3 アクセサリーとバンビョーネ王妃
兄レバンのもとで新たな生活を始めたオカピーヌだが、なにかをしなければと考える。
兄には屋敷に居て何か好きなことをしていれば良いと言われている。しかし一日中ぼーっとしてる訳にもいかない。
「そういえば、神様からいただいた機械の知識と技術って何ができるのかしら?」オカピーヌはその力を試してみることにする。
「とは言っても材料も何も無ければ機械なんて作れないわよね。よし、じゃあアクセサリーとか作れるかしら」
オカピーヌは屋敷の使用人に銀のスプーンを持ってきてもらい、ティファミーのアクセサリーを思い浮かべた。
すると手にしたスプーンが光りオープンなハートになっていた。
「わっ!なにこれ!」
"神様からいただいた技術ってまるで魔法じゃん!"
そう思ったけど、声には出さなかったオカピーヌであった。
その後金や銀、宝石などの素材を購入し、様々なアクセサリーを作ったオカピーヌは兄に相談してアクセサリーの店を開くことにした。もちろんデザインは自分だが、実際に作ったのは腕の良い職人で、運良く雇えた事にしてある。
大使である兄のコネクションで立地の良い場所に店を持つことが出来たオカピーヌは自ら店に立ち接客もした。
兄の社交にも付き添い貴族たちとの繋ぎもできた。そのおかげで店は繁盛した。
ある日兄の付き添いで王城の夜会に赴く。
そこでモコクローネ王国王妃、バンビョーネ・フォン・モコクローネに紹介されたオカピーヌ。
オカピーヌのアクセサリーの評判を聞いていた王妃バンビョーネは、一度そのアクセサリーを見てみたいと思っていたのだった。
「オカピーヌ様、一度あなたのアクセサリーを見せていただけますか」
「バンビョーネ陛下のご要望でございましたら何時でも喜んでお伺いいたしますわ」
「では近いうちに使いを出しますね」
数日後、城からの使者が王妃の招待状を持ってきた。3日後王城に来るようにとの事だった。
オカピーヌは夜会での王妃の衣装や髪の色、目の色、その時着けていたアクセサリー等を参考にして作った豪奢なアクセサリーを十数点用意し、王城へと向かう。
王妃はオカピーヌが用意したアクセサリーをとても気に入り、全て買い上げてくれた。
その後王妃はオカピーヌをたびたび呼びよせ、お茶に付き合わせたり、夜会に招待したりした。
前世で高等教育を受け、テレビ局に勤めていたオカピーヌは、様々な話題に精通していた。王妃も話し相手としてとても気に入っていたのだ。
そんな茶会の話題で出た食料問題。
モコクローネ王国では郊外で主食の小麦を作っているが、人口増加と安全保障の為の軍の増強により小麦の生産を底上げしなくてはならない。しかし農地の拡大には多くの人員と費用がかかり、とても時間がかかる。このままだと数年のうちに食料が不足しそうだとの事だった。