第17話「最強ヴァンパイア、決勝トーナメントへ出陣す!」
「――皆さん! お待たせいたしました!
本日は、この音楽バトル大会の最終決戦・決勝トーナメント発表会にようこそ!」
司会者の声が、ホールいっぱいに響き渡る。ライトが照り返し、巨大モニターには「FINAL STAGE」と赤く輝く文字。観客席は超満員、記者席には無数のカメラが並び、会場の熱気はすでに最高潮だった。
「ご覧ください! これだけの記者の皆さんが集まり、さらに今日は全国ネットでのテレビ中継も行われています! まさに注目度メガZー! 本戦は各地の会場で順次行われ、そして決勝の舞台は――ここ、Zドーム! 歴史に残る戦いが始まります!」
大歓声が会場を包む。観客は固唾を飲み、選ばれし十組の名前を待った。
出場者紹介!
「それでは! まずは第10位からご紹介いたしましょう!
――サウザンド・ステップス!」
颯爽と登場する五人組。都会的な衣装、ジャズとダンスを融合したリズム感で観客を魅了する。軽やかに手を振り、ファンから大歓声が上がる。
「続いて第9位――ブラムー!」
漆黒の衣を纏ったリーラと仲間たちが姿を現す。圧倒的な存在感に会場は一瞬息を呑み、次の瞬間「おおおっ!」と驚きと期待の歓声が響き渡る。記者たちもカメラを向け、注目の的だ。
「第8位――ファントム・クラウン!」
重厚なラウドロックサウンドで知られる彼らは、闇の王冠を象徴する衣装で登場。観客は「ファンクラー!」と叫ぶ。
「第7位――スキャンダル・フレイヴァー!」
派手な炎の演出とともに現れる、ヴィジュアル系の貴公子。ギタリストが煽るようにピックを投げ、女性客は絶叫する。
「第6位――フェニックス・ピース!」
不死鳥の名を冠する彼らは、明るい笑顔で拳を掲げる。青春を感じさせる3ピースパンクロックに、若いファンが沸き立つ。
「第5位――エクリプス・タイム!」
幻想的なサウンドと光の演出で観客を包み込む。プログレッシブロックの真骨頂、複雑なリズムと変拍子の展開で聴く者を異次元へ誘う。
「第4位――焔鬼蓮華!」
和の魂を燃やす鬼のロックバンドが登場すると、会場の空気が一気に熱を帯びた。和太鼓の音が鳴り響き、炎の演出に観客がどよめく。
「第3位――セリウス!」
世界基準のEDMを叩き出すソロDJ。鮮やかなターンテーブルさばきに歓声が上がり、会場はクラブさながらの盛り上がりを見せる。
「第2位――ドラグ・バースト・フォール!」
重低音が地響きのように轟き、鋼の翼を模した衣装に観客が息を呑む。迫力と圧倒的シンフォニック・スピードメタルに、ファンは拳を突き上げる。
「そして――第1位! ダルク!」
名前が告げられた瞬間、会場が揺れるほどのざわめきが広がった。だがステージには誰も現れない。
司会者が静かに説明を続ける。
「突如現れ、出場した全てのバトルで勝利。最速で勝ち点を積み上げて一位に躍り出た歌姫――ダルク!」
「その後、本戦までの全てを辞退し、姿を消しました。それゆえに“伝説”となったのです!未だその姿を見た者は少なく、歌声は神話のように語られています!」
観客は口々に囁き合う。
「ほんとに存在するのか?」
「歌だけで伝説って……やばすぎる」
「いや、あの歌は確かにあった……奇跡だ」
ユウトが眉をひそめる。
「正体不明すぎるな。音だけで伝説って、逆に怖い」
アカネが肩をすくめて笑う。
「でも、だからこそ燃えるんだろ。ライブで現れるとか、考えただけで鳥肌立つぜ」
マナブは眼鏡を押し上げ、冷静に言った。
「短期間で勝ち点を取り切った時点で、統計的に異例中の異例。未知数ゆえに脅威だ」
「さて――ここからが本番! いよいよ決勝トーナメントの組み合わせ抽選を行います!」
ステージ中央に巨大な抽選機が運び込まれる。
次々と名前が引かれていく。観客の視線は釘付けだ。
――そして。
「一回戦第一試合! ブラムー vs 焔鬼蓮華!」
会場がどっと沸いた。
「おい、いきなり鬼かよ!」「初戦から大変すぎるだろ!」
リーラたちは互いに視線を交わす。ユウトが苦笑し、アカネは「マジかよ!」と頭を抱え、マナブは不安そうに拳を握った。だがリーラは、ただ静かに口角を上げる。
他の組み合わせも発表され、ついにトーナメント表が完成する。
「続いては、各バンドの代表者による記者会見です!」
司会者の声と共に、各バンドの代表が席に着く。ダルクの席は空席のまま。
「一位の余裕か……」と記者が呟き、場に緊張が走る。
その時、
リーラがすっと立ち上がり、司会者のマイクを奪った。
「聞け! この場にいる者どもよ!」
会場がざわつく。記者も観客も一斉に注目する。
「この戦い、我らブラムーが頂く! 束になってかかってくるがよい! 我が牙と旋律で、すべて噛み砕いてくれようぞ!」
と、同時にガシャガシャと噛み砕く仕草。
その瞬間、会場が爆発した。
「言いやがったあああああ!」
「挑発か!?」「最高にバカだけど最高に熱い!!」
記者たちが一斉にシャッターを切り、観客は大騒ぎ。
ブラムーのメンバーは顔を青くする。ユウトが「おいおい……!」と頭を抱え、アカネが「マジでやばいって!」と立ち上がりかける。マナブは固まったまま「ぶ、分析開始だ……!」と焦る。
だが、会場の中継を見ていたファンたちはSNSで一斉に盛り上がった。
「これこれ!これがリーラ様!」「挑発がキャラに合いすぎてて最高」「#牙と旋律で噛み砕く」がトレンド入りする勢いだ。
マナブは腕を組み、淡々と呟いた。
「観客の反感も買ったが……同時に、話題性は抜群だ。注目度で言えば、もはや一位のダルクに並んだかもしれない」
リーラは堂々と胸を張り、静かに言い放つ。
「これでよい。我らの戦いは、今ここから始まったのだ」
会場の熱気は収まることなく、むしろさらに膨れ上がっていった。
こうしてブラムーの名は、決勝の舞台で一気に全国へ轟き渡ったのだった。
ついに本戦開始!
リーラの発言は有言実行となるか!?
乞うご期待!




