表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

知りたくなかった新事実、そして

よろしくお願いします

「今までお世話いたしました」

「挨拶違くない!?」

「言葉通りですが」

「ソウデスネ……」


 なんやかんや、部下のスパルタ指導のおかげで、王太子の仕事はなんとかなりそうである。


 書類の山がその日になくなるくらいには、王太子も進化したのだ。一徹二徹くらい、寝なくてもなんとかなる! なれ、しろ。と圧が……嫌ならさっさとやれや、とばかりの愛情溢れる指導の(たまもの)である。



 王太子妃のほうは、ほぼ全てをブロックして閉じ込める方向にシフトしたのでトラブル発生率は激減した。素晴らしい。


 未だ思うままに物欲を叫んでいるらしいが、今着ている王妃のお古ドレスのなんと美しいことか。見習えそのセンス。


「ピンクがないっ!!」


 王太子妃に派手なショッキングピンクなぞいらんわ阿呆が。



「ところで、辞めてどうするんだ?」


 幼なじみ兼部下のことだからと、心配はしていないが興味はある。


 今までなんだかんだ言いつつも、見捨てないでいてくれたのは彼だけだったから。


「ああ、言ってませんでしたか」

「それどころじゃなかったしな」


 自嘲気味に返したが、全くもってその通りですね、と頷かれた。遠慮ぉ!


「惚れた女性がフリーになったので、口説き落として婿入りすることになりました」

「なにその衝撃の新事実! 全然知らなかったし、よくそんな時間あったな!?」

「自分優秀なので」


 そうだよコイツそういう奴だよ優秀なんだよ変なとこさぁ! と幼なじみバージョンで拗ねてみたが、ブリザードも真っ青な視線に凍る前におめでとう、と祝った。


「ありがとうございます」

「こんな状況だから、祝いも出せないが。退職金はちゃんと受け取ってくれ」

「お気遣いなく。受領済です」

「抜かりないな」


 心のアップダウンを乗り越えて、王太子は笑顔で送り出そうと声をかけた。


「どこに婿入りするんだ? 家柄によっては顔を合わせることも多いだろう」


 そこは抜かりも容赦も優しさもない部下である。鋭い言葉の刃は自由奔放であった。


「貴方が婚約破棄した、公爵家に。ユリアナの婿になって、女公爵になる彼女を支えます」

「は?」


 では、失礼。


 バタン。扉が閉まっても王太子は動けなかった。頭が回っていない。混乱ここに極まれり。


「な、こ、こう、ユリ、ゆ……ユリアナだとぉ!?」


 やっと回路が回復して、叫び声を上げた頃には、部下はとっくに公爵家の馬車で帰宅しており、誰も聞いてくれる人はおりませんでしたとさ。





 後に、史実にやらかし王太子、のちやらかし国王と刻まれる王太子は、反省を胸に地道に借金返済のために働き、返済が完了した年に国王になった。


 妻である妃との間に子はなく、弟王子に王位を譲ることが決まった。


 史実の重要な部分には、必ず女公爵とその夫の記載があり、事実国を回していたのはこのふたりなのだろうと推察された。


 女公爵夫妻は、男女女男男と子宝に恵まれ、幸せに暮らしたという。




 入婿が事ある毎に、王太子(国王)を言葉の刃でぶった切っていたことは、さすがに記されてはいなかった。



完結です。おつき合いありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] いやぁ、痛快でした。もしかして、この幼馴染の部下って……と、思ってたら、案の定、元婚約者のところへ入り婿するなんて! 王太子は、羨ましくてたまらないでしょうね(笑)。 ありがとうございました…
[良い点] テンポが軽快で楽しく読めました。 サクサク入る部下のツッコミが楽しい。 [気になる点] こんなにやらかして、弟もいたのに、よく国王になれましたね。廃太子して弟を国王にってならなかったんです…
[良い点] 部下のつっこみが面白かったです。 [気になる点] 元婚約者の実家は元々誰がつぐ予定だったのでしょうか。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ