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4 小麦畑と土魔法

オカピーヌは考えた。

それこそ土魔法が役に立つのではないか?

"どんな事がができるのか一度検証した方がいいわね"

兄に土魔法の事を話し、お願いして屋敷の裏庭を少し使わせてもらうことにした。

"えーと、こうかしら?"

花壇の土に手をつけ、育てと念じる。

するとどうだろう、まだ時期では無い花たちがいっせいに咲きだした!

"まあ!なんてこと!"

これが土魔法なのかと驚くオカピーヌ。

その後色々試してみると、土を掘り起こすことも、木を枯らすことも、土の中の木の根を取り出すこともできることがわかった。

そして裏庭の花壇を更地にして兄に驚かれ、叱られるのであった。

庭師に謝ってまた花壇を作ってもらうことになったが、庭師は「こりゃとんでもなく良い土になってますだよ。これならどんなもんでも育ちますぜ」とびっくりしていた。

"これなら農地の開拓も増産もできるわ!"

しかしそんな力がある事が知れ渡ってしまったらとんでもないことになる。

どうしたら良いものか。

"王妃陛下なら信用できるわ"

散々悩んだ末にオカピーヌは王妃に相談することにした。


次の茶会の時、オカピーヌは王妃に自分の土魔法のことを打ち明けた。そして秘密にして欲しいと願った。

王妃はとても驚いたが、その魔法の有用性に気付き、秘密裏に開拓地を選定した。

選定が終わった後オカピーヌを呼び「オカピーヌ、あなたの力を是非貸してほしいの」と協力を頼んだ。

「陛下の願いであれば何なりと」


そうして人目につかない王家直轄地を土魔法で開拓する事になったオカピーヌは、王家の馬車で開拓地に向かった。

同行するのは王家騎士団の若い騎士と御者だけである。

若い騎士と御者はこの先で見た事は他言無用であるときつく言い渡されている。


到着したオカピーヌはさっそく森の木々を引き抜き、石をどかし、平らにならす。

驚いたことに、抜いた木々も石さえも次の瞬間には肥沃な土に変わってしまった。

これには当の本人も大変驚いた。

"なんてことかしら!裏庭ではこんなこと無かったのに"

同行した御者も若い騎士もとても驚いたが、この事が他に漏れたら大事になると理解し、もし漏れた場合の自分の処遇について考え、震え上がった。


王城に戻ったオカピーヌは執事に迎えられ、人払いされた部屋に通される。

「それで、どうかしら?」

「それが、思った以上に広くて良い農地ができてしまいました・・・」

「え?」

「とても広くて、すぐに小麦を育てる事ができそうです」

「そ、そうなのね。それではさっそく農業大臣に視察に行かせましょう」

「あの、わたくしのことは・・・」

「大丈夫よ。わたくしが秘密裏に数年かけて開拓させた事にいたします」

それからは農家の次男三男を中心に多くの農家を募集し、新たな土地へ送った。

その農地では瞬く間に小麦が育ち収穫できることがわかった。

これは王家の秘伝の方法であると発表された。

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