1 婚約破棄
パズールサバイバール王国第1王子マヨール・ソミ・パズールと、ウホール公爵家令嬢オカピーヌ・ウホールは、2人が幼い頃に両家が取り決めた婚約者どうしである。
オカピーヌは物心が着く頃には王城に通い王太子妃としての教育をされて育った。
2人が王立学園在学中、シスーオ男爵家令嬢ネムーネが入学して来た。
ネムーネは男爵のお手付きにより生まれた婚外子である。母はネムーネができたことにより屋敷で働けなくなり街の片隅で2人で暮らしていた。
しかしネムーネが12歳になった頃、男爵の奥方が亡くなり、ついでネムーネの母も病に倒れ帰らぬ人となった。
ネムーネは男爵家に引き取られ男爵家令嬢として学園に入学したのである。
ネムーネはその生い立ちと愛らしい見目のため学園で注目されていた。そしてドジっ子であったため男子の庇護欲をそそった。
オカピーヌが学園の廊下を歩いていると、すれ違ったネムーネが何故か転んだ。
「あら!ネムーネ様大丈夫ですか」オカピーヌが声をかけたところにマヨール王子が現れる。
「オカピーヌ!お前が足をかけたのであろう!大丈夫か?ネムーネ何をされた?」
ネムーネを抱き起こすマヨール。
「違うんです。ただ足がもつれただけなんです」
「オカピーヌを庇っているのだな。なんて優しい人だ」
「オカピーヌ!君はなぜこんな酷いことを!」
「わたくしはただすれ違っただけですわ。ネムーネ様がおひとりで転んだのです」
「確かにネムーネはドジなところがあるが、何も無い所で転ぶはずがない!とにかくお前はネムーネに近づくな!」
ネムーネはマヨール王子の婚約者であるオカピーヌに憧れていた。公爵令嬢であり王太子妃教育をされたオカピーヌはThe令嬢であった。ネムーネは彼女と友人になりたかった。しかし彼女に近づくと緊張のあまり転んだり壺を落としたりした。
そして運命の日、ネムーネは階段から落ちた。
たまたま階段でオカピーヌとすれ違ったのだが、緊張で足がもつれ、階段から転げ落ちてしまったのだ。
騒ぎを聞いて集まる人々。
そして現れたマヨール王子。
「オカピーヌ、もはや限界だ。お前との婚約は破棄する!お前の顔など見たくもない!」
「国外追放を命ずる!」