2 モコクローネ王国と前世の記憶
国外追放を命じられたオカピーヌは嬉々として荷造りを始めた。彼女にとって王宮も王太子妃も苦痛でしか無かった。そんなオカピーヌの両親も全力でバックアップし隣国モコクローネ王国へと送り出す。
モコクローネ王国にはオカピーヌの兄レバンが大使として赴任している。オカピーヌはレバンの元で新たな生活を始めるのであった。
実はオカピーヌには前世の記憶がある。ある日突然その記憶が蘇ったのである。彼女の前世は地球という星の日本という国でブジテレビのアナウンサーをしていた。いわゆる女子アナである。
容姿端麗で知識も豊富な彼女は皆からもてはやされていたが、ある日突然とあるタレントの接待を命じられる。タレントが居るホテル最上階の部屋で食事会が開かれ、皆がタレントをヨイショするのだ。
食事会が終わろうとする頃、何故か皆は用事が入り退席する。残されたのはタレントと彼女だけだった。
「あの、皆さんどうしたんでしょう?」
「さあ?でもいいじゃない。さあ飲もう」
そうして酒を飲まされ、気がつくとベッドに寝かされていた。
彼女は部屋から逃げ出し、非常階段に出たところでホテルの25階から転落してしまった。
ふと気づくとそこは何も無い真っ白な場所だった。どこからともなく声が聞こえる。
「ふむ、お主はなかなか良い魂の持ち主じゃの」
「はっ!なに?」
「お主は死んでしまったのじゃ、しかしその魂に免じて良い所に生まれ変わらせるとするか。」
「え!あたし死んだの?え?あなた誰?」
「わしゃ神様だよ。して、なにか希望はあるか?」
「神様…(ほんとにいたんだ)」
「本当にいたんじゃよ。ふはは」
「あ…」
「して、希望はあるか?特別に一つだけ力を与えよう」
「えーと、あたし本当は農業とか工業とかに興味あって」
「ふむ、農業と工業とな。よしわかった。それではお主にはこれを授けよう」
彼女は土の魔法と機械の知識と技術を与えられた。
こうしてウホール公爵家長女オカピーヌとして彼女は生まれた。
15歳の誕生日、前世の記憶と土の魔法、そして機械の知識と技術に目覚めたのだった。
「あ、つい3つも力を与えてしまったわい。まあええじゃろ」