったな。」


 リーラは包みを少し傾け、チョコとバナナの黄金の組み合わせを一口――。

 口いっぱいに広がる甘さに、瞳がとろりと緩む。


「ん〜〜っ。な、なんと美味じゃ……っ!!

 チョコとバナナの奏でる旋律……これは、恋の味じゃ……!」


 両手でほっぺを押さえて悶えるその姿は、まるで少女そのもの。

 普段の威厳あるステージ姿からは想像もつかない“乙女モード”全開である。


「……む、いかんいかん。これでは王の威厳が……。」


 そう呟きながらも、クレープの包み紙をそっと畳み、胸に手を当てた。

 そして、柔らかく微笑む。


「それにしても……美味しかった〜。」


 風が頬をなでる。

 リーラは目を閉じ、これまでの日々を思い出した。


 ――父である王に課された試練。

「王位を継ぐには、力ではなく“絆”を学べ」と。

 そのために送り出された、人間界での音楽バトル。


 ユウト、マナブ、アカネとの出会い。

 音を通して生まれた信頼。

 狼王、焔鬼蓮華、セリウス、そしてドラグバーストフォール……。

 それぞれが誇り高く、強く、美しかった。


「長いようで、短い日々じゃったな。」


 リーラはそっと空を仰ぐ。

 光の向こうに、仲間たちの笑顔が浮かぶ気がした。


「決勝まで……あと少し。絶対に勝って、父上に胸を張って報告するのじゃ。」


 午後。

 いつものスタジオに、ブラムーのメンバーが集まっていた。


 扉を開けると――マナブが譜面を広げ、アカネがドラムスティックをくるくると回している。

 その背後から、少し遅れてユウトがやってくる。


「おっす。準備はできてるか?」


「もちろんじゃ!」

 リーラは胸を張る。

 昨日の戦いの疲れなど、微塵も見せない。


「さて、決勝に向けて今日から本格的に詰めていくぞ。」

 マナブが真剣な表情で言う。

「曲はある。でも、完成度を上げなきゃ勝てない。全員、集中していこう。」


 その時――。


 ガチャッ、と勢いよく扉が開いた。


「おはようございますな、ブラムーの諸君!!」


 陽気な声とともに現れたのは――

 ブラムーのマネージャーに復帰した、大臣だった。


「だ、大臣!?」「来てくれたのか!」


「当然ですとも! リーラ様から“戻ってきてくれ”と頼まれたのですよ。

 ならば、老骨を振り絞って尽くさねばなるまい!」


「ふふっ……頼もしいのう、大臣。」


「それと、ユウトくん。」

 大臣はにやりと笑った。

「アパートのドアは直しておいた。次に壊されたら請求書を渡すからな。」


「壊したの大臣じゃねぇか……。」


「説得には勢いが必要なのです。」


 そんな賑やかなやり取りの最中――

 大臣の横に、足を組んで偉そうに座る青年の姿があった。


「……セリウス!? なぜここに?」


「国のためだ。お前たちが勝たねば困るからな。」

 セリウスは腕を組み、涼しい顔で言う。

「それと――これを使え。」

 差し出されたのは数枚の楽譜。


「俺が作った新曲だ。これを組み込めば、完璧になる。」


「おぬし、作曲までできるのか!?」


「当然だ。俺は王族、そして国一番の作曲家だからな。

 王族教育には“作曲”“剣術”“紅茶の注ぎ方”が含まれている。」


「なぬっ!? ……紅茶!?」


 リーラが目を丸くする。


「お前、王族って何を学んでおるんじゃ……。」


「全てをだ。」

 セリウスがドヤ顔を決める。


 しかし、その後の練習は――まさに“地獄”だった。


「テンポ三上げ! リーラ、今のブレスが半拍遅い! やり直し!」

「ま、待てセリウス! 貴様、どれほど鬼なのじゃ!」


「王族に鬼はいない、種族が違う。そして俺は天才だ。」


「いや、鬼じゃーっ!」


「アカネ! そのフィル、0.2秒早い! メトロノームに合わせろ!」

「はぁ!? 0.2秒ってわかるか普通!?」


「感じろ。」


「無茶言うなっ!!」


「ユウト! 今のコード進行、理論上は正しいが心がない! 心を弾け!」


「お前、どこの師匠だよ……!」


 スタジオの空気は緊張と汗で満たされ、

 全員が全力で“音”と向き合っていた。


 だが――練習の終わり。

 彼らの音は確実にひとつ上の段階に達していた。


「……疲れたけど、すごいな。」

 ユウトがギターを下ろし、汗を拭う。


 マナブも頷く。

「音の粒立ち、タイミング、全てが研ぎ澄まされてる。セリウス氏……本気だな。」


「当然だ。お前たちが負けるのは俺のプライドに関わる。」


 リーラは笑顔を見せた。

「ふふっ、まったく……頼もしい助っ人を得たのう。」


 夜。

 練習の帰り道、ブラムー恒例のファミレスへ。


 ドアを開けた瞬間、店内がざわめいた。


「えっ……あれ、ブラムーじゃない!?」

「ほんとだ! リーラ様にユウトくん、アカネちゃんも! あっ、セリウス様までいる!」

「写真撮っていいかな……!?」「SNS上げようぜ!!」


 瞬く間にスマホが上がり、店内は小さなパニックに。

 スタッフが慌てて対応するも、笑顔のファンたちは止まらない。

 SNSには次々と投稿が並んだ。


 #ブラムー降臨

 #セリウス様も一緒

 #決勝目前!がんばれ!


「……知名度、すごいことになってるな。」

 ユウトが苦笑する。


「ま、当然っしょ!」

 アカネがニッと笑う。

「うちら、もう“人間界の伝説”だよ。」


 リーラは少し照れながらも、微笑んだ。

「ふふっ、これも“絆の力”じゃな。」


 席に着くと、セリウスが真面目な顔で切り出した。


「次の相手は――“謎の最強歌姫”ダルク。」


 空気が静まり返る。


「予選を最速で勝ち上がり、正体を知られる前に姿を消した。

 誰も何者か知らない。わかっているのは――“一人”ということだ。」


「……つまり、ボーカル勝負だな。」

 マナブが唸る。


「そうだ。」

 セリウスが頷く。

「伴奏もサポートもなし。純粋な“声”と“表現”の戦いになる。」


 マナブの瞳が光る。

「なら、俺たちがやるべきは――リーラの声を最大限に引き出す構成だ。」


「キー設定、倍音の調整、リバーブの深度、アタックの立ち上がり……全て声中心に設計しよう。」


「ふむ、悪くない。だがリニアフェーズEQで声の明瞭度を上げるべきだ。」

「いや、アナログで倍音を活かすんだ!」

「……お前、なかなかやるな。」

「そっちこそ、音を知ってるじゃないか。」


 最終的に、二人は肩を組んで笑っていた。


 アカネがため息をつく。

「……仲良くなってるし。」


 リーラは頬を緩める。

「ふふっ、これぞ絆じゃ。」


 笑い声が響くファミレス。

 ブラムーの夜は、いつものように温かく、そして少し騒がしかった。


 そして――

 彼らは新たな目標へと進む。


 セリウスという強力な助っ人まで得て、ブラムーの音はさらに進化を遂げる。


 ――決勝まで、残り2日。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

よろしければ、率直な評価や、感想をいただければ励みになります!より良い作品が創れるよう、頑張ります!

よろしくお願いします。

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