表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
誤解、勘違い、間違われて認識されている、されやすいもの  作者: 氷見


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/20

リアス式海岸が間違ってて、リアス海岸が正しいとか本気で言ってる?

定説は間違ってるとか言いだす学者の言う事は9割以上デタラメ。そう簡単に定説や表記は覆らないのだ。

リアス海岸で検索すると一番上に来るのが帝国書院。少し引用させてもらおう。引用条件は満たすはず。

先に書いてしまうが、教科書に書いてあるから正しいは無いし、NHKは同じレベルで信用ならない事は付記しておく。平気で「鎖国は無かった」とか言い出すからね、NHK。ああ、もちろん鎌倉幕府が1185年だなんて全くのデタラメなんで気にする必要もない(そもそも成立した年なんて概念自体が鎌倉幕府には無いと思うが)。


こういった、今までの常識を「間違ってる」とする説の多くは間違っている。大抵が無知から来る勘違い。自分が知らなかった事を知ってしまった結果、今までの常識は間違ってると言い出す。けれど、何故間違ってるのかと聞いてみると「そんなもんみんな知ってる、その上で今の単語なんだ」と。


閑話休題。では帝国書院の言い分を聞いてみよう。

『 「リアス(rias)」とは、スペイン語で入り江を意味する「リア(ria)」の複数形です。』


もう、最初から間違ってるんですよね。スペイン語ではなく、リアス式海岸のリアスは「ガリシア語のリア」から来ている。ガリシア語もスペインで使われていて、スペイン語に近いようだけれど、違うものは違う。そしてスペイン語だとしても検索した限りだと「入り江」ではなく「河口」の方が近いっぽい。入り江と河口はちょっと違う。


ガリシア語のリアは何なのか、ウィクショナリーはウィペディアよりはまだ信頼出来る。


https://ja.wiktionary.org/wiki/r%C3%ADa


が、日本語版だとさっぱり意味がわからないので英語版を見てみることにする。


https://en.wiktionary.org/wiki/r%C3%ADa


リアの語源は川を意味するリオから来ているとされている。そして現在の意味としては日本で言うところの「リアス式海岸」の事を指す。英語としては「Bay(湾)」の概念に近いとしている。


最初から帝国書院は全く間違っているわけだが、更に見ていこう。

『「rias coast」(英語)というようになりました。この和訳として「リアス式海岸」という表記が昭和30年代以降使用され、定着してきました』


これも間違い。英語(に限らず多くの言語では)「riaとしている。より厳密にする場合、もしくはそれが連なって巨大な海岸を形成している場合に英語では「ria coast」としてる。

https://www.worldatlas.com/articles/coastal-features-what-is-a-ria-what-is-a-ria-coast.html


ここで重要なのは、その場合においても「rias coast」ではない。実際に英語圏に絞って検索すればわかるが、「rias coast」ではほぼ引っ掛からないのだ。ただし、歴史的には「rias coast」としていた時代が存在していた可能性は残る。

そして、更なる間違い。「リアス式海岸」は日本国においては昭和30年代ではなく明治時代から盛んに使用されている。もちろん「リアス海岸」や「リア海岸」といった表記もあるが、明治時代当時から多いのは「リアス式海岸」だ。


国立国会図書館デジタルコレクションの「リアス式海岸」での検索結果

https://dl.ndl.go.jp/search/searchResult?pageNum=0&pageSize=20&sortKey=ISSUED_ASC&fullText=true&includeVolumeNum=true&keyword=%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%82%B9%E5%BC%8F%E6%B5%B7%E5%B2%B8&displayMode=list&accessRestrictions=internet

検索結果を発行が古い順にすれば明治時代にリアス式海岸と表記してるものがデジタルコレクションだけでも大量にある事がわかるだろう。そして少なくとも大正時代の英和辞典において「rias coast」をリアス式海岸と和訳している。昭和30年代なんて全くのデタラメというしかない。


リアだけで意味が通るならというのであれば世界各国と同じく「リア」とすればいい。そこに海岸をつけてはいけない。が、海岸をつけた場合「リア海岸」「リアス海岸」では、リア、リアスが地名のようになってしまう、それが日本語の表記形態。故に「式」がある。日本語と外来語を混ぜる際に「式」は便利なのだ。


「和服」は「和式服」ではない。「和菓子」も「和式菓子」ではない、その一方で「和式トイレ」を「和トイレ」とは言わないだろう。「式」があろうとなかろうと意味は変わらないのだ。


「海岸」をつけるのであれば、むしろ「式」が無ければ日本語として通らない。「リアス様式の海岸」であって「リアスな海岸」ではない。

例えば「円形の海岸」があって「円形海岸」という事はあっても「円海岸」とは呼ばないだろう。リアはあの独特の地形を指す。


仮にギザギザ地形があったとする。「ギザギザ海岸」「ギザギザ式海岸」と、より正しく伝えているのは後者だろう。前者では「あだ名」だ。一方、後者は「式」が入っているので、そういう海岸であってそういう名称だと誤解はしない。


そもそも「原語」の意味なんて実際どうでもいいんですよね。「リアスとは何か」の定義で。それを無知なバカ学者が「リアス式海岸は間違ってる」と頭の悪い事を言い出して、もっと間違った「式」を抜いた表記を正しいと言い張ってしまい、帝国書院のようにロクに調査もせずに堂々とガセネタをネットにまで掲載するような出版社が大量に存在した結果、現在の日本では「リアス海岸という明らかに間違った表記」がまかり通ってしまった。


リアス海岸と覚えてる人は今すぐその呼び方を忘れる事を推奨する。



覆っちゃいけないのに、「意外とかなりテキトー」に覆しちゃうんですよ、日本に限らず。ファクトチェックだとちょっと意味違うかもしれないけれど、「専門誌」とかですら疑った方がいい。平気でウソ書いてたりするから。


もちろん、定説とやらも「え、こんな杜撰な調査というかほぼ調査してない状態で定説になってたの?」は特に歴史でありがち。それは確かなのだけれど、それを覆そうという輩は覆したいだけで、歴史の真実を求めているわけじゃない場合が多いのが実情。


こんなだから(専門家を含む)一般人が指摘しないと無茶苦茶な話が本当になってしまう。まともにチェックがされていたらSTAP細胞なんて表にすら出てこない単語なんですよ、えぇ。


浅井長政も一瞬で「あさい」から「あざい」に変更されたけど、「あさい」が間違ってると断言出来る状況にはない。大体、一部の学者とNHKと教科書出版社が悪い。NHKの歴史番組はホント悪質すぎる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ