5 ヒマノニトン
さて、小麦は大量に生産されることになったが問題は輸送である。現在の荷馬車では輸送量が限られる。早急に対策を考えねばならなかった。
そこでオカピーヌの機械の知識と技術である。前世の輸送方法はトラックが中心であったが、石油がない世界で内燃機関など無理な話である。
オカピーヌは考えた。
"ゴーレムって土魔法でできるのかしら?"
オカピーヌは街の外、人目につかないところで実験した。
"えーと、こうかな?"
とりあえず人型で自立歩行できて、人の命令を聞く物を想像して手で土を触る。
ググググ・・・・
土が盛り上がり人型になった。大人の男より少し大きくてとてもガッチリした体型だ。
「うほっ」
/ ))) _
/ イ (((ヽ
( ノ  ̄Y\
| (\ ∧_∧ | )
ヽ ヽ`(´・ω・)/ノ/
\ | ⌒Y⌒ / /
|トー 仝ーイノ
「あ、喋るんだ…」
「うほほ」
「よし、お前の名はオカップよ」
「オカップ、歩いてみて」
「うほっ」
ドスンドスン
「歩けるわね。わかったわ」
「ゴーレムは作れたけど、これで荷車を引くんじゃ馬の方がきっと早いわね」
「じゃあオカップ、今からあなたを改造します。大人しくしててね」
"えーと、手足を車輪にして、頭と胴体を分ける必要はないし… えーいトラックでいいや"
思い浮かべたのは「ヒマノニトン」だった。ブジテレビのスポンサーだ。オカップは見事に2t車になった。
キャビンにはハンドルも座席もある。足元にはアクセルとブレーキのペダル。ただし窓ガラスは無く、屋根もない。
見た感じは御者台であった。
さすがにガラスを付けるのははばかれた。
オカピーヌグッジョブ。
荷台は平ボディである。アルミの箱はやはりまずい。
とりあえず試乗してみる。
道はデコボコだが、サスペンションがあるのでそれほど揺れない。
速度は(メーターは無い)たぶん時速20kmくらい出てそうだ。荷馬車だと時速5kmくらいなので4倍の速度だ。荷台は2tだが4tも作れるだろう。これはこの世界では画期的なゴーレムだ。オカピーヌはこの結果に満足した。一度ヒマノニトンもといオカップを土に戻し屋敷に戻った。
ヒマノニトン(オカップ)の速度を時速20kmに訂正。