表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
誤解、勘違い、間違われて認識されている、されやすいもの  作者: 氷見


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/20

昭和天皇の人間宣言で天皇は神ではなくなった?

一応先に書いておくと、当方別に皇族に対する敬意とか特に何もないけど別に敵意もない。

知られているようで、意外と知られていない「人間宣言」の内容。


簡単に言ってしまえば、「天皇は人間である」ことを主題としたものではなく、GHQが日本を支配するにあたって、日本人が持っている一種の選民思想的なものがあまりにも邪魔だったのでそれを除去することを目的としたもの。


日本人は神に守られている、日本人は神の子、そういった思想でいつまでも奇跡を期待してるのも迷惑だし、天皇という存在は支配にあたって有用なので存続はさせるけど、天皇を神としてあがめ続けられるのは困る。


ただ、では実際の人間宣言とはどうだったのか。原文はGHQが用意したのだけれど、それを日本側はそのまま使ってはいない。


全文は以下を見てもらうとして

https://ja.wikisource.org/wiki/%E6%96%B0%E5%B9%B4%E3%83%8B%E7%95%B6%E3%83%AA%E8%AA%93%E3%83%B2%E6%96%B0%E3%83%8B%E3%82%B7%E3%83%86%E5%9C%8B%E9%81%8B%E3%83%B2%E9%96%8B%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%83%88%E6%AC%B2%E3%82%B9%E5%9C%8B%E6%B0%91%E3%83%8F%E6%9C%95%E3%83%88%E5%BF%83%E3%83%B2%E4%B8%80%E3%83%8B%E3%82%B7%E3%83%86%E6%AD%A4%E3%83%8E%E5%A4%A7%E6%A5%AD%E3%83%B2%E6%88%90%E5%B0%B1%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%B3%E3%83%88%E3%83%B2%E5%BA%B6%E5%B9%BE%E3%83%95


重要なのは

「朕ハ爾等國民ト共ニ在リ、常ニ利害ヲ同ジウシ休戚ヲ分タント欲ス。朕ト爾等國民トノ間ノ紐帶ハ、終始相互ノ信賴ト敬愛トニ依リテ結バレ、單ナル神話ト傳說トニ依リテ生ゼルモノニ非ズ。天皇ヲ以テ現御神トシ、且日本國民ヲ以テ他ノ民族ニ優越セル民族ニシテ、延テ世界ヲ支配スベキ運命ヲ有ストノ架空ナル觀念ニ基クモノニモ非ズ」の部分。


AIにわかりやすく現代語というのもおかしいけれど、わかりやすく表現し直してもらったのが以下


「私は、国民と共にいることを宣言します。常に利害を共にし、親しみを分かち合いたいと思っています。私と国民との結びつきは、単なる神話や伝説によるものではなく、相互の信頼と敬愛によって成り立ちます。天皇を神として、また日本国民を他の民族より優れた民族とし、世界を支配する運命を持っているという空想に基づくものでもありません」


ここの「天皇を神として(中略)空想に基づくもの」これをして天皇が現人神である事を否定した=人間であると宣言したと主に海外で受け止められ、天皇の人間宣言とされた。


ただ、これ原文見ればわかる通り、「天皇が神である」ことを否定しているのではなく「天皇を神としてあがめ自分達は優秀で世界を支配する民族だとする日本人の心」を否定している。


昭和天皇自身の想いはともかく、この宣言そのものは「人間宣言」と言われつつも実際のところは天皇が人間であるなどという宣言などではない。


ここで一度、天皇の系譜を見てみよう

神世七代のイザナギがイザナミを捨て禊から生まれた、天を支配する「アマテラス」…これを始祖とする。

そのアマテラスが粗暴な弟「スサノオ」の心を試すべく行った誓約から生まれたのが「アメノオシホミミ」。

アマテラスは地上「葦原中国」は自分が治めるべきだと使者として地上を支配するためにオシホミミを派遣。状況を報告した後、別の使者がオオクニヌシから葦原中国を脅し取る事に成功。

改めて地上にオシホミミが降臨しようとするその時に生まれたのが「ホノニニギ」…有名な天孫「ニニギノミコト」の事。ただしオシホミミが降臨しようとする時に生まれたというのは古事記の記述。日本書紀だとまた違う。ただ、神話エピソードは歴史書である日本書紀より古事記から取るべきだと個人的には思ってるのでこちらを採用。


降臨した「ニニギ」が、「え、無茶苦茶可愛い子いるじゃん、嫁にくれ」とオオヤマツミの娘「コノハナノサクヤビメ」をもらい受ける、一緒に贈られてきたサクヤの姉「イワナガヒメ」はブサイクだから送り返したというのは有名なエピソードなので知っている人は多いと思う。オオヤマツミはイザナギとイザナミの息子なので、年齢差とかどうなってんだ、だけど神は基本不老不死っぽいので問題ない。

天皇は神でありながら不老不死ではない問題を解決するのがこの「イワナガヒメ」の話なわけで。イワナガヒメを突き返した事でオオヤマツミに恨まれニニギの子孫は短命となってしまった。


「コノハナノサクヤビメ」は子を孕んだもののニニギは「いやそれオレの子のわけないから、他の男の子だろ」と認知する気がなかったので、怒ったサクヤちゃんは産屋に籠り火を放ちそこで出産、そこで生まれたのが「ホオリ」…山幸彦として有名な神様。その炎の産屋で別に生まれていたのが海幸彦さん。

「イワナガヒメを送り返す」「孕ませておいてそれを認めない」だとかなかなかのクズエピソードだけれど、「絶対に自分の姿を見るなと言われたのに見てしまい驚いて逃げイザナミを激怒させたイザナギ」「弟が暴れるからと職務放棄したアマテラス」「あ、ここ私が支配する土地だわ、とオオクニヌシから国を奪い取るアマテラス」とまあこの一族は基本クズなのだ。何故こんなクズエピソードになっているのかは作者に聞かないとわからんね。


そして、有名な海幸彦と山幸彦のエピソード。海幸は釣人、山幸は狩人、山幸は海幸に「お互いの道具交換しようぜ」ともちかけるも海幸は嫌がる。嫌がる海幸を説き伏せてどうにか交換したものの山幸は釣り針を無くしてしまい、「返せ」と迫る海幸に逆ギレ。

竜宮城的なところで海の神「オオワタツミ」の娘「トヨタマビメ」に一目ぼれして幸せ夫婦生活。が、突如、山幸の事を思い出して、無くした釣り針をワタツミに見つけてもらって、そしてワタツミの力で山幸に仕返しを慣行。山幸が田を耕しても上手くいかない呪い的なものをかけ、ふざけんなと襲い掛かってきた山幸をやっぱりワタツミの不思議道具で泥沼に溺れさせ、山幸に勘弁して下さい、オレ海幸の命令に従うからと、そこまでやって満足した山幸は竜宮城に帰還。


トヨタマビメが妊娠して「見ないでね」と言うけど好奇心で山幸は覗いてしまい、恥じたトヨタマビメは産んだ息子「ウガヤフキアエズ」を妹「タマヨリビメ」託して自らは身を隠してしまう。


「タマヨリビメ」は自らが育てた「ウガヤフキアエズ」との間に「カムヤマトイワレビコ」を出産…後の神武天皇。ヒコホホデミの名が有名だと思うけど古事記ではその名は出てこない。


「カムヤマトイワレビコ」の兄たちはどうにも「妣国」やら「常世」やら黄泉の国へと旅立ったようで、イワレビコは残った長兄「イツセノミコト」と東へと向かう。これがいわゆる神武東征。


まあ、つまり天皇というのはその始祖はイザナギ。アマテラスとされる事も多いけど、どちらにしても由緒正しき天つ神の系譜で、地上に降臨したからといって神が人間になるわけもなく、イワナガヒメの一件で寿命が出来てしまったとはいえ神であるということに変わりはない。


以後、天皇が人間になったというような主張はどこにもなく、現在に至るまで天皇とは神なのである。もっとも、古事記や日本書紀…日本神話に従うなら日本国民の多くは神の末裔だと思われる。が、それを否定したのが「昭和天皇の人間宣言」なのだ。

イザナギ、アマテラス(とスサノオ)、ニニギ、ホオリ(山幸)…どいつもこいつもクズばかりである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ