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誤解、勘違い、間違われて認識されている、されやすいもの  作者: 氷見


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「あ」を書き続ける、大量の「あ」を見続けると文字と認識できなくなるのはゲシュタルト崩壊ではない

だから何なんだ?となるかもしれないけど、まあ間違って覚えてるよりいいでしょ。

おそらくはテレビ番組「トリビアの泉」で紹介されて以降、一気に広まったのではないかと思われるゲシュタルト崩壊という言葉と現象。ただ、勘違いしている人がかなり多い。


ゲシュタルトとは複数の部品が組み合わさって出来たくはテレビ番組「トリビアの泉」で紹介されて以降、一気に広まったのではないかと思われるゲシュタルト崩壊という言葉と現象。ただ、勘違いしている人がかなり多い。


ここでいう「ゲシュタルト」とは複数の部品が組み合わさって出来た何かだと思えばいい。

たとえば時計であれば「短針」「長針」「秒針」「1から12の数字」だとかが組み合わさって出来ていて、我々はそれを「時計」と認識する。

このゲシュタルトが崩壊すると、それを1つの時計ではなく、1つ1つの部品として認識する。ただし、それぞれの部品の意味は失わない。1から12の数字は1から12の数字としっかり認識出来ている。


そして「漢字のゲシュタルト崩壊」と呼ばれるものは「明」という漢字であれば「日」と「月」が合わさって出来たもの。これが崩壊すると「明」という漢字を認識出来ず、「日」と「月」となってしまう。この「漢字のゲシュタルト崩壊」を多くの日本人は「ゲシュタルト崩壊」と呼んでいる。「文字のゲシュタルト崩壊」ではなく、あくまでも「漢字のゲシュタルト崩壊」なのだ。ひらがなやカタカナはゲシュタルトではないのである。


が、これが誤認識され、「あ」でなくてもいいけど、同じ文字をずっと書き続ける、大量に並んだ同じ大きさの文字を見続ける事で、それを文字と認識できなくなる現象”も”ゲシュタルト崩壊だと勘違いしてしまっている。

が、「あ」という文字はゲシュタルトではないので崩壊しようがない。そしてこの現象は「文字と認識できなくなる」のに対してゲシュタルト崩壊は前述の通り、認識は失われない。この完全に認識を見失うという点が「仮にひらがなをゲシュタルトと定義したとしても、それを認識できなくなるのはゲシュタルト崩壊ではない」と断言できる理由となる。


この現象に名前がついているかどうかは知らないけれど、意味としては「セマンティック飽和(意味飽和)」と呼ばれる現象に近い。セマンティック飽和は繰り返し同じ単語を聞くと、その単語を単語として理解しなくなる現象。ゲシュタルト崩壊との違いは認識、意味自体を失う事。「明滅」という言葉を「明」と「滅」にわけるだとかそのレベルではなく「めいめつ」という意味の無い音の羅列になる。


ゲシュタルト崩壊という言葉は一般的には1947年の論文「Über Gestaltzerfall als Symptom des parieto-occipitalen Übergangsgebiets bei doppelseitiger Verletzung nach Hirnschuß」の「Gestaltzerfall」が初出とされていて、その和訳が「ゲシュタルト崩壊」とされている。


が、国立国会図書館で文字検索すると1947年以前の心理学の書籍に「ゲシュタルト崩壊」という単語自体は出てくる。ただ、内容が難しくて何を言ってるのか正直さっぱりわからない。とはいえ、1冊ではなく数冊あるので、少なくとも1947年のドイツ初出の言葉というのは間違いのようである。この1947年以前の日本で使われていた「ゲシュタルト崩壊」と、今日本で使われている「Gestaltzerfall(ゲシュタルト崩壊)」が同じものかどうかはよくわからないが、おそらく「Gestaltzerfall」という言葉自体、1947年以前に存在していたのだろうと。

ネットには「あ」についてもゲシュタルト崩壊として、それっぽく語ってる人結構いるけど、専門家でそんな事を言ってる人は多分いない。それはゲシュタルト崩壊ではないと指摘してる人ならいる。

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