7 モコクローネ国王
こうして王妃バンビョーネの友人となった訳だが・・・
「ねえ、オカピーヌ、うちの旦那にあってくれない?」
「え?旦那様って・・・王様!!」
「あー、まあそうね。王様だわね」
「いやいやそんな簡単に」
「何言ってるのよ王妃の友達なんだから問題ないでしょ」
「いやいや」
「じゃあ近いうちにね!」
「ほほう、そなたがオカピーヌ嬢か」
「オカピーヌ・ウホールにございます」
「そんなに固くならずとも良い。ここは内々の非公式な場だ。顔を上げてくれ」
「オカピーヌ、そんなに緊張しなくてもいいのよ。このひとこれで結構ヤンチャだし、話のわかる人よ」
「ですが・・・」
「しょうがないなぁ。オカピーヌ、君はバンビョーネのたった一人の友達なんだ。その夫とも仲良くしてくれよ」
「あわわわ!」
これはどうしたことか。モコクローネ王国の王ともあろう方がこの口の利き方。
しかし前世の記憶があるオカピーヌとしてはこのほうが話しやすいっちゃ話しやすい(笑)
さてそんなこんなで少し落ち着いたオカピーヌ。
「それで今日はどんな御用でしょうか」
「ああ、それなんだけど、君の身分の事だよ。バンビョーネの友人と言うだけじゃ何かと不便だろ。確か小さな店を持ってるとか」
「はい、アクセサリーを少々売っております」
「そこでだ、商会を立ち上げたらどうかなと思ったわけだ」
「小麦の生産と輸送の問題は解決しつつある。その功に報いるためにも王家でバックアップしたい」
「この人と相談したんだけど、まずは小麦の輸送を任せたいと思っているのよ」
「輸送を私がですか?」
「そうだ。ヒマノニトンとヨントンは君が作ったわけだからな。運転手はこちらで信用できる者を用意する。王家直属の農地と輸送部隊は残すが、それ以外の輸送を任せたい」
「あとね、王家直轄地を少し下賜するから、そこに自分の畑なり何なり作るといいわ。あ、あなたの使うヒマノニトンとヨントンは王家から下賜したって形にするわね。」
こうしてオカピーヌ運送もといオカピーヌ商会が発足した。
王家から下賜された土地はオカピーヌが開拓した土地の隣で、王家の畑の半分ほどの規模であった。結構広い。
そこをやはり土魔法で開墾し、半分を農地に、半分をヒマノニトン、ヨントンの車庫にした。運転手の休憩所や農民の住居、営業所を作った。
建物は全て石造りであった。
土地の周りは高い石塀で囲ってある。
"土魔法で建物や塀まで作れるなんてびっくりだわ"
もちろん本人よりもびっくりしたのはお忍びで見物に来た王と王妃である。
「こりゃー目を離しちゃいかんな」
「ええ、他国に知られたらまずいわね。護衛に例の騎士を彼女につけるわ」
「あー、彼か。たしかオツピ伯爵の次男だったか?」
「ええ、スーサン・オツピね。腕はたつようようよ」
「そうか、じゃあそうしてくれ」